悠木碧「実力主義の声優に自由を感じた」子役からの転身と“好き”を指針とした仕事論【インタビュー】 3ページ目 | アニメ!アニメ!

悠木碧「実力主義の声優に自由を感じた」子役からの転身と“好き”を指針とした仕事論【インタビュー】

30歳以下でプロフェッショナルとして活躍するUNDER30世代に、同年代のアニメ!アニメ!編集部スタッフがインタビュー。『君の名は。』や『魔法少女まどか☆マギカ』など数多くの人気アニメでキャラクターに命を吹き込む声優・悠木碧に仕事への向き合い方を聞いた。。

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U30職業シリーズインタビュー・悠木碧
U30職業シリーズインタビュー・悠木碧 全 12 枚 拡大写真

■モノづくりの過程で広がった視野


年始には新曲「Unbreakable」が発売された。
PV撮影の現場で、悠木さんは、スタジオにセットされたジャンク品めがけて力いっぱいバールを振り下ろしていた。


バールなんて、普段の生活で振るうことはないだろう。それでも、躊躇なく、力強く。迷いのないその姿は、めいっぱいのホスピタリティで発注に答える、彼女の仕事そのものだった。
アーティスト活動を通じて、アニメの仕事だけではなかなか見えづらい、モノづくりの過程を学んだ。それは悠木さんにとって、非常に重要だったという。

「それまでも発注に応じて歯車を作ってきたけれど、実際にどう組み上がるのか、なぜこの歯車が必要なのかが見えるようになった。『出っ張りを削って』と言われる理由、――理由というか事情、ですよね。それが分かることで、より視野が広がりました」

U30職業シリーズインタビュー・悠木碧MV撮影現場で、モニターチェックを行う悠木さん
モノづくりの知識と経験を広げゆく悠木さんが、プロデュース側へ回るのは自然な流れだったのだろう。みずから企画・原作・キャラクター原案を担うアニメ化を目指す企画・YUKI×AOIキメラプロジェクトが既に始動している。

「やっぱり最終的にたどり着いたのは、『私も一からアニメを作ってみたい!』だったんですよね。それでキメラプロジェクトを始めて」

プロジェクトの始まりは、広告会社に勤める旧友から新しいアニメ企画の相談を受けたことだったそうだ。

▲イベント出演で直接ファンと交流を深める機会も多い。

「仲のいい友人と、雑談の流れで『じゃあ私が原作を書こうか?』と言ってみたら『それ、めちゃくちゃ面白い!一緒にアニメ作ろうぜ!』と盛り上がっちゃって(笑)。

私は一応、原作というポジションではあるのですが、どうやったら面白くなるかな? 本当にそれで売れるのか? といった相談も一緒にしています。スタッフィングや制作会社へのプレゼンにも何度か参加させてもらっていて、どんな監督さんと作りたいか、作画会社さんはどこがいいか、考えるのはめちゃくちゃ楽しいです!」

■「好き」だから、「好き」を努力する


声優を生業にしながら、悠木さんはオタクを公言する。ここまで情熱的に話し続けてくれた悠木さんに「趣味を仕事にしたつらさはないのか」と尋ねると、「ありますねぇ」と彼女は大きく息を吐いた。

「好きなことを仕事にしちゃったので、趣味ではいられなくなってしまったと思うことがあります。でも、好きだからこそ踏ん張れることもある。『絶対にこうだ!』と戦うことができるんですよ。

だからなるべくアニメを好きでいよう、ゲームを好きでいようと思っているし、好きでいられるように努力することが大事なんです。それができている間は、アニメを応援してくれる人たちに寄り添えるんじゃないかと信じて、頑張っていたりします」

U30職業シリーズインタビュー・悠木碧
キャラクターを想像するとき、「私が好きになれるかどうかはすごく大事」と、悠木さんは教えてくれた。明確な正解がないこの仕事で、「好き」は数少ない指針となる。
絶対に好きなところを見つけてあげる。みんなに愛される子になったらいいなと思って作る。それがなければ、アニメを応援してくれる人の「好き」には決してつながらない。

「私は私の得意なことしかできない、とても不器用な人間です。でも、世の中にはきっと、得意だけれども好きではない仕事で頑張っている人もたくさんいて、それは私にはできないことだったりもします。だから、働くみんなが同志だし、それぞれのパートを頑張ってくれてありがとう、と心の底から思っています」

■あなたにとって仕事とは


働く同世代に向けて、「一緒に頑張りましょう、強く生きましょう!」と、悠木さんは笑った。
何事にもポジティブにかまえ、新しい仕事に挑戦し続ける悠木さんに、最後にこのインタビューシリーズ共通の質問を投げかける。あなたにとって仕事とは?

「すごく難しいな……う~~~ん、……楽しい(笑)。
エンターテインメントを売る私たちは、私たち自身が楽しく仕事をしていないと、幸せを波及できないのだと思います。これは最近気づいたことです。
なので、仕事は楽しい。この状態をキープすることが私の仕事。私はとても幸せです」


【プロフィール】
悠木 碧(ゆうき あおい)/3月27日生まれ。千葉県出身。牡羊座。A型。プロ・フィット所属。4歳の時に子役として芸能界に入り、2003年に声優デビュー。2008年にTVアニメ『紅 kurenai』九鳳院紫役で初めてヒロインを演じる。主な出演作に、『魔法少女まどか☆マギカ』鹿目まどか役、『君の名は。』名取早耶香役、『ブギーポップは笑わない』ブギーポップ/宮下藤花役など。2012年の第6回声優アワードにおいて歴代最年少の19歳で主演女優賞を受賞し脚光を浴びる。同年、ミニ・アルバム『プティパ』でソロアーティストデビュー。2020年1月には最新シングル『Unbreakable』をリリースした。

当記事は、アニメ!アニメ!とLINEとの"U30職業シリーズ"共同企画です。
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《奥村ひとみ》

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