悠木碧「実力主義の声優に自由を感じた」子役からの転身と“好き”を指針とした仕事論【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

悠木碧「実力主義の声優に自由を感じた」子役からの転身と“好き”を指針とした仕事論【インタビュー】

30歳以下でプロフェッショナルとして活躍するUNDER30世代に、同年代のアニメ!アニメ!編集部スタッフがインタビュー。『君の名は。』や『魔法少女まどか☆マギカ』など数多くの人気アニメでキャラクターに命を吹き込む声優・悠木碧に仕事への向き合い方を聞いた。。

インタビュー 声優
U30職業シリーズインタビュー・悠木碧
U30職業シリーズインタビュー・悠木碧 全 12 枚 拡大写真
『君の名は。』や、『ラブライブ!』など、現代日本カルチャーの中でも社会現象とも言うべきヒットを次々と生み出す日本のアニメ。
それらに出演する「声優」という職業にもかつてないほど注目が集まっている。

今や声優は作品の裏方というだけでなく、アーティスト活動などの表に出るエンターテイナーとしても活躍し、ティーンエイジャー憧れの職業のひとつでもある。
しかし、競争は激しく生き残りの厳しい世界でもある。そんな業界で、数々の人気作品に出演しながら、アーティスト活動やプロデュース活動をも精力的に行う声優がいる。

悠木碧27歳だ。


30歳以下でプロフェッショナルとして活躍する「UNDER30」世代に、“あなたにとっての仕事とは?”を尋ねるインタビューシリーズ。
『君の名は。』や『魔法少女まどか☆マギカ』をはじめとする多くの人気アニメでキャラクターに命を吹き込む彼女に、仕事への向き合い方を聞く。

【取材=奥村ひとみ、沖本茂義/構成=奥村ひとみ、日詰明嘉/撮影=小原聡太】

▲悠木さんの出せる声を集めたボイスサンプル。七色の声を使い分ける技術が分かる

■オーディション落選から始まった芸能人生


「私、子どもの頃に鏡の中の自分としゃべるクセがあったんです(笑)。きっと、普通だったら『みっともないから止めなさい』と怒られると思うのですが、私の家族はこれを個性だと見守ってくれて、それを活かせるような社会に入れてあげようと、CMのオーディションに応募してくれたんです」

笑ってそう話す悠木さんが芸能の道を歩み始めたのは4歳のときだった。
はじめてのオーディション。周囲にはすでに歴戦の子役タレントがドイツ語の歌を歌ったり、3秒で涙をこぼしたりと多芸を見せるなか、『美少女戦士セーラームーン』のアニメの主題歌を歌った悠木さん。結果は落選だった。

U30職業シリーズインタビュー・悠木碧オーディションの落選からスタートした悠木さん。現在では声優のほかアーティストとしても活躍し、MVでは迫真の演技を見せる。
しかし、会場で子役劇団のスカウトを受けて芸能事務所に所属する。「褒めてもらえるのが嬉しくてしょうがなかった」と、お芝居の楽しさに没頭したという悠木さん。
親は「楽しくなくなったら辞めていい」というスタンスを守り、オーディションに行けば、それだけでも「えらかったね」と褒めてくれた。

「事務所がオーディションを強く薦めても、親は必ず私に受けるかどうかを確認しました。イヤだと言ったら、自分でそれを判断したことを褒めてくれました。今から考えると、ただの親バカだったのかもしれませんが、本当に感謝しかありません」

■実力主義の声優に自由を感じた


ところが、子役にとって芸能界は楽しい事ばかりではなかった。子役は「子供の役者」であるケースだけではなく、「ある人物の子供時代」としてキャスティングされる場合もある。その際に重要視されるのは、大人の役者と似ているかどうかだった。

「私は私なりにこのキャラクター・役のことを一生懸命考えて勉強してきたはずだったのに、ルックスが優先された子が受かるのはやっぱり悔しかったんです。私のロジックをバカにされた気持ちというか……。もちろん私の技術が及ばなかった可能性も全然あるんですけどね」

U30職業シリーズインタビュー・悠木碧
子役の仕事を続ける中で「仕事というより、趣味としてお芝居が好き」と確信していたという彼女。
だが、同時に「だからこそ実写はできないと思いました。平たく言うと、何を着ても似合って何にでもなれる人か、圧倒的な外見の個性がある人でないとあの場には立てない。それよりも私はもっといろんなものになりたかったんです」

そんな時、出会ったのが、「声優」という道だった。当時の担当マネージャーが「顔を出さなくてもお芝居をできる場所があるよ」と教えてくれたという。

「声優は、姿かたちに一切とらわれない。マイク前だけは顔出しの役者以上に別の人になれる。それがすごく自由で。実力さえあれば何にだってなれるんだと思ったら、なんだかすごく、燃えましたね!」

■仕事にハマった初めての大役


その後、2003年にTVアニメ『キノの旅』でアニメ声優デビューを果たし、いくつかの作品で声優としての経験を積んでいった悠木さん。転機になったのは、2008年放送のTVアニメ『紅 kurenai』だったという。この作品で彼女はヒロインの九鳳院紫に選ばれた。
そこではスタッフと作品ファンの期待が重くのしかかった。

『紅 kurenai』(C)片山憲太郎・山本ヤマト/集英社・「紅」製作委員会(C)片山憲太郎・山本ヤマト/集英社・「紅」製作委員会
悠木さん演じる九鳳院紫。大財閥・九鳳院家の娘であり、ワガママで世間知らずだが真っ直ぐで恐れを知らない女の子。

「たまたま、見た目や雰囲気が紫に一番近かっただけ。決して上手かったから選ばれたわけじゃない。なのに、誰も私を否定しないのがすごく怖かったです。私だからできることしか求められていないから、もし凡庸な芝居をしたら次の仕事はないって、なんとなく分かった。だから紫のことを考えて、向き合って、紫の考えていることはなんだって分かるようにならないと」

でも、そこにはプレッシャーを超える楽しさがあった。

「燃えますよね。だって、大人から『君にしかできない役なんだよ!』なんて言われたら(笑)。そんな褒められ方をしたら、それをやるためだけに勉強したいし、それだけに時間を使いたい。声優というお仕事にハマりました。楽しかったというか、とにかく一生懸命でした」


→次のページ:キャラクターのフィジカル・メンタルを想像する
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《奥村ひとみ》

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