また、「+Ultra」では『INGRESS THE ANIMATION』に続き、2019年1月には谷口悟朗監督と白組による『revisions リヴィジョンズ』、同年4月には渡辺信一郎監督とBONESによる『キャロル&チューズデイ』など、海外でも人気の高い監督やスタジオによる新作が報じられている。
これらの作品は日本のアニメファンには一体何をもたらすのだろうか。
「+Ultra」と「ノイタミナ」の作品に携わる森彬俊(もり・あきとし)プロデューサーにこれらの疑問をぶつけ、新ブランドである「+Ultra」の意義やプロデューサーとアニメ作品の関係など話を伺った。
[取材・構成=いしじまえいわ]
【関連セミナー情報】
アニメ!アニメ!は、11月17日に「ウィンドウを超える次世代アニメ界のキープレイヤーが語る」と題しセミナーを開催。森プロデューサーも登壇し、「放送局の新しいアニメ戦略とアニメビジネスの現状」というテーマで語ります。
プログラムの詳細&申込みはこちら

プログラムの詳細&申込みはこちら
■「+Ultra」新設に至った、2つの背景とは…
――今回「ノイタミナ」に続いて「+Ultra」という新しい枠を作ったのには、どういう経緯や狙いがあったのでしょうか?
森彬俊プロデューサー(以下、森)
「ノイタミナ」ができてから今年で14年目になります。それで私たちが実感したのは、日本のアニメファンの作品を見る目が非常に成熟してきたということです。
スタートした当時に比べてアニメの本数自体も増えていますが、内容もまた様々な方向性のものがあり、その中からお客様が自分の嗜好に合った作品を自由に選べることが求められています。
一方、海外については、当初は日本での放送から現地に届くまでにタイムラグがあったり、そもそも見ていただくインフラがなかったりなど、様々な問題がありました。
それが近年ではNetflixやAmazonプライム・ビデオなど、見ていただくためのワールドワイドな環境が整ってきたことによって、視聴までの時間差や見た際の感覚など、日本のファンと変わらなくなってきています。
この2つの点から、国内外同時にムーブメントを起こすような先鋭的な作品が作り得るようになってきました。これが「+Ultra」という新しいブランドを新設することになった経緯です。
――「海外に向けた作品」とは、具体的にはどういったものでしょう? 国内向けの作品と何が違うのでしょうか?
森
一例ですが、日本の実在する地域を舞台にした青春もの、といったジャンルがありますよね。
――ええ。そういった作品では聖地巡礼なども盛んに行われています。
森
でも、海外のファンにとって日本の風景は馴染み薄かったり、行ってみたくてもなかなか足を運べなかったりということが生じます。
海外を意識した作品の場合は、国内外どちらのファンでも同じように好きになってもらえる舞台や世界設定を用意し、フラットに意識を共有できるようにする必要があります。
もちろん、今後「+Ultra」で聖地巡礼をできるような作品を作ることもありえますが、こういった意識が海外に向けた作品作りには必要だと考えています。