戦闘描写にモザイクや忖度ほぼ無し!アニメ「アンゴルモア元寇合戦記」の見所を原作者に訊く 2ページ目 | アニメ!アニメ!

戦闘描写にモザイクや忖度ほぼ無し!アニメ「アンゴルモア元寇合戦記」の見所を原作者に訊く

日本の史実・元寇をテーマに、文永11年(1274年)の対馬で起きた蒙古襲来事件を描く歴史スペクタルマンガ『アンゴルモア 元寇合戦記』。史実に則りながらもエンターテインメントとして

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(C)2018 たかぎ七彦/KADOKAWA/アンゴルモア元寇合戦記製作委員会
(C)2018 たかぎ七彦/KADOKAWA/アンゴルモア元寇合戦記製作委員会 全 12 枚 拡大写真

■描きたいのは“戦い”という共通のテーマを持った人間ドラマ


――作品では戦いを通して色んな立場の人間が複雑に絡み合っていきますが、一貫して描きたいテーマは?

たかぎ
やっぱり戦うということへの意志です。決して戦わなければいけないというテーマではなく、戦いを通じて揺れ動く人間模様を描きたい。
戦いというのは多かれ少なかれ、時代を超えた普遍的なテーマだと思うんですよ。戦うという一つの事件を通じて、裏切ったり、逃げたりするような揺れ動く人間真理に重きを置いています。あくまでもエンターテインメント作品でなければいけない。

――鎌倉時代の生死感など、現代人は共感しづらい部分もありますが、伝わるように工夫した部分はありますか?

たかぎ
例えば、一所懸命というのは、当時の言葉ですけど、今でも通じると思うんです。仕事などで様々な問題にぶつかる時に、作中の登場人物に自分を重ね合わせてもらえるように、言葉選びなどは現代とあまりかけ離れずにどちらにも通用するものを選んでいます。

ペン入れまで手描きで、その後はPCに取り込んでトーン貼りなど仕上げを行う。アシスタントは1人体制でシフト交代で入ってもらっているという

――これまで描いた中でとくに思い入れのあるシーンはありますか?

たかぎ
本作は義経流や安徳天皇生存説、義経がモンゴルに渡った説など物語の幅を広げたり、厚みを増したりするためのテイストとして取り入れつつも、軸は史実なのであまりファンタジーに逸れないようにしています。
とは言っても、全体的に見ると史実の記録が少ない作品ではあります。なので、佐須浦の合戦は描いていて楽しかったですし、8巻で当時の大陸の情勢を多めに描いたのは個人的な趣味の部分も多少ありますね(笑)。

■対馬に行かなかったら、5巻くらいで終わっていた



――鎌倉時代の街並みや当時の馬など、描くうえで史料が少ない部分もあったと思います。どのように取材をしたのですか?

たかぎ
街並みについては、自分が実際に言ったことがある中国の雲南省や、東南アジアのまだきちんと整地されていない地面だとか、昔ながらの雰囲気を感じる町並みを参考にしました。
それと当時の人が描いた絵巻なども、ディテールの部分でとても参考になるものがあったので組み合わせています。馬は牧場馬を中世時代風に置き換えて、毛並みをきれいにカットされていない野生馬に近づけています。

――実際に対馬にも取材に行かれたと聞きました

たかぎ
対馬に足を運んだことで、尺がのびました。本当は5巻くらいで終わる予定だったんですよ(笑)。
実際に足を運ぶと面白い要素が多くて、「あ!これも入れよう、これも入れよう」と思ったら、結局9巻にまでのびた(2018年7月現在)。
金田城も蒙古襲来時とは直接の関係がない古代遺跡ですけど、これを描かない手はないなと思いましたし、対馬の険しい地形も行かないと分からない部分も多くて、だいぶ描写するうえでで助かっています。


■声が入るだけで漫画の何気ないシーンが大きく変わる


――いよいよアニメ放送されますが、どのように制作に関わりましたか?

たかぎ
時代考証の部分では、鎧の大袖(鎧の肩部分)は1枚板ではなく、きちんと繋ぎ合わさったフワッと稼働する形にして欲しい、刀のカーブはこうして欲しいなどはお伝えしました。
あんまりここの考証はこうだとか厳密にはお願いしていないです。あくまでも人間ドラマがメインなので。それにスタッフの方も熱心に考証してくれているので、聞かれた時に「できれば」と注釈をつけて史料をお送りするくらいですね。

脚本の読み合わせにも、参加しましたが、すごく良い感じにまとめてくれているので、ほとんど何も言うことはありませんでした。
原作者として、言葉の重みを考えてよほどの事が無ければ口を挿むことはしていないです。ほぼほぼ、聞いているだけ(笑)。

作画資料のために特注で頼んだ、鎌倉時代使われた日本刀の模造刀


――マンガからアニメになることで変化はありますか?

たかぎ
やっぱり声優さんの演技が加わるると、マンガで強調したところはより強調されますし、逆に「なるほど!ここは声をあてるとこういう感じになるんだ!」という発見もあります。
描いている時は声を想定していないので、良い意味で化学反応が起きていると感じています。

――アニメでしかできないような表現はなんですか?

たかぎ
やっぱり殺陣のシーンですね。マンガでは止め絵しか無いので、PVでもご覧いただける蒙古軍の仮面の男との戦いはでもご覧いただけますが、「すごく動いているな!」と感動しました。
あとは声優さん。本当に適任の方を選んでくださったので、何げないシーンとかでも声が入るだけで「ああ~!」とマンガとは全く別の良さがあるなと思いました。
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《乃木章》

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