『日本のコンテンツ競争力と政策のあり方』
このパネルは強烈であった。冒頭に岸本氏がいきなり「ジャパニーズクールなど10年前に既に終わっている」との挑戦的な発言されたからである。岸本氏は財務省出身で、2000年から2002年には通商産業省商務情報政策局文化情報関連産業課長などとして国のコンテンツ産業政
イベント・レポート
ビジネス
注目記事
-
2025年冬アニメ(1月クール)で一番良かった作品は? 3位「地縛少年花子くん2」、2位「メダリスト」、1位は4月から第2クールがスタートする…
-
異世界魔王の超無双スクールライフ「ラスボス少女アカリ」をピックアップ!【「ジャンプTOON」注目作レビュー/Vol.1】【PR]
岸本氏は、アニメビジネスを中心に日本のコンテンツ産業の構造に問題点が多く、その構造を変えなければコンテンツ産業の発展はないと強調した。アニメ産業が抱える問題は主にTV局と制作会社の関係で、TV局がアニメ制作会社対してもスポンサーに対しても強い立場にあることだという。こうした構造の中から、普通の産業構造ではありえない原価と販売価格の逆転が生み出されている。
しかし、こうしたビジネスモデルは地上波放送局の影響力の低下傾向が進むため今後は続かないだろうと予測する。こうした状況の中、コンテンツビジネスにおいての力が放送局といったメディアから制作側に移っていく可能性が強いとする。
そして、制作がより強くなるためには資金力が必要であり、良いプロデューサーが必要である。そのための施策を国は取っていると結んだ。
冒頭の刺激的な発言ではあったが、岸本氏の考えは必ずしも業界に対する悲観ではなかったように感じた。むしろ、一部のマスメディアにおいて楽観的になり過ぎる状況に警告する意味が強い。一方、これまでの構造が崩れざる得ない状況で、コンテンツクリエーターの状況を改善し、その中から日本のコンテンツの競争力を生み出さなければいけないという提言であったといえる。
『コンテンツビジネスの未来』レポート3
岸本周平氏 国際大学GLOCOM客員教授
鈴木寿一郎 ㈱C&R総研代表取締役
田中辰雄 慶応義塾大学経済学部助教授
/国際大学GLOCOM
/C&R総研
《animeanime》