『アジアオンラインゲームカンファレンス2005』レポート
新宿にある工学院大学で開催された『アジアオンラインゲームカンファレンス2005』に行って来た。オンラインゲームだけに特化したイベント、アジアに特化した大規模なゲームコンファレンスは初めてだろう。もっとも、アジアという枕詞はオンラインゲームの参加人口のほ
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コンファレンスがあえてオンラインゲームに絞ったのは、次世代に占めるオンラインゲームの重要さやゲーム業界の次の関心が間違いなくオンランゲームにあることを示している。そして、今回の多くの講演の中で語られているように、オンラインゲーム市場の将来性と伸び率は高いのだ。
しかし、コンファレンスに参加して感じたのは、これほどまでに関心を集めているオンラインゲームであるにも関わらず多くの点で混乱があり、様々な重要なトピックスですらコンセンサスが形成されていない事実だ。
それは、基調講演を務めた株式会社スクウェア・エニックスの和田洋一社長の発言に代表することが出来る。和田社長が度々強調したのは、オンラインゲームについて信じられている多くのことに間違いがあるということだ。とりわけ、オンラインゲームは韓国と中国が絶対的に勝っており日本は遅れていると言われるが、日本は決して負けていないと主張された。
確かに、韓国と中国の強さについては、疑問を投げかける声は幾つか聞かれた。コーエーの松原健二氏は、技術的にはやはり日米欧のほうがだいぶ高いと指摘したし、他にも中韓の市場にあるのは、日本、米国、欧州との違い、市場特質の違いであり優劣ではないといった主張は聞かれた。
さらに、統一見解がない点がいくつかあった。それは、オンラインゲームの将来にもいえる。全世界で受けるオンラインゲームでのグローバルタイトル出現を予測する意見があるいっぽう、オンラインゲームの市場は地域や文化、環境を背景に分裂化、拡散化するかもしれないという両極ともいえる意見が出たことだ。後者は、IGDA日本の新清士氏や野村リサーチ・アンド・アドバイザリーの矢田真理氏の5地域の市場の個性の違いで説明されるだろう。
また、数多くの講演者が強調したことのひとつにゲーム業界、とりわけオンラインゲーム業界についてははっきりとしたデーターがあまりにも少ない、オンラインゲームの市場規模はどの国を取っても正確な数字が出てこないということだ。豊富な資料で日米中韓欧の5地域のプラットフォーム別の状況を解説した矢田氏はデーター集めの難しさを強調されていたし、エンターブレインの浜村弘一社長も豊富な資料を準備しながらもオンラインゲームの数字については推定になると語っている。
これは、ゲーム業界自体の未熟さも一因かもしれない。しかし、オンラインゲームの市場の成長スピードがあまりにも速いこと、アーリー段階の市場であり市場の参加者すら定まっていないことも大きな原因であろう。そして、一番の理由はオンラインゲームが、これまでの方法では数字を捉えることの出来ないこと、それは従来のゲーム市場とは全く別の次元に属していることを象徴しているに違いない。
いずれにしろ、コンファレンスから感じたのは、こうした混乱の中に存在する熱気である。90年代半ば以降、成熟産業、縮小産業と見なされてきたゲーム業界においてオンラインゲームは久々に現われた新天地である。
また、これまでの文脈と異なるから、企業間の一発逆転もありえる世界でもある。しかし、それは日本国内だけでなく、国際競争の中でも一発逆転が起こりうるということだ。韓国のオンライン企業の躍進はそうした現実の一端であろう。チャンスもあるが油断も出来ない。オンラインゲームの成長はゲームビジネスの新たな一段階といえるだろう。
『アジアオンラインゲームカンファレンス2005』
2月28日、3月1日
東京 工学院大学新宿キャンパス
主催: ブロードバンド推進協議会
後援: 経済産業省、社団法人コンピュータエンタテイメント協会、国際ゲーム開発者会議日本、社団法人コンテンツ経営研究所(韓国)
/アジアオンラインゲームカンファレンス2005
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