■アニメレビューに必要な「勇気」「度胸」を得るためには?
――書きたいことの取捨選択をしっかりして、自分の書きたいテーマが「この作品は〇〇だ!」という風に絞り込んではっきり明示できた上で、他にも意識すべきことはあるでしょうか?
藤津:掲げたテーマやロジックを強固な印象にするためには、テーマだけでなく一文一文も言い切る形で書いた方がいいです。今回の応募原稿の中にも文末を「私はこう思いました」と主観に寄せたり「こうではないだろうか?」と疑問形にしたりしたものが散見されましたが、それを「こうだ」と客観的な事実として書き直すことで強い印象を与えることができます。
――でも「この作品は〇〇だ!」と言い切るのにも勇気が要りますよね。その作品のファンに「違うよ!」「何も分かってねえな!」って言われたらどうしよう、と思ってしまいそうです。
藤津:僕は、作品について論じることには、それがたとえ好意的なものであったとしても一種暴力的な側面があると思っています。ですから、批判を受けるかもしれない、「バカ!」と言われるかもしれないということについては、覚悟は必要ですね。
――そこは覚悟や自信とかの問題になってくるんですね。
藤津:ですね。思い切り、勇気、度胸です。
――アニメレビューに大事なのは、度胸! では、その度胸や自信はどうやってつければいいのでしょう?
藤津:濁した書き方をしてしまった時に「どうして自分はこういう書き方をしてしまったんだろう? 何故自信をもって言い切れないんだろう?」と考えてみることです。
たとえば、「私はこの作品はこういう点で日本初の作品だと思います」という文章を書いたとして、そこで「この点で日本初の作品だ」と言い切れないのは、書き手の心の中にまだ確証が無いからです。確証を得るためにはどうするべきだと思いますか?
――調べる……でしょうか。
藤津:そうです。作品や資料を何度も見返し、本当に日本初なのかをしっかり調べればいいんです。そうして調べていく中で本当に日本初だと確認できれば自信をもって「この作品はこの点で日本初だ」と書けますし、批判されても「これが証拠だ」と出せばいいやと思えますよね。
作品を見れば見るほど、調べれば調べるほどはっきり言い切った読みやすい文章にすることができます。読みやすくていいレビューを書くことと、作品についてしっかり調べて自分の意見に自信を持つことは両輪なんです。
――もし自分では調べ切ったつもりだったのに、もっと詳しい人から「違うよ!」と批判されたら?
藤津:それはもう自分の力不足、調べ不足ですから「バカ!」と言われても受け入れるしかないですね(笑)。でも自分が調べた先のことを教えてもらえてるのですから、その指摘には納得感があるはずです。それに、次はもっと正確で自信が持てる文章が書けるようになっていますよ。
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レビュー原稿をお送りいただいた読者様へ。あらためましてご協力ありがとうございました! すでに藤津さんのフィードバックを個別に送らせていただきましたが、今後のアニメレビューのご参考になりますと幸いです!(アニメ!アニメ!編集部)