“会社勤めのアニメーター”がSNSでアニメを発信する理由―コマ撮り動画職人・篠原健太【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

“会社勤めのアニメーター”がSNSでアニメを発信する理由―コマ撮り動画職人・篠原健太【インタビュー】

「2Dのアニメと、3Dのストップモーション・アニメをつなぐ架け橋になれると嬉しいです」

インタビュー スタッフ
“会社勤めのアニメーター”がSNSでアニメを発信する理由―コマ撮り動画職人・篠原健太【インタビュー】
“会社勤めのアニメーター”がSNSでアニメを発信する理由―コマ撮り動画職人・篠原健太【インタビュー】 全 7 枚 拡大写真
「2Dのアニメと、3Dのストップモーション・アニメをつなぐ架け橋になれると嬉しいです」

市販のフィギュアなどを使ったユニークなショートアニメーションを次々と発表して、現在、ツイッターやインスタグラムなど、SNS上で人気のクリエイター、篠原健太さん。
彼の手にかかると、ごく普通のフィギュアが、まるで魔法のように、命を与えられたキャラクターとして動き出すと評判だ。

『彼方のアストラ』『SKET DANCE』などで有名マンガ家の篠原健太氏と同姓同名のため、間違われることも多いという篠原さんは、意外なことにストップモーション・アニメーション(コマ撮りアニメーション)で有名なアニメーション・スタジオ「ドワーフ」に勤める、現役のアニメーター。

なぜ、一介の会社員である彼が、仕事の後や休暇を利用してアニメーションを作り、SNSで動画を配信し、さらにそのメイキング映像や技術の解説まで公開しているのか。
フィギュア・アニメーター篠原健太さんのこれまでと、今後の夢などについてお聞きした。
(取材・構成 山科清春)

篠原健太(しのはら・けんた)

1989年愛媛県生まれ。大阪芸術大学附属大阪美術専門学校 キャラクター造形学科アニメーション専攻 在学中に制作した「ニワトリ物語~育む時の中で~」が第9回飛騨国際メルヘンアニメコンテストで子どもメルヘン大賞を受賞。その後こま撮りアニメーションの制作を始める。2014年TYO のアニメーションスタジオ「ドワーフ」にアニメーターアシスタントとしてアルバイトで入社、2016年にはアニメーターとして正式参加。こま撮りアニメーター、2Dアニメーター、そしてキャラクターデザイナーとしてその才能が開花中。Netflixオリジナルシリーズ『リラックマとカオルさん』、26thキネコ国際映画祭日本作品短編部門グランプリ作品『モリモリ島のモーグとペロル』ほか、多数こま撮りアニメーションを担当。
2019年11月、国際的なアートやデザインの賞「NY ADC Young Guns17」にコマ撮り技術とその活動が認められ、本年度、日本人として唯一の入賞を果たした。


――SNSやTikTokなどでストップモーション・アニメを投稿されるたびに反響を集める篠原さんですが、はじめに投稿された動画は?

篠原:最初に配信したのは『仮面ライダージオウ』がひたすら歩いている動画です。ループでずっと歩いているように見せています。


当時はSNSをそれほど活用していなかったのですが、ツイッターで公開すると500くらい「いいね」がついて、「けっこう伸びたな」と思いました。僕にとっては初めての体験だったので、とても嬉しかったのを覚えています。
次に撮ったのが『この素晴らしい世界に祝福を!』というアニメの「めぐみん」というキャラクターで、10000くらい「いいね」をもらえました。

「爆裂魔法を放つめぐみん」

 
その次が『ゼルダの伝説』のリンクの「回転斬り」です。1万を越える「いいね」をいただきました。
たくさんの人に反応していただけるようになったのは、そのあたりからだと思います。

『リンクVS文房具』



メイキング


――大反響になりましたが、多くの人に「いいね」といわれて、どう感じましたか?

篠原:それまでもクライアントさんや監督さんに喜んでもらえて嬉しかったことはありましたが、その先のお客さんの反応が直接的には見えにくかったんです。
SNSを通すと、一般の「オーディエンス」に観てもらえて、直接リアクションをもらえたので、それがすごく嬉しくて。SNSの方も頑張ってやっていこうと思いました。

――篠原さんはストップモーション・アニメーション(以下、ストップモーション・アニメ)で有名なスタジオ「ドワーフ」さんの現役アニメーターですが、そもそも個人でSNSでの投稿を始めようと思ったきっかけは?

篠原:僕は大阪の専門学校を出たあと、上京して好きなアニメーターの仕事につくことができました。でも仕事では、多くの人と一緒に作るものですから、必ずしも自分が好きなものを作りたいように作れるとは限らないんですね。

そこで、土日や夜などの、空いた時間を利用して作ったアニメーションをツイッターにアップしてみたんです。
やっぱり「面白いこと」をするためには、クリエイターが「仲間」や「ファン」と呼べる存在とたくさん出会って、繋がった方がいい。その方がもっと自由に面白いことができるようになるんじゃないか、そう思ったのがSNSにアップし始めたきっかけですね。

――組織に所属しながら外に発信するというのは珍しいですね。

篠原:「会社員でありながら、頑張ってる感じ」がすごく面白い、応援したくなると言ってくれる人もいました。
フリーのアニメーターさんに「よくやった!」と応援していただいたこともあります。

SNSで話題になることでストップモーション・アニメを盛り上げることにもなりますし、メイキングを公開し「現場ではこんな孤独な作業をしてるんだ」と発信することで、アニメーターの大変さや気持ちを一般の人に知ってもらえたら嬉しい。自分がやっていることにはそういう役割もあったんだなと思いました。


――最初にご自分で投稿された時、周りの人のアニメーターさんや、ドワーフ社内の方のリアクションはいかがでしたか?

篠原:社内では面白いって言ってくれる人も多いですが……意外に静かで、特に何も言わないというか(笑)、温かく見守っていただいてる感じだったと思います。

――「会社の仕事とは別に、個人で作品を発信してもいいんだ」というのは「クリエイターの新しい働き方」の提案になるかもしれませんね。

篠原:僕の発信によって、若い人に「そんな面白い働き方があるんだと」と希望を持っててもらえればいいなと思っています。


→次のページ:フィギュアによるアニメーションが大反響
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《山科清春》

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