「SSSS.GRIDMAN」「楽園追放」のグラフィニカ、攻めの姿勢だけど「受託の仕事は辞めない」その理由とは?【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「SSSS.GRIDMAN」「楽園追放」のグラフィニカ、攻めの姿勢だけど「受託の仕事は辞めない」その理由とは?【インタビュー】

『SSSS.GRIDMAN』『楽園追放 -Expelled from Paradise-』3DCGなどでさまざまな作品に参加してきたグラフィニカ。活躍の領域をどんどん拡大しているグラフィニカは何を目指しているのか? 伊藤暢啓社長と、CGディレクターの篠原章郎、宮風慎一に話を訊いた。

インタビュー スタッフ
注目記事
「SSSS.GRIDMAN」「楽園追放」のグラフィニカ、攻めの姿勢だけど「受託の仕事は辞めない」その理由とは?【インタビュー】
「SSSS.GRIDMAN」「楽園追放」のグラフィニカ、攻めの姿勢だけど「受託の仕事は辞めない」その理由とは?【インタビュー】 全 24 枚 拡大写真
CGディレクター 篠原章郎(左)、宮風慎一(右)にもお話を伺った

——お二人はどういう経緯でグラフィニカに参加したのでしょうか?

篠原:僕は元々GONZOだったので、CG班が分離してこちらに合流する時に、そのままグラフィニカに来ました。
当時は自分も若手だったので、「ああ、そうなるんだ」というぐらいの感じしかなかったです(笑)。
だから会社も「いつの間にか大分大きくなっていたなぁ」という感じです。

宮風:僕は、フリーランスである会社に席を置いていたんですが、5年前にグラフィニカに応募して、中途採用で入社しました。
社員として雇用してくれるというのが一番の決めてでした。

あと3DCGだけではなく編集や撮影の仕事もやっていて、経営的にも安心できそうだという気持ちもありました。


——篠原さんは『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』、宮風さんは『SSSS.GRIDMAN』に参加して、どちらも話題となりました。宮風さんは『SSSS.GRIDMAN』担当していかがでしたか?

宮風『SSSS.GRIDMAN』は怪獣とグリッドマンの戦いを特撮っぽいテイストで見せるというのがオーダーで、「特撮っぽく」「着ぐるみっぽく」っていうことなら、これはできるだろうと思いました。

これが「怪獣を本物の生物らしく見せる」だとハードルがかなり高かったと思います。

篠原:『SSSS.GRIDMAN』は見ていて、楽しそうでしたね。
たとえばエフェクトひとつとっても、「絶対2Dでなくてはいけない」とか、そういう制約が少ないんですよ。

「カッコよければOK」っていう精神だから、アニメーターの個々の自由な発想が画面に出ていて、すごくいいなぁと思いました(笑)。
ああいう仕事ってありそうでなかなかないんですよ。

『SSSS.GRIDMAN』(C)円谷プロ(C)2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
——カメラアングルは大変なものも多かったような気がしましたが。

宮風:いえ、それほどでもなかったです。
絵コンテの段階で意図的に足元を省いたアングルにしてくれていたので、それがすごく助かりました。

カメラ位置がグリッドマンや怪獣の足元あたりに置かれることが多く、基本はあおりなので、足元が自然と切れているんです。
カメラワークは時々大きかったですが、視点を変えられるのは3DCGの強みでもありますからね。

ただカメラを大きく動かす時は背景も3DCGになるので、そこはTVアニメの領分を越えないように注意はしました。
たとえば回り込みなどは空間を正確に作り込むのではなく、“回り込みしている風”に処理したカットもあります。


——『ANEMONE』のほうは、主人公アネモネとヒロイン・エウレカが少女になった姿が3DCGで描かれました。

篠原:うちとしてはこういうノウハウは『楽園追放』で一本積んできてるので、「やれなくはないだろう」というのは元々ありました。
しかもアニメーターの倉島(亜由美)さんがチェックに参加してくれて、僕らに「2Dの作画はこういうふうに考えて描いている」ということをいろいろ伝えてくれたんです。

そこに若い子たちの頑張りが加わって、2D的な表現と、3D的な特徴がうまくミックスされたかなと思います。

宮風:『ANEMONE』は僕も少し手伝ったんですが、結構難しいことをやっているなと思いました(笑)。

篠原:(笑)

宮風:例えば、動きの激しいシーンであれば、相手を掴んでいる手が多少ずれたりしても気にならないんです。

でも『ANEMONE』はすごく自然な演技内容だったので、そういうちょっとした違和感が致命的なんです。
これはTVではとてもできることではなくて、劇場版だからなんとかなったと感じました。

篠原:今回は、開発を含めて時間的に断念した部分もありました。
表現的にも影の出し方とかはまだまだ改善の余地があるので、もう少し効率的にかつ作画っぽい表現になるように挑戦してみたいと思っています。

そこに向けてちょっと仕込みや開発をしてみようかと周囲のスタッフとも話をしていますし。

——『SSSS.GRIDMAN』の時は時間的な余裕はどうでしたか?

宮風:進行状況はとてもよかったです。それも3DCGがうまくいった理由ですね。

僕としては「これを機にアニメの作り方自体が変わってくれたらいいのに」と思うぐらい、よかったです。
というのも、3DCGというのは結構事前準備がかかるので、今の作画アニメの、最終的にアニメーターが描いた段階でフィックスするというフローとは相性が悪いんです。

だから『SSSS.GRIDMAN』と同じぐらい進行状況がよければ3DCGもいろいろできるんだよ、ということがもっと広まるといいなと感じました。


——グラフィニカは10周年を迎えましたが、その中で何が大きく変わったでしょうか?

篠原キャラクターをがっつりやったという意味では『楽園追放』は大きかったんじゃないでしょうか。

そこから5年が経って、今は、キャラクターの作り方もクオリティーも当時とは全然違うところにまで到達しています。

自分は10年前から3DCGでキャラクターを描いていて、今でも目指しているものは変わっていないんですが、それを表現するための手法は昔と今ではだいぶ変わったという印象です。

宮風:求められるものは変わってないですよね。

あと作画と近いのは、濃度や密度みたいなものをより求められるようになったところです。
僕個人としては、『ガールズ&パンツァー』のインパクトはとても大きかったです。週刊であの物量をよくやりきったなと。

——先ほどの伊藤社長への取材で、スタッフの成長には板野一郎さんの存在が大きいというお話がありました。

篠原:その通りだと思います。
板野さんは、社内で講座を定期的にやってくださるだけでなく、案件ベースでチェックをお願いすることも多いです。

宮風:『SSSS.GRIDMAN』は完全に案件ベースで、板野さんの力を借りようと考えていました。
板野さんは映画『ULTRAMAN』にも参加されていますし。

篠原:講座は、3DCGの話題だけにとどまらず、手描きの作画の講習や絵コンテ・演出の勉強なども幅広くやっていただいています。

宮風:僕も入社してから講座に参加しましたが、単純に技術を教える以上の意味がある感じでした。

僕としては講座で学べる大事なことは「発想や答えの出し方」で、凝り固まらないで考えることの重要性を実感できるよい機会でした。


——ファンの反応を見たりしますか?

宮風:『SSSS.GRIDMAN』の時は検索してました。

放送時にはもう作品は完成していたので、反応を見てどうこうすることはないのですが、一度、こちらが参考にした作品を放送後、即当てられたことがあって、それはうれしかったです。
ちゃんとこちらが狙ったものがわかってもらえたんだなと。

そういう意味では、スタッフに声援を送りたければSNSに書いてもらうのが一番早いと思います。かならずどこかでひっかかってきますから。

篠原:僕も『アネモネ』公開になった後は、反応が心配で検索していました(笑)。
SNSでコメントしてもらえれば、見ることができるので、そういう声援はとてもありがたいです。

——ファンの方にメッセージはありますか?

宮風:グラフィニカはホワイトな会社で、オンとオフを守りながらちゃんと働いているので……。

篠原:好きな方にはどんどん入社してもらって、一緒に作品を作りたいですね。
今後もクオリティ高いものを作り続けますので、是非よろしくお願いします。



◆ ◆ ◆
現在、インタビュー記事を読んでくれた「あなたが直接アニメスタジオに応援や感謝のメッセージを送れる」ファン参加型の企画を実施中です!
これは、アニメ!アニメ!もパートナーの1社として参画しているコミュニティ通貨「オタクコイン」内の企画で、オタクコイン公式アプリ内でのみ応援が可能となっています。アプリをダウンロードの上、是非応援にご参加ください。


オタクコイン公式アプリのダウンロードはコチラから
>「オタクコイン」公式アプリ Android / Google Play
>「オタクコイン」公式アプリ iOS / App Store>
  1. «
  2. 1
  3. 2

《藤津亮太》

特集

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]