■“癒やし”を求めている人にはこのマンガ!
――何が飛び出すんだろう(笑)。わかりました。では、2巡目にいきましょう。
江崎
じゃあ、僕が。恋愛ものはもう挙がったので、恋愛ではなく“愛”で癒やされたい人にオススメしたい作品を挙げます。『学園ベビーシッターズ』!
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『学園ベビーシッターズ』時計野はり 最新刊18巻発売中 LaLa
飛行機事故で両親を亡くした鹿島竜一と、その弟虎太郎は、同事故で息子夫婦を失った森ノ宮学園の理事長に引き取られる。だが、その際に理事長が出した条件は「学園の保育室でベビーシッターをすること」。竜一は子どもたち相手に翻弄されながらも奮闘するが……!
飛行機事故で両親を亡くした鹿島竜一と、その弟虎太郎は、同事故で息子夫婦を失った森ノ宮学園の理事長に引き取られる。だが、その際に理事長が出した条件は「学園の保育室でベビーシッターをすること」。竜一は子どもたち相手に翻弄されながらも奮闘するが……!
江崎
主人公の鹿島竜一と鹿島虎太郎の兄弟が飛行機事故で両親を亡くし、同じ事故で息子夫婦を亡くした学園の理事長に引き取られて……というところから物語が始まるんですが、非常にほっこりとした作風です。
竜一は学園に作られた保育ルームで女性教員の子どもたちのお世話をするベビーシッター部に入りつつ、学園生活を送っていくわけなんですが、彼は、辛いことをなんでも抱え込んじゃう癖があるんですね。
で、まだ簡単な言葉しか話せないほどの子どもな虎太郎は、そんな大好きなお兄ちゃんのために頑張ろうとする。可愛いのはもちろんなのですが、大好きなものために純粋に頑張る姿は、僕たちに今チャレンジしていることや、仕事などを始めたころの初心に帰るきっかけを作ってくれます。
沖本
あと、シンプルに子ども同士のやり取りって可愛いですよね。それだけで癒やしになる。
江崎
そうですね。いろんなタイプの家族が見られるのも魅力です。竜一と同じベビーシッター部に所属する狼谷隼くんは、無愛想でわんぱくな弟にすぐげんこつを繰り出してしまうタイプなんですが、そこにも愛情が見えたりするんですよ。
それぞれの家族の愛の形の違いが面白いですね。
沖本
初心を思い出すという話があったので、関連して、僕の2作目を挙げたいと思います。
生きていくうえでもっともストレスを感じることは何かと考えてみたら、圧倒的に「会社」「仕事」!
――それをこの場で言っちゃうんですね(笑)。
沖本
まぁ、ただただストレスということではなく、ある種戦いの場でもあると思っているからなんですが。
ということで、お仕事系マンガです! 『左ききのエレン』。
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『左ききのエレン』原作:かっぴー マンガ:nifuni 最新刊7巻発売中 ジャンプコミックスDIGITAL
広告代理店に務める若手デザイナー・朝倉光一は、有名になることを夢見て働く中で、高校時代に出会った天才・エレンのことを思い出す。憧れや嫉妬など、様々な感情が渦巻くクリエイターたちの群像劇。「少年ジャンプ+」にて連載中。
広告代理店に務める若手デザイナー・朝倉光一は、有名になることを夢見て働く中で、高校時代に出会った天才・エレンのことを思い出す。憧れや嫉妬など、様々な感情が渦巻くクリエイターたちの群像劇。「少年ジャンプ+」にて連載中。
沖本
まずキャッチコピーが秀逸なんです。
【天才になれなかったすべての人へ――】
コレですよ! ほとんどの人は“天才”ではないから、「もうこれは俺のマンガだ!」となる。
MINAMI
たしかに。
沖本
広告業界で働く若手デザイナーの朝倉光一と、アメリカでアーティストとして学び、有名になっていくエレンのW主人公でストーリーは進んでいきます。
知らなかった世界を知れる“業界もの”としての面白さもあるんですが、なんと言っても同じ働く人間としての“わかりみ”が深い!
――ほう。たとえば?
沖本
第1話で、デザイナーの朝倉が、営業のミスにより納期ギリギリの仕事に追われ「もっと時間があれば!」とグチをこぼすシーンがあるんです。
そこに先輩ディレクターの神谷雄介が現れ、こう告げる。「万全なんて一生こねぇぞ」と。
つまり仕事とは与えられた時間の中でいかにポテンシャルを発揮できるかが重要で、これは僕の「編集」もふくめ全ての職種に言えることなんですよ。
――なるほど。
沖本
あと面白いのは、高校時代・大学時代・社会人時代の3つの時間軸が交差して描かれること。“仕事あるある”と、誰しもが持つ初期衝動の記憶を同時に描く作りがエモいし、他のお仕事マンガとの差異が出ていて良い!
5月病の蔓延する時期ですので、新社会人の方や、ある程度経験を重ねた社会人の方はこれを読み、モチベーションを上げてもらうと良いのではないかと思います。
江崎
読んでいて、言葉が胸に刺さりそうですね。
沖本
その「ウッ!」ってなるところも良いんですよ。
――では、続いてMINAMIさんどうでしょう?
MINAMI
日常でストレスが溜まった方に必要なのはやはりデトックスですよ。つまりは泣くことです。
そこで、みなさんも私と一緒にBLでデトックスしましょう! ……ということで、『セブンデイズ』です。
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『セブンデイズ MONDAY→THURSDAY』原作:橘紅緒 作画:宝井理人 全1巻 Hertz&CRAFT
月曜日の一番最初に告白してきた相手と必ず付き合い、週末に別れると噂される芹生冬至は、ある日篠弓弦からの告白を受け、それを承諾する。一週間限定で付き合うことになった二人だが……。
月曜日の一番最初に告白してきた相手と必ず付き合い、週末に別れると噂される芹生冬至は、ある日篠弓弦からの告白を受け、それを承諾する。一週間限定で付き合うことになった二人だが……。
MINAMI
主人公の男の子たちが「一週間限定の恋人」として軽い気持ちからお付き合いすることになるのだが……という流れの物語なんですが、激しい描写はないので、BLの1冊目としても良い作品ではないのかな、と。
沖本
作画の宝井理人先生といえば、『テンカウント』のTVアニメ化が発表され話題となりましたね。
MINAMI
そうそう。
「これは私だー!」という共感を覚える作品って、読んでて超盛り上がるけど、疲れちゃったりもするじゃないですか。
そんなときにちょうどいいのがBLだと思うんです。尊すぎるふたりの純愛を見て、ただただ涙を流すことしかできない……それこそ最高のデトックスの形ですね。
――たしかに。
MINAMI
ドラマCDもあるので、マンガを読んだ後はこちらに触れるのも良いですね。
あと、泣きたいならば『リンゴに蜂蜜』という作品もオススメですね。まあ、3作目になっちゃうので深くは語りませんけれど、片方がゲイを自覚している夏樹という人で、もう片方がストレートのチャラい後輩・コマノというカップルのBLが描かれます。
夏樹はとある事情から超ド級のネガティブ男で恋に奥手なんだけど、明るくて物怖じしないタイプのコマノはゲイとか関係なく好きになっちゃったし……そんな2人が織りなす “哀しみから幸福への軌跡”には涙せずにはいられません。こちらもデトックスにオススメです。
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『リンゴに蜂蜜』秀良子 全1巻 マーブルコミックス
とある過去を抱えているゲイの松田夏樹の人生は、コマノが現れたことで一変……。ネガティブな夏樹と、明るいカレー好きのコマノの甘さに満ちた日々の始まりが描かれる。
とある過去を抱えているゲイの松田夏樹の人生は、コマノが現れたことで一変……。ネガティブな夏樹と、明るいカレー好きのコマノの甘さに満ちた日々の始まりが描かれる。
――では、最後に小野瀬さんのオススメの2作を語っていただきたいと思います。
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