「平成ゲームメモリアル第4回」洋ゲーの衝撃... 日本のゲーム業界に激震が走った【特集】 3ページ目 | アニメ!アニメ!

「平成ゲームメモリアル第4回」洋ゲーの衝撃... 日本のゲーム業界に激震が走った【特集】

2019年4月30日をもって“平成”が終わります。この連載「平成ゲームメモリアル」は”平成”に発売されたゲームとそのムーブメントを振り返る座談会です。第4回は00年代後半の2005年から2010年ごろまでを振り返ります。

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平成ゲームメモリアル第4回「洋ゲーの衝撃―日本のゲーム業界に激震が走った」
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■CERO Zの誕生と現在まで続く表現規制―PS3/Xbox 360時代に主流となったマルチプラットフォーム化


G.Suzuki また一方で、2006年3月からCEROのレーティングが一新されて、新たに18歳以上が対象となるCERO Z指定と、17歳以上対象のDが誕生しました。

2006年に米国で2007年に国内でXbox 360にて発売された『Gears of War』では、CERO Z枠で発売されましたがチェーンソーで敵を倒すと切断面が真っ黒になるなどの規制問題が話題にもなりましたよね。

葛西祝 表現規制は全面的に反対ですし、規制によってクリエイティブの幅が狭められちゃうことは問題ですね。CERO Zのレーティングを作っても、今でも一部に規制が入るケースもあり、100%の状態でゲームを遊べないのはいかがなものか、とは思いますよ。やはり。

G.Suzuki 結局CERO Zが誕生してからも、現時点までの13年の間に規制問題は元々のタイトルに入っている表現を制限してしまっているままですよね。

伊藤ガブリエル CERO Zに関して葛西さんに同意です。表現規制により、物語の意味合いに齟齬が出てしまうものもありますし。またこの問題は現在のタイトルにおいてもよく取り沙汰されるものでもあります。

SHINJI-coo-K 「表現の“行為”」を規制するんじゃなく「表現の“公開範囲”」、つまりゾーニングに留めてほしいですね。その範囲がまた難しいですが、難しいままに「なるべく規制する」という流れだと萎縮しちゃうんですよね。CEROの規制に関しても、2000年半ばでホットなトピックだったなと改めて思います。

G.Suzuki CERO Zは、00年代後半の洋ゲーローカライズブームに直撃するような時期に試行されてしまいましたよね。

葛西祝 今でもCEROの規制基準がはっきりせず、ゲーム体験の大事な部分に規制が入ったりと、納得いかない部分はあります。

一方で、より現実的なグラフィックス、ゲームプレイによる表現の範囲も広まる中で、業界側がガイドラインを引く必要が当時あったから、やらざるを得なかったのかなと。SHINJI-coo-Kさんや鈴木さんはPCゲームのほうに行ったのって、やっぱり規制がかからないからってのもあるんでしょうか?

G.Suzuki 自分の場合は、2004年の時点でゲームプレイ拡大を求めた故に、本格的にPCゲームへ飛び込んだので「規制がないからプレイするようになった」という形ではありませんでしたね。気付いたら規制の掛かっていないオリジナルをずっと遊んでいたことになりましたす。

SHINJI-coo-K おお、G.Suzukiさんはそうなんですね。自分はPCゲームにみられるアナーキーさに引っ張られたところがあります。たとえばシューターの暴力表現もちょっとゲームとして逸脱してると当時は思っていて、それに魅力を感じてよくプレイするようになりました。

当時というのは2000年半ばぐらいでSteamがスロースタートで登場して以降、前回で大いに語ったPCゲームがいよいよ熱を帯びてきた時期です。

G.Suzuki 確かにSteamはスロースタートでしたね!2004年に『Half-Life 2』で導入して以降2年ぐらい経過した後に、『Red Orchestra: Ostfront 41-45』などインディーゲームやActivisionなどの大手パブリッシャーが参加したぐらいから毎日起動するようになりました。Steam開始直後はValveのタイトルしかなくて数が足りませんでしたね。

また2007年と言えば、洋ゲーの本格的な日本への進出…というか露出が目立つようになりました。特に顕著なのが『Call of Duty 4: Modern Warfare』です。

今までのシリーズが第二次世界大戦を舞台にしてきましたが、一気に現代へと移り、リアルタイムで起こる戦いを体験する展開や、ミッション「オールギリードアップ」のように、派手な爆発や戦闘を行わないで緊迫感を出す演出も可能になった事が印象的です。

2003年3月のイラク戦争勃発とそれに続く治安戦争の混沌から少し、余裕を持って現代の戦いに注目出来るようになってきたのかと思えるようになったと感じました。


他にも、PCゲーム関連では長年の延期を繰り返し6年越しに2007年3月に海外でやっと発売された『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl』や、Steamに他のパブリッシャーが参入して、ようやくPC方面でのダウンロード販売が成長しつつある時でしたね。


葛西祝 『Call of Duty 4: Modern Warfare』はPS3や360にでもリリースされ、このあたりから自分の嗜好も海外タイトルになっていきましたね。立て続けにすごいタイトルがリリースされましたから。

『The Elder Scrolls IV: Oblivion』でRPGでリミットがなくなった世界を初めて体験しましたよ。日本のRPGに慣れていた身からすると、驚きでしたね。メインストーリーで終わらず、広い世界に膨大なイベントが用意されていたり、わかりやすい英雄だけではなく、どうしようもない盗賊や怠け者みたいに主人公の人生を自由に作ることができたりするという。


SHINJI-coo-K PCファーストで生まれたゲームがマルチプラットフォームで販売されるようになった時期でもありますよね。

伊藤ガブリエル 『Half-Life 2: Game of the Year Edition』をパッケージで購入してから、私も本格的にPCゲームを遊ぶようになりましたね。PCで生まれたシリーズが、PS3/Xbox 360/Wiiのマルチプラットフォームでも販売されましたし、『BF2: MC』や『CoD3』などコンソールでのみ発売されたタイトルも中にはありましたね。

G.Suzuki 先の『CoD4』もPCだけでなくコンソールでも同内容の物がリリースされることに驚きがありましたね。一方で、マルチプラットフォームによってコンソールでもPCと同等のグラフィックやフレームレートが低価格で確保できるようになったため、PCでゲームを買う/プレイする優位性や特性が大きく薄まってしまったのが寂しかったですね。特徴や癖があるPCゲームそのもの特徴がマルチプラットフォーム化によって薄まってしまうというか…。

葛西祝 だんだんと、特定のハードでソフトを独占リリースするというのが少なくなっていきましたよね。

G.Suzuki 先のPC版だけ切られてしまうタイトルはあるにせよ、基本的に大手パブリッシャーが出すタイトルはPS3/Xbox 360のマルチプラットフォームは多かったですよね。一方でこの時期は、PCゲームは大きな問題を抱えていたので、コンソールなどに駆逐されてしまうことになってしまうかと思えるところが怖かったです。

葛西祝 あっ、むしろ問題があったんですか?コンソール派からすると、我が世の春かと思っていました……

G.Suzuki 特に有名なのが『Crysis』のCrytekは同作で100万本の売り上げを達しつつも、海賊版によってダメージを受けてしまったことによって、PC独占のゲームを開発を行わないと宣言してしまったことです。

加えて、海賊版問題などに関してIntelやMicrosoftなどの企業を筆頭としたPC Gaming Allianceという団体も立ち上がり、この問題をどうにかしようと解決に模索していた時代だったんですよ。


葛西祝 なるほど!それがのちに『Crysis 2』などコンソールの展開に繋がっていったと。

G.Suzuki そう、そうなんですよ!また、これらのPCゲームの問題に関してValveのGabe Newell氏は、直々にPCゲームの海賊版問題や絶好調なコンソールに対して、Steamは大きな成長を遂げつつあるなどのコメントを当時残していたりするんですよね。まるで、PCゲーマーが抱える問題感に対して安心させるような形で

もちろんPCだけなくPSPやDS、はたまた他のコンソールも含めて00年代後半の海賊版問題は社会的なものだったように思えます。

SHINJI-coo-K特に海賊版に関しては、後の2012年にUBIソフトが「PCゲームは1割しか正規ユーザーがいない」という爆弾発言をしましたからね。大いに反感を買うことになりましたが。

伊藤ガブリエル 『Crysis』の問題、今Game*Sparkの記事を検索してみてはっきり思い出しました…。当時パッケージ版を買いとても楽しんだ分、海賊版での被害がものすごかったことを聞いて悲しくなりましたね…。

PCゲームのデジタル市場はここから一気に成長していった印象があります。私がSteamを使い始めたのは2006年からでしたが、自社のゲームだけではなく、数多くのパブリッシャーと連携し一大巨塔をどんどん築いていくのを目の当たりにできたのは嬉しかったですね。

G.Suzuki そうですね、国内パブリッシャーだとカプコンが一番最初にSteamへ参入して、PC版『ロストプラネット』の配信をしていた事が印象的でした。また2007年以降には、前述の通りマルチプラットフォームでの展開が主流となり、サードパーティーから特定のハードのみに供給されるタイトルが著しく少なくなったようにも思えました。


国産を含め多くのサードパーティー製のタイトルがマルチプラットフォーム化されていくなかで、独占を保ち続けたタイトルと言えば『MGS4』が思い浮かびます。一時期Xbox 360への移植の噂がありましたが、最終的に「容量的な問題で移植は不可能」と報道されましたね。


伊藤ガブリエル この辺りからそれぞれのハードにおいて、人気シリーズかつ独占タイトルがまた出てくるようになりましたよね。G.Suzukiさんが仰られた『MGS4』もそうですし、Xbox360ですと『Gears of War』、『DEAD OR ALIVE 4』や『ACE COMBAT 6 解放への戦火』など……。


SHINJI-coo-K 独占タイトルといわれて即座に思い浮かぶのは自分は『アンチャーテッド』シリーズですね。ソニーのパブリッシュということでよりそのイメージがあるのかもしれません。


伊藤ガブリエル 『アンチャーテッド』もそうですね!あとはPS3だと『デモンズソウル』とかもありました。一方マルチプラットフォームタイトルになると、それぞれの機種ごとによる違いが目立っていった印象があります。例えば、フレームレートであったり、表現の違いであったり。

G.Suzuki 確かに、フレームレートや微妙な表現の違いと言えば『ベヨネッタ』が思い当たりますね。スタイリッシュなアクションに興味を持って調べてみたらハード間の違いがあることに驚きました。

伊藤ガブリエル そうですね、『ベヨネッタ』ですとアクションゲームということもあって、フレームレートの違いが凄く気になりました。ほかにも機種によってグラフィック・演出が一部変わっているといった具合に、本来同じタイトルのはずなのに、ゲーム体験の質が変わってきてしまうという問題があります。

葛西祝 PS3とXbox 360、Wiiが出そろった最初のころは、ハードそれぞれの競い合いみたいなものって割とありましたけども、だんだんとそういうのもなくなっていった気がしますね

SHINJI-coo-K 以前にも話題に挙がったように「なるべくすべてのハードで出す」ことによってその競い合いは収束していった印象がありますね。PCも含めてマルチプラットフォームで、2000年代後半からはコンソール中心の競い合いというものも感じなくなったといいますか。

伊藤ガブリエル またインターネットの普及により、ユーザーも自身で情報提供・収集をするようになっていった結果、それぞれ自分の好きなバージョン・ハードで購入できるようになっていきましたよね。ユーザー投稿のレビューサイトとかもあったりして。

葛西祝 そのインターネットも負の効果もありましたね。昔からネットでは、各社ゲームハードのユーザー同士で争うプロレスのような文化が、狭いコミュニティで根付いていました。

しかしネットが普及し、まとめサイトなどが乱立するようになってから、「WiiやPS3、360のユーザー間で諍いを起こしていた」ことが検索エンジンに引っかかるようになって、悪目立ちするようになったというか。

SHINJI-coo-K ハードウェア同士の、企業間の戦争じゃなくってユーザー間の戦争という。代理戦争みたいな感じですね。

G.Suzuki そうそう思い返してみれば、あの頃の戦争は供給元のハードウェアメーカー同士の争いではなく、ユーザー間によるものでしたよね

葛西祝 序盤こそ、360に『ブルードラゴン』や『ロストオデッセイ』を坂口博信さんがディレクターとなってリリースしてましたし、『テイルズ オブ ヴェスペリア』などサードパーティーも強いIPを供給していたし、ハード戦争らしい側面はあったんですよ。


PS3は勢いを落としていて、ゲームライターの多根清史さんもそれについて分析をした「プレステ3はなぜ失敗したのか?(晋遊舎)」という本を執筆していましたし。

明暗が分かれていた時期に、2ch(現5ch)のまとめサイトみたいなやつが台頭していき、乱立していった余波がいまだに続いているんじゃないですかね。90年代のハード戦争は、企業がCMであからさまに他社のハードを煽るケースがありました。

2000年代では、ユーザーがインターネットで意見を発信することが、活発になって起きた諍いがゲームハード戦争の実態なんじゃないですかね。

SHINJI-coo-K プロレスをしている人たちがいる一方、ガチをやっている人たちもいて、それが余波として波紋を……。

葛西祝 PVを稼ぐのに、ユーザー間の煽りあいがいちばんだったっていう、ひどい時期ですよね…… ん?ちょっと待てよ、煽りあいという意味では、かつてはGame*Sparkもヤバい時期が……

宮崎 (突然横から現れて)一応エクスキューズしておくと、2017年の9月に編集部もガラッと入れ替わって、その当時の編集部メンバーというのは一人として残っていません。

葛西祝 うわっ!びっくりした!すいません宮崎さん(※イードのゲームメディア全体責任者)、聞いてたんですか!?

宮崎 自分も当時はそれこそ学生で眺めていただけなので、聞いた話でしかないですが、やっぱりハードの話はびっくりするほどアクセスがあったそうです。あえて過剰な反応を呼びそうなものを記事にすることで大きくなっていった側面は間違いなくあるんだろうなと。

今はそんな時代でもないし、そういう対立を煽って生まれたものって結局何もないと思っているので、今後同じような状況が起きてもそういう流れに与しないメディアでありたいと思っています。まぁどの口が言うんだと言われたらそれまでなので、これから出して行く記事で判断してもらえればと。

葛西祝 なるほど、ありがとうございます。Game*Sparkにもいろいろあったんですね……

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