「ジョジョ」「はたらく細胞」のデイヴィッドプロダクション、原作ファン唸らせるアニメづくりの秘訣は?【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「ジョジョ」「はたらく細胞」のデイヴィッドプロダクション、原作ファン唸らせるアニメづくりの秘訣は?【インタビュー】

アニメーション制作スタジオ、デイヴィッドプロダクションより代表取締役社長の梶田浩司氏と、TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズのアニメーションプロデューサーで取締役の笠間寿高氏にインタビュー。原作ファン唸らせるアニメづくりの秘訣とは?

インタビュー スタッフ
デイヴィッドプロダクション インタビュー
デイヴィッドプロダクション インタビュー 全 13 枚 拡大写真

■武器は徹底的な原作研究とチャレンジ精神


デイヴィッドプロダクション インタビュー
――設立後、『リストランテ・パラディーゾ』(2009年)で元請け制作ができるようになるまでは、どんな苦労がありましたか?

梶田
設立直後からの2年間は、苦労というよりも、将来を見据えた勉強期間でした。業界有数の先輩方の下で、制作に関する考え方や方法論を勉強させていただこうと、多くの制作会社様にご挨拶に伺い、お仕事を通して鍛えなおして頂くべくご指導をお願いしたんです。
利益は考えず、作品の制作をお手伝いさせて頂きながら、色々な事を学ばせて頂きました。

笠間
スケジュールのコントロール方法からクオリティのこだわりまで、各社それぞれのやり方や考え方がこんなにも違うのかと、かなり勉強になりました。
そのうえでデイヴィッドプロダクションというか、僕自身としての答えとして、プロは作品とお客さまのニーズに合わせて最適な形で制作すべきで、統一フォーマットでガチガチに縛らない方向が良いということでした。

『リストランテ・パラディーゾ』(C)オノ・ナツメ/太田出版/リスパラ製作委員会
(C)オノ・ナツメ/太田出版/リスパラ製作委員会
――つまり視聴者目線に立って作品と向き合う大切さを、再確認したということですね。その理念がTVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの映像には、とてもよく表れていると感じます。スタジオとしてこだわっていること、武器はなんでしょうか?

梶田
作品をお預かりしたらば、まずはその作品を徹底的に勉強することです。作品のどんなところがファンにウケていて、なぜこんなに原作が続いているのか。
作品を支持しているファンは、どんな人たちなのかという部分を、監督やクリエイター、作品ファンのスタッフを交え、ブレスト方式で徹底的に勉強会を重ね、原作をきちんと理解するのが第一歩ですね。

笠間
でも、それだけだと「原作のトレース」になってしまうので、アニメ化に際して僕たちはその上に「ファンの心象にある『ジョジョ』」を積み重ねることをしています。
実際のところ、『ジョジョの奇妙な冒険』(原作第1部&第2部)、『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』(原作第3部)は、原作そのままの絵では無く、心象にあるジョジョの絵を模索しました。

(C)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険SC製作委員会
(C)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険SC製作委員会
具体で言うと、ファンの中でもっとも印象が強い、原作第3部以降の『ジョジョ』の特徴をインプットして、どのシリーズを観ても同じシリーズのアニメ作品として観てもらえるようなデザインや画面設計を行っています。
アニメを観ていると原作準拠に見えますが、実は原作マンガに描かれていないシーンがあったりして、見比べると意外と違うことに驚いたという声も頂きました。

僕たちができる「付加価値」とは、そうやって「ファンの心の中にある、ファンが観たいと思っている映像をつくりだす」ことですね。
これは、TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズに限らず、原作をお預かりしているすべての作品でも同じです。

梶田
もうひとつは、同じことをやらないで、必ず新しいことを入れることです。
『ジョジョの奇妙な冒険』は、TVのチャンネルをパパッと変えて流し見していく中で、一瞬でも見えた絵が『ジョジョ』だとわかる絵づくりをするというのを命題にして、ビジュアルの開発と演出方法の開発をしました。色々な事の評価の軸に「奇妙かどうか?」というのも取り入れました。

TVアニメ『はたらく細胞』では、ディズニーランドやキッザニアのようなアミューズメントパークで、視聴者の皆様もはたらく細胞たちといっしょに体内で起きているさまざまな出来事を体験して頂こうというコンセプトで開発を行いました。
背景にもこだわり、空は絶対にピンクで、表皮に近いところは光がさすような表現にしています。これは、スタッフの発案で生まれたことですね。

『はたらく細胞』(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
笠間
そうです。「これやっていい?」とスタッフから持ちかけられたら、「おもしろいからやろう。じゃあ僕は他のスタッフにも話を通しておくね」という風にすると、作品がどんどん面白くなっていくんです。

やっぱりみんな、「自分はアニメーションでこんなことをしてみたい」という志を持って、この世界に入ってきていると思うので、その意見を大切にしたいと思います。
作品のテイストを保つ「枠」は監督や僕たちが用意しますが、その範囲内で個々のスタッフがどうしたいのかという考えを自発的に提案できて、それを僕たちプロデューサー陣がサポートするような体制を作っていきたいなと思っています。

デイヴィッドプロダクション インタビュー
梶田
日頃から「置きにいかずに、一つでも新しいアイディアを入れよう。うまくいったらラッキー」と言っています。

笠間
失敗しないことに越したことはないですが、何もしないよりも、何かをやって前のめりに倒れた方がいいというのが、我々の考え方です。会社が倒れないレベルでチャレンジしています(笑)。


→次のページ:作画のフルデジタル化への転換
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《中村美奈子》

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