「世界が注目するアニメ制作スタジオが切り開く未来」
Vol.13 デイヴィッドプロダクション
世界からの注目が今まで以上に高まっている日本アニメ。実際に制作しているアニメスタジオに、制作へ懸ける思いやアニメ制作の裏話を含めたインタビューを敢行しました。アニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」、Facebook2,000万人登録「Tokyo Otaku Mode」、中国語圏大手の「Bahamut」など、世界中のアニメニュースサイトが連携した大型企画になります。
全インタビューはこちらからご覧ください。
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デイヴィッドプロダクション代表作:ジョジョの奇妙な冒険シリーズ、はたらく細胞、リストランテ・パラディーゾ
TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズで、「原作の魅力がアニメーションで完全再現された」とファンの圧倒的な支持を得たアニメーション制作スタジオ、デイヴィッドプロダクション。
原作の絵がそのまま動いているかのような作画クオリティ、そして原作マンガで用いられている「擬音の描き文字」をアニメに取り入れる演出など、「これぞ『ジョジョ』!」とファンに言わしめた、こだわりの原点とは?
かつて代表を務めたGONZOから志を同じくする仲間とともに独立し、2007年にデイヴィッドプロダクションを立ち上げた、代表取締役社長の梶田浩司氏。
そして、梶田氏と共にGONZOから移籍し、TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズのアニメーションプロデューサーで取締役の笠間寿高氏のふたりに、話を伺った。
[取材・構成=中村美奈子]
■作品と真摯に向き合うという原点回帰

――GONZOから独立して新スタジオを立ち上げたときには、どんなスタジオにしたいと考えていましたか?
梶田浩司氏(以下、梶田)
独立前はアニメーションの企図や、それを受けた作品の方向性などに確信を持てない状態でも、四半期の予算を守るために見切りで制作を開始させなければならないケースも多くありました。その結果、映像として拘り切れなかったり、ストーリーが十分に練り込めなったりする事があったんです。
見続けて下さったファンの皆様のお声を聴いて反省をする日々でした。
その経験から「きちんと物づくりをしよう」という原点に立ち返ろうと思ったんです。うまくいかなかったことを改善し、真摯に作品と向き合うスタジオを作って行きたいなと思いました。
そこでまず、デジタルを持たずに制作だけのアナログ部分からスタートしました。GONZOといえばデジタルが強かったのですが、あえて最初は持たずにアナログの部分をしっかり強化していこうと。そしてアニメーターの育成にも力を入れていこうと思ったんです。
――笠間さんも、デイヴィッドプロダクション創立メンバーのおひとりですが、梶田さんといっしょにやろうと思ったきっかけはなんでしたか?
笠間寿高氏(以下、笠間)
当時僕も制作現場で、梶田と同じ気持ちを抱いていたので、いっしょにやりたいと参加しました。
「手の届く範囲から、きっちり基礎を作り直したい」という梶田の理念を実現するために、僕は各スタッフとの向き合い方、制作との向き合い方を突き詰めていこうと考えました。
「原点回帰」という言葉通り、本当にアパートの一室からリスタートしたんですよ(笑)。
クリエイターは畳の上に作画机を置き、制作は事務机が入らなかったので炬燵に入りながら仕事して、本当にリアルに手の届く範囲で仕事を始めました。
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