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「東京マンガラボ出張コラム部」第1回 漫画好き大学生が薦めるこの作品

全国の大学にある漫画研究会の有志によって運営しているマンガ系情報サイト『東京マンガラボ』がお薦めするこの1冊。新連載開始。

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■ オトコが描くBL!?『男主―DANSH―BLアンソロジーGalettes』

abesan記念すべき第1回目の1番最初に取り上げる作品がBLとは、自分でも「どうにかしている」と思うのですが、本作のコンセプトはそれ以上に尖っています。なんと執筆陣の全員が「男性」。
『地球の放課後』『スクール人魚』などの作者吉富昭仁先生や、成年漫画としては異例のヒット作となった百合作品『少女セクト』の玄鉄絢先生といった、名の知れた男性作家も擁する豪華布陣となっています。
そもそも男性は、あらゆる組み合わせの恋愛モノにおいて長らく女性に大きく水を開けられています。
近年男性向け作品も増えてはいるものの「百合」も、もともとは純然たる女性向け。少女漫画も加えれば、付け入る隙はどこにもないように思われます。
しかしかつてなら、あの手塚治虫先生だって少女漫画を手がけておりました。これらのジャンルは、なにも「女性しか描いてはいけない」という決まりがある訳ではありません。さらに、吉富先生は以前から百合作品も手がけていらっしゃるのですが、取材中に「感情の動きは女性同士よりもBLのほうが追いやすかった」と語っていました。
BLというジャンルは、手塚治虫文化賞にノミネートされた『昭和元禄落語心中』の雲田はるこ先生(先生の記事もサイトにて公開中(/http://tokyomangalab.com/?interviews=haruko-kumota)です!)をはじめ、近年においても様々な才能を、次々と世に送り出しています。そんなBL界に、男性作家が飛び込むことで引き起こされる化学反応によって、まだ誰も読んだことのない「味わい」を持つ作品が、生み出されるかもしれないのです。

BL作品を「生理的に受け付けない!」と壁を作ってしまう方も多いかと思います。しかし、「いろいろなBL作品に触れてみたけど、やっぱり受け付けない!」と主張する人には出会ったことがありません。要は「食わず嫌い・読まず嫌い」なだけかもしれないのです。
本アンソロジーは、男性が描いていることに加え、直接的な表現が少ないマイルド仕様になっており、更には角川の「BOOK☆WALKER」というサイト上でネット配信されている作品なので、男性がBL向けコーナーに女性達の突き刺さる視線を避けながら足を踏み込まなくても良いという親切設計。「見たことのないものを見る」というのがエンタメの根源的な面白さの一つなら、『男主―DANSH―』は未知の領域に乗り出すための、最良の第一歩なのではないでしょうか。

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