読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2026年7月号では、TVアニメ『NEEDY GIRL OVERDOSE』より、獄薔薇身血華役・椎名桜月のインタビューをお届け。本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューとなっている。
美血華というキャラがブレないように
――まず、『NEEDY GIRL OVERDOSE』(以下『ニディガ』)という作品を最初に知ったときの感想を教えてください。
以前から原作は知っていたのですが、超てんちゃんとあめちゃんという光と影のようなキャラクターが存在する、少しダークな作品というイメージでした。アニメ化にあたってオリジナルキャラクターが登場すると聞いて、どんなアニメになるのか楽しみでした。
――実際に台本を手にしたときには、どんな感想を持ちましたか?
じつは、台本の前に小説のような、文字だけの資料をいただいたんです。そこにはテレビアニメ全話分のエピソードが書かれていたのですが、時系列が入り混じっていて、過去の出来事なのか想像の世界なのか、理想とする夢のお話なのかが、いい意味でわかりにくくなっていたんですね。何度読んでもどんどん謎が出てくるところが魅力的でしたし、想像の余地を残してくれていて、考察したくなる作品だなと感じました。
――美血華の第一印象は?
とにかくビジュアルがかわいい!私の大好きなビジュアルでしたし、見るからに媚びない、強い意志を感じて、絶対好きになると確信しました。

――そんな美血華役に決まったときは、喜びもひとしおだったのでは?
うれしさはもちろんありましたが、それ以上に怖さを感じました。スタジオオーディションに進んだのは美血華が初めてでしたし、何より私と好きなキャラクターの趣味が同じ人は、絶対好きになると思ったんです。でも、私が声をあてたことで好かれなくなったらどうしよう……と思ってしまって。キャラクターを背負う責任を強く感じましたし、アニメの現場に不慣れなこともあって、メインキャストの皆さんとちゃんと一緒にお芝居ができるのかが不安でした。当時はアフレコまで時間があったので、毎日ソワソワしていました。
――初回のアフレコは相当緊張したのでは?
ものすごく緊張しました。カラマーゾフはアニメオリジナルのキャラクターということもあり、スタッフさんも含めてみんなで探りながらキャラをつかんでいく雰囲気だったんですね。また、オーディションで合格をいただいたものの、自分が持っていった美血華のお芝居が正しいのかどうか、答え合わせのような不安も大きかったです。
――美血華の役作りは、どのように行いましたか?
にゃるらさんから美血華のイメージを細かくうかがっていたので、高貴な感じや、落ち着いたトーン、自分を持っているキャラクターをイメージしました。また、カラマーゾフではロリポップが3人分の喜怒哀楽を担っていて、禰󠄀智禍はカッコよくメロい感じのお芝居をするだろうと思ったので、美血華は2人とは違うお人形さんのような淡々とした話し方を作っていきました。
――感情の振り幅が大きくないからこそ、演じる際の難しさはありますか?
あります。感情を出しすぎると、美血華というキャラクターがブレてしまうのですが、一方で淡々としすぎるとずっと同じお芝居になってしまう。なるべく同じに聞こえないように気をつけつつ、配信者としての美血華と、そうではない美血華にどのくらいの違いがあるのか、また過去と現在で話し方が変わるのかはつねに考えていました。
――アフレコではどのようなディレクションがありましたか?
美血華は気づきを声にするタイプではなく、またアドリブもあまり入れないので、よく「そこは声を入れなくて大丈夫です」と言われました。また、とくに印象的だったディレクションは、第1話の「誰よりも美しいお姫様になるの」と言ったあと、窓ガラスが割れるシーンです。ポツポツとつぶやくような印象だったのですが、実際のアフレコでは「舞台で華々しく、ライトに向かって言っている感じで」とお話があり、自分の想像との違いに驚きつつも、思い切ってお芝居をしました。
――カラマーゾフの3人で話すときは、また違ったお芝居になりますか?
そうですね。最初のころは、テンションを低めに作っていったところも、おふたりのテンションの高さに引っ張られたこともありました。一緒にアフレコできたからこそのお芝居がたくさん出てきて、それも楽しいです。ロリポップ役の川口莉奈さんも、禰󠄀智禍役の星希成奏さんも、私の想像と違うお芝居をされることが多くて。「そういうアプローチもあるんだ」と学ばせていただいています。ご一緒すればするほど、その幅の広さを私も理解できるようになって、「ここはこう来るかな」と、最初のころは想像もしなかった気づきもあり、本当に貴重な機会をいただけていると感じています。
――第6話は美血華にフィーチャーした、お当番回でしたね。
じつは、アフレコ当日にインフルエンザにかかってしまい、別録りになってしまったんです。第6話は美血華のセリフが多かったので、アフレコ終わりに皆さんから「早く終わった」と連絡をいただいたくらいでした(笑)。しかも、第6話のあと、メインキャストのみんなでご飯に行こうと話していたのですが、それもなくなってしまい、かなりしょんぼりしました。ただ、別録りだったからこそ、時間を取ってアフレコをさせていただけて、その点はとてもありがたかったです。

――ひとりだからこそのやりやすさもありましたか?
第6話は、ひとりで叫んだり苦しんだりするシーンが多かったので、逆にやりやすかったかもしれません。「もっと淡々としてもいいですよ」とか「もっと蔑むような気持ちを出してください」とか、こだわってディレクションしていただいたんです。もちろん、掛け合いはご一緒したほうがやりやすいのですが、第6話の収録時には皆さんの演技感もわかってきたので、きっとこういう感じだっただろうなと想像しながら演じることができました。
――第6話では、美血華のこれまで見えなかった面も見えましたね。
他人に見せていなかった部分や、過去に触れることができて、美血華の感情はほぼ全部出たのではないかと思うくらいでした。お部屋でお人形と話すシーンやステージで歌い上げるところはとくに印象に残っています。また、毎日ロリータ服を着て、毎日お化粧をするという、美血華の美への執着を感じたエピソードでもありました。その執念や努力を隠して、綺麗なところだけをファンに見せている姿はとても尊敬できます。
――そんな美血華に共感できるところはありますか?
ニキビができたら、テンションが下がってしまうところ……?(笑)さすがに、ニキビだけで学校に行かないとかライブに出ないとかはないですが、美血華は休んでしまいそうですよね(笑)。
――ここは違うというところは?
ティーカップを投げないところですね(笑)。美血華はティーカップ投げるし、容赦なく暴言吐くし、窓ガラスも割るし……似ていないところのほうが多いです。私は、美血華は自分の尊敬できる人とそうでない人で、世界をふたつに分類していると感じています。尊敬していない人には何も期待しないけれど、ティーカップを投げたり悪態をついたりするのは、相手を信頼しているからこそだと思うんですね。なので、カラマーゾフのメンバーのことをすごく頼りにしているのだと思います。また、誰に否定されても自分が理想とする自分でいようとする姿はすごく素敵ですし、私は「こう言ったらこう受け取られるかも」と心配しすぎて言葉を濁してしまうことも多いので、心に美血華を宿してズバズバ言いたくなることはあります。
――カラマーゾフのほかのメンバーへの印象は?
ロリポップはリーダーなのに抜けていて、喜怒哀楽もはっきりしていて思わずクスッと笑ってしまうようなリアクションが多い印象です。禰󠄀智禍は、ロリポップをいじる美血華に乗っかるときもあれば、笑って見守ってくれるときもあって、いいバランスの3人だなと感じています。
――ロリポップがリーダーだからこそ、まとまっている3人という感じもします。
美血華と禰󠄀智禍は、ロリポップと出会う以前からの知り合いですが、ふたりだけだったらユニットを組もうとはならなかった気がします。禰󠄀智禍がユニットを組もうと言い出したら、打算を感じてしまうし、美血華はプライドが高いので絶対組もうとは言えないかなと。「いいじゃん、組もうよ」と言えるのは、ヒーロー気質のロリポップならではですし、その純粋さが素敵だなと思います。
――椎名さんから見た、超てんちゃんの魅力は?
アニメの超てんちゃんは社会現象になるくらい完成した存在なので、つねに余裕を感じます。あめちゃんを知らない側からすると、ほしいときにほしい言葉をくれて、時にはフランクに話しかけてくれる超てんちゃんは、まさに理想の天使のような存在だと思うんですね。どうやっても好きになってしまう、圧倒的な存在感があるところが素敵です。
――第8話までで印象に残っているシーンを教えてください。
第7話のあめちゃんと禰󠄀智禍が話す喫茶店で、カードゲームをしているお客さんがいるのですが、演者さんがかなりコテコテのお芝居をしてくださって、アフレコブースで笑いをこらえるのに必死でした(笑)。「キポー」みたいな奇声を発していて、カラマーゾフの3人の間で、このしゃべり方が流行ったくらいです。また、第3話には美血華の出番はないのですが、あめちゃんの内面に触れるエピソードとして、印象に残っています。あめちゃんとお母さんのケンカのシーンは、言葉の一つひとつひとつが胸に刺さってつらくなりました。
――また、アフレコで印象に残っていることは?
毎回、なかなか見かけない具材のおにぎりの差し入れがあり、争奪戦になっていました。すぐになくなってしまうので、あとから来た方が悲しまないようにと、なくなった具材のメモはみんなで隠匿していました(笑)。私は卵黄そぼろがお気に入りで、マグロ角煮やいぶりがっこチーズが人気でしたね。また、禰󠄀智禍がとあるシーンでローラーシューズを履いていたかと思ったら、次のシーンでは女の子を膝に乗せていたりと、よく瞬間移動をしていたのがキャストのみんなに人気で、星希さんに「また飛ぶんじゃないの?」とよく話していました。
――今後、声優として挑戦してみたい役は?
任せていただけるのであればどんな役にも挑戦したいですが、美血華が静かなキャラクターだったので、動きの大きいキャラクターも演じてみたいです。『ニディガ』でアフレコ現場にたくさん立たせていただき、多くの学びを得たので、いろいろなアフレコに参加できるようにがんばりたいです。
――今後の物語の注目ポイントを教えてください。
じつは、第9話は第6話以上に難関だったんです。第8話のラストで美血華とかちぇのケンカが始まりましたが、そのケンカ中に美血華の本音が見えるんですね。第9話もとてもがんばったので、かちぇとのやりとりも見ていただきたいです。また、超てんちゃんとカラマーゾフが本格的にバチバチしますし、カラマーゾフのキャラクターソングも流れるかもしれません(笑)。音楽の力もどんどん強くなっていきますので、ぜひ注目していただけたらと思います。『ニディガ』はつらいエピソードも多いですが、誰かの心を楽にしてくれる部分もあるので、まだ見ていない方にもこれからぜひ出会ってもらえたらうれしいです。
MegamiにQuestion

Q.自分のチャームポイント
A.やわらかい鼻
鼻をギュッと押すとすごくつぶれるんです。あまり好きではなかったのですが、意外とつぶれる人が少ないと知ってからは、それが好きなポイントになりました。
Q.自分のニックネーム
A.しーちゃん、椎名、しぃなもんちー(超てんちゃん案)
最初はみんな「しーちゃん」と呼んでくれるんですが、気が付いたら「椎名」と呼ばれるようになるんです。『ニディガ』の現場では、「しーちゃん」と呼ばれています。ただ、私がお休みした日に超てんちゃんが「しぃなもんち―」って呼ばれたいらしいですって勝手に広めたんですよ(笑)。そんなふうに呼ばれたことも、呼んでほしいと思ったこともございません!
Q.自分の声の特徴
A.水のような声
グループで誰かと一緒のパートになったとき、特徴はあるけれど合わせやすい声だと言っていただくことが多くて。自分では水のような声なんだなと思っています。
Q.自分の性格
A.マイペース
ものを置き忘れがちで、先日は保険証をコンビニに忘れ、さらにクレジットカードも買い物をしたお店に忘れてきました。1日で両方忘れたことがショックすぎて、家に帰って気づいたときにはものすごく焦ったのですが、お店から連絡をいただけてほっとしました。
Q.いま、ハマっているものは?
A.『ぽこ あ ポケモン』と『トモダチコレクション わくわく生活』
どちらも時間が溶けてしまうので、いまは移動中しかやらないと決めています。『トモコレ』では美血華ちゃんを作りたいです。口ぐせは「低俗」にします(笑)。
Q.つい見てしまう配信は?
A.ゲーム配信
『トモコレ』のキャラクリエイトや、『Quarantine Zone: The Last Check』というゾンビか人間かを見分けるゲームの配信は、流れてくるとつい見てしまいます。
Q.つい遊んでしまうゲームは?
A.広告のパズルゲーム(笑)
パズルゲームが好きで、広告で流れてくると、クリアしなくてもいいのについ遊んでしまうんです(笑)。無心で遊べるので、動画を見ながらプレイしていることもあります。
Q.本作のキャッチフレーズ
A.キラキラ美少女アニメ
『ニディガ』は、ファッションがよく変わるんですね。超てんちゃんこそ同じコーデですが、カラマーゾフの3人は私服やジャージ姿、ライブ衣装、さらにはヘアスタイルまでよく変わって。そこがキラキラ美少女要素だと思います。美意識が高いキャラクターが毎日同じ服を着るわけがないという点も考慮してくださっているので、ファッションもぜひ楽しんでいただきたいです。
Profile
しいな・さつき/3月27日生まれ。山梨県出身。デジタル声優アイドルグループ・22/7のメンバー。
声優としては、『22/7』織原純佳役などを担当する。
作品Information
毎週土曜日深夜0時30分よりTOKYO MXほかにて放送中
https://needygirl-anime.com/
登録者数1000万人を記録するトップ配信者・超絶最かわてんしちゃん(超てんちゃん)は、インターネット、テレビ、ライブなどで、つねに輝きを放っていた。そんな彼女に追いつこうとする猛毒電波少女☆パープル・ロリポップ、獄薔薇美血華、禰󠄀智禍さまの3人組配信者ユニット・カラマーゾフ、専門学生のかちぇたちの物語が交錯し、画面の向こうの“あなた”の物語が紡がれる。
(C)WSS playground / NEEDY GIRL PROJECT
●取材・文/野下奈生(アイプランニング)

