『マクロス』シリーズや『アクエリオン』シリーズなどで知られ、最近は大阪・関西万博でテーマ事業プロデューサーを務めたことも話題となっているアニメ監督・河森正治の初オリジナル劇場長編アニメ『迷宮のしおり』が、2026年1月1日より公開される。本稿ではそんな本作について、「歌」と「メカニック」をはじめ、“あの巨大ロボ”や「アスラーダ」の登場、福山芳樹の参戦など、河森監督ファンにとって必見のポイントを紹介する。

『迷宮のしおり』は、河森作品の特徴である「歌」や「SF」に、誰もが共感できる「スマートフォン」あるあるを組み合わせ、エモーショナルな異世界青春脱出劇として描き出すオリジナル劇場長編アニメだ。
物語は、引っ込み思案な女子高生・前澤栞が、親友の希星きららと撮ったある動画をきっかけに、スマホの中に広がる不思議な世界に閉じ込められてしまうところから始まる。栞の目の前に現れた、ウサギの姿をしたしゃべるスタンプ・小森は、彼女がこの世界に閉じ込められたことを告げた。途方に暮れる栞に手を差し伸べた若き天才起業家・架神傑は、栞に「本当の自分を取り戻させてあげる」と約束する。
そのころ現実世界では、派手なスタイルに身を包んだもう一人の「SHIORI」が栞と入れ替わり、SNSを駆使して自由奔放に振る舞っていた。彼女の狙いは本物の「栞」に成り変わること。架神はSHIORIとも接触し、「ある計画」をささやく。架神の真の狙いとSHIORIの野望が、やがて世界を巻き込むある騒動を引き起こしていく――。
スマホの世界に迷い込んだ主人公・前澤栞役は、世界的人気を誇る「新しい学校のリーダーズ」のSUZUKAが演じる。SUZUKAは今回が声優初挑戦で、栞と現実世界に現れたもう一人のSHIORIを見事に演じ分けた。また、スマホの中の世界で出会うウサギのスタンプ・小森役は、数々の劇場映画やドラマに出演し俳優としても活躍する原田泰造が熱演する。
さらに、栞の幼馴染である希星役は伊東蒼、クラスメイトで栞に想いを寄せる少年・山田役は齋藤潤が務める。今後の活躍が期待される若手俳優2人の演技にも注目だ。そして、スマホと人間の脳を直接つなぐ研究者にして若き天才起業家の架神傑役は寺西拓人が担当する。舞台やミュージカルなどで活躍し、2025年の「timelesz project -AUDITION-」でtimeleszに新加入した寺西が、本作で声優として初出演を果たす。
そんな本作が初のオリジナル劇場長編アニメとなる河森監督。『マクロス』シリーズや『アクエリオン』シリーズなどで知られる河森監督は、自身の作品で「歌」を大事な要素のひとつとして描いてきており、本作でも「歌」の要素は存分に楽しむことができる。

河森監督の代表作である『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』を象徴する有名曲「愛・おぼえていますか」は、2019年にNHKが行った「全マクロス大投票」企画において歴代マクロスシリーズの歌部門第1位に選出されたが、この歌自体が大宇宙戦争を歌や文化の力で終結させるというテーマに密接に関わっていた。

『迷宮のしおり』では、主人公の栞とまるで正反対のもう一人のSHIORIの2役を、新しい学校のリーダーズのSUZUKAが担当しており、さらに新しい学校のリーダーズとして主題歌「Sailor, Sail On」も提供した。本作のクライマックスでは2つの自我の葛藤を、迫力あるアニメーション映像とSUZUKAならではの表現力で、ダイナミックでありながら少女の気持ちに寄り添ったエモーショナルな演出を果たしている。

さらに河森監督といえば、その独特なメカニックデザインも印象的だ。機械工学を学んだ経験からのロボットデザインは、細部にわたる部分までこだわり抜かれており、“河森監督作”を象徴するもののひとつとなっている。本作でもロボットアクションが満載とのことで、はたしてどんな変身をして、どこのシーンで登場することになるのかも注目となりそうだ。


ほかにも、河森監督が手掛けた『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』シリーズに登場した主人公マシン「アスラーダ」の市販車バージョンや、アクエリオンをベースとした巨大合体ロボットも登場することは、本作の見逃せないポイントのひとつである。

このほか、挿入歌にはTVアニメ『マクロス7』の主題歌、吹き替えボーカルを担当して以来、河森監督と親交の深いシンガーソングライターである福山芳樹が起用された。福山のダイナミックな唄声も、河森ワールドを強烈に彩っているとのことで、どのシーンで聴けるかは本編を見てのお楽しみだ。福山と河森監督からはコメントも寄せられている。
主人公・栞と突如現れるもう一人の「SHIORI」、そして天才起業家・傑の不思議な三角関係や、異世界を舞台にした脱出冒険など、河森監督ファンにはたまらないポイントが盛りだくさんの『迷宮のしおり』。2026年最初の注目作となる本作を、ぜひスクリーンで見届けたい。
以下、コメント全文掲載
福山芳樹
河森監督とは『マクロス7』以来31年のお付き合いになります。常人では考えも及ばない作品ばかりを見てきましたから、今回も普通じゃない予感はありました。
「戦闘シーンで流れるコミカルな昭和アニソン」と聞いたときは正直戸惑いましたが(笑)、歌ってみると意外と楽しく、完成映像での“答え合わせ”を今から楽しみにしています。
河森正治監督
スマホは自分の分身と言えるだけでなく、超時空デバイスとも言うべきチカラを秘めていると思います。自分が発した一言が時間も空間も超えて誰かを励ますことも出来れば、傷つけてしまう事もある。どんな高性能の誘導ミサイルよりも正確に、地球の裏側の誰かにさえピンポイントで。
そんなスマホの拡張能力を魅力的に表現するために、能力拡張マシンとしてのアクエリオン やサイバーフォーミュラとのコラボレーションが実現しました!
自分の発するメッセージがイイねを集める事も有れば、姿の見えない不特定多数の人からバッシングを受けるかもしれない。
そんな見えないプレッシャーの中で心が割れて、スマホの迷宮の中に閉じ込められてしまった少女、栞。
迷宮のしおりは、スマホと深層心理のネットワークの中で展開する、歌あり、恋あり、メカアクションありの一大冒険活劇です
こころ揺さぶる冒険の果てに、見えない不安の迷宮の中から、新しい一歩を踏み出す勇気や、パッションを感じていだらけたらと願っています。
映画『迷宮のしおり』
2026年1月1日(元日)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
【スタッフ】
監督:河森正治
脚本:橋本太知
キャラクターデザイン:江端里沙
メカデザイン:河森正治CGスーパーバイザー:奥川尚弥
総作画監督:茶之原拓也
色彩設計・色指定・検査:渡邉まな
プロダクションデザイン:BARNSTORM DESIGN LABO
美術監督:大石 樹 森川裕史
撮影監督:林 翔子
編集:日高初美(高は「はしごだか」)
音響監督:郷 文裕貴
音響効果:中原隆太
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽:yonkey
音楽プロデューサー:玉村嘉朗
アニメーションプロデューサー:松浦裕暁
制作プロデューサー:保住昇汰
アニメーション制作:サンジゲン
製作:依田 巽 松崎容子
企画・プロデュース・制作:スロウカーブ
プロデューサー:寺田哲章 大島和樹 岩本昌子
クリエイティブプロデューサー:橋本太知
企画・プロデューサー:尾畑聡明
配給:ギャガ
主題歌:新しい学校のリーダーズ「Sailor, Sail On」
【キャスト】
前澤 栞/SHIORI:SUZUKA(新しい学校のリーダーズ)
小森:原田泰造
倉科希星:伊東 蒼
山田健斗:齋藤 潤
前澤恵三:速水 奨
前澤頼子:坂本真綾
登坂:杉田智和
架神 傑:寺西拓人
(C)『迷宮のしおり』製作委員会

