読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年4月号では、冬アニメ『いずれ最強の錬金術師?』より、カエデ役・土師亜文のインタビューをお届け。本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。
次第に心を開いていくカエデの変化を大切に
――『いずれ最強の錬金術師?』という作品の最初の印象は?
主人公のタクミは、巻き込まれて転生させられてしまった時点で、まず不憫に感じました。その後も、本当は生産職で静かに暮らしたいのに、圧倒的スキルがゆえに周りが放っておいてくれず、次々にトラブルに巻き込まれるという翻弄されっぷりがおもしろいなと思いました。また、そんななかでも、タクミが錬金術を使って(たまに趣味に走りつつ)モノづくりに没頭していく姿もこの作品の見どころのひとつだと感じました。とくにコミック版ではギャグシーンも盛りだくさんで、それぞれのキャラクターが生き生きとしているところも魅力的でしたし、ストーリーが進むにつれて互いを思う気持ちや絆が深まっていくところも、素敵だなと思いました。
――ご自身が担当するカエデは、どんなキャラクターですか?
ケガをして動けなくなっていたところをタクミに助けられ、以来、従魔としてつねにタクミのそばにいる、元気で無邪気なアルケニー(半人半蜘蛛の魔物)の女の子です。最初はクモだったのですが、第4話で進化して、アルケニーになりました。いたずらや過剰なおもてなしで周りを困らせることもありますが、強くて仲間思いで、一生懸命な熱い心を持っています。

――オーディションの段階から、カエデがアルケニーになることは知っていましたか?
はい!いただいたオーディション資料にアルケニー姿の参考ビジュアルも入っていたので、その時点で知っていました。ですが、クモの姿のビジュアルも載っていたので、「これは何がどうなってこうなるんだろう?」と気になって、すぐにコミックを拝読し、進化の過程を見て「なるほどな」と納得しました。同時に「これは演じるのが楽しそうだな」と思いました。
――演じていて、カエデのどんなところがかわいいなと感じますか?
クモのときはもふもふっとして触りたくなる外見が特徴的で、アニメでも子供たちに懐かれて一緒に遊んでいる姿が微笑ましかったです。言葉は交わせないながらも、大商人のパペックさんを、口から出すスパイダーシルクで包んで“おもてなし"するのも無邪気でかわいいなと感じました。アルケニーになると、タクミ以外の人とも会話ができるので、人懐っこさや活発さが増して、さらに愛らしいなと思いました。髪の毛が2つ結びのようになっているビジュアルもとってもかわいいです。どちらの姿でもマスターであるタクミのことが大好きで、仲間思いで、強いところも好きなポイントです。
――役作りで大切にしたことは?
やはり明るさと無邪気さは大切に演じました。落ち着いているソフィアやまじめなレーヴァに対して、元気さや明るさをチームに持ってくるのはカエデとマリアの役割だなと思っています。クモの姿のときはタクミと念話で話すという形だったので、しゃべり方も最初はたどたどしくし、次第に心を開いていき慣れていくにつれて、流暢に話すようになっていくといった変化を心がけて演じました。アルケニーになってからは、より活発に、そして表情豊かにしゃべるようにしています。
――演じていて難しかったところは?
第4話の途中でクモの姿からアルケニーになって、見た目も変わったり直接話せるようになったりと大きな変化がありました。そこで、まったく違うキャラクターにならないように、なるべくカエデらしさは変えずに意識しながら演じた部分は、少し難しいなと感じました。
――カエデに共感できるところはありますか?
いつも元気なところと、情に厚いところは似ているかなと思います。また、第6話でタクミたちを置いて先に進み、自ら危険なところに入っていってしまうシーンがありましたが、私もよく自分の興味の向くままに勝手にひとりで行動するところがあります。その後、カエデがツバキのためになんとか行動しようとする熱い部分も、共感できるなと思いました。

――主人公のタクミの印象は?
タクミはとにかく優しいです。本当は戦いを好まないのに仲間のために自分を犠牲にしたり、どんな人のことも見捨てなかったり、自分のことよりもつねに周りの人のことを考えて行動しているところが素敵だと思います。ノルンの加護のおかげでチート級のスキルを手にした彼ですが、その後の冒険で多くの人の協力を得てたくさんの人から愛されているのは、何よりも彼の人徳によるところが大きいと思います。
――また、カエデと一緒に行動することが多い、ソフィアやマリア、レーヴァの好きなところは?
ソフィアは凛々しくてカッコいいのですが、忠誠心が強すぎるがゆえにたまに暴走したり、ふいに照れたりとギャップが魅力的だなと思います。マリアはつねに明るくて、カエデと共にテンション高く盛り上がるシーンも多いのですが、誰よりも気持ちや思いをまっすぐ伝えるところが素敵だなと思います。レーヴァは「~であります」という語尾に現れるように、誠実でまじめな性格がかわいいなと思います。弟のためにがんばる健気さも、守ってあげたくなりますね。
――第8話までで、ほかに気になっているキャラクターはいますか?
冒険者ギルドの職員・ハンスさんが好きです。一見、飄々としていて掴みどころがないのですが、まじめなときは的確に情報を伝えてくれて、さりげなくタクミたちのフォローをしてくれるところがカッコいいなと思います。
――第8話までで印象に残っているシーンや好きなエピソードは?
第6話でツバキを助けにいくシーンでの「バカマスタアアアア」と叫ぶセリフです。初めてカエデが単独で危険に晒されて、助けを呼んでも誰も来ず、どうしようもなくなって叫ぶ言葉が“バカマスター“なのがグッときました。直前の「マスター、木に夢中だった」という脳内イメージ映像でのタクミ、ソフィア、マリアの様子もおもしろくてお気に入りなのですが、そこからの悲痛なカエデの叫びというシリアスシーンと、さらに絶体絶命のピンチに助けに来てくれるタクミのカッコよさと、あらゆる要素が盛り込まれていてとっても好きなエピソードです。
――アフレコでの思い出深い出来事を教えてください。
皆様、本当に優しい方ばかりで、とても和やかな現場でした。収録後もお食事に行くなど、仲よくさせていただきました。収録中に驚いたことがあって、タクミ役の坂田将吾さんが、セリフを言うときに相手の方に体ごと向けてくださるんですよ。もちろん目線は台本や画面に向いているのですが、こちらのセリフを受けるときもさりげなく反応してこちらを見てくださるので、自然にセリフのパスができて、おかげでよりお芝居に気持ちが入りました。真ん中のマイクが坂田さんの定位置だったので、彼を中心にしてチームになっているなと感じながら収録できたのが印象的でした。
――この先の見どころや、注目ポイントを教えてください。
レーヴァを迎えたタクミたちに、これからも個性豊かな仲間が加わっていきます。また、引き続きさまざまなトラブルが舞い込んでくるのですが、それを乗り越えるたびに、タクミたちの絆がより一層強くなっていくというところが、見どころのひとつだと思います。カエデは戦いでみんなが苦戦しているなかでも、まったく怯まずに、むしろどこかその状況を楽しんでいて、そこがカエデらしいなと思います。そして、誰よりも危険察知能力が高くて、とても頼もしい活躍をします。がむしゃらに戦う強さと、カエデらしい無邪気さにぜひ注目してほしいです。
MegamiにQuestion

Q.自分のチャームポイント
A.つねにやらかしているところ
よくものをこぼしたり、うっかりミスをしてしまったりするのですが、最近はそれをひとつのコンテンツとして楽しんでくださる方が増えたので、ポジティブに捉えることにしました。Xでは、「#アフニング」で日常のハプニングをポストしています。最新のハプニングは、イクラ丼を作ろうと冷凍庫からイクラを取り出し、翌日解凍していざ食べようとしたら、イクラではなくニンジンのみじん切りだったことです。赤い塊で似ていて間違えました。悲しい。
Q.自分のニックネーム
A.あっふぃ~
デビューしたてのときに出させていただいていた番組で名札にあだ名を書くことになり、自ら名乗りました。伸ばし棒が直線ではないところがポイントで、楽しげな様を表現しており、とても気に入っています。
Q.自分の声の特徴
A.ハキハキ系高め元気ハスキー
昔からよく「ハスキーだね」とは言われていたのですが、この業界に入ったらもっと魅力的なハスキーボイスの方がたくさんいらっしゃることを知ったので、具体的に表すなら「ハキハキ系高め元気ハスキー」ですね。早口言葉みたいになりましたね。
Q.自分の性格
A.ハイテンション猪突猛進お祭り女
テンションが高すぎてよくお酒を飲んでいるのか聞かれるのですが、まったく飲めません。好きなことに全力一直線なのですが、たまに全力すぎて転んだりものをこぼしたりします。人と会うことやイベントが大好きで、つねに楽しいことを探してみんなで盛り上がっていきたい人生です。
Q.いま、ハマっているものは?
A.脱出ゲーム
学生時代から定期的に行ってはいたのですが、昨年末ごろに久々に火がついて、とくにここ最近は、週に1回ぐらいのペースで友人を誘って脱出や謎解きをしています。成功したときの快感と、失敗したときの悔しさで、成功しても失敗しても「また行きたい!」という衝動に駆られるのでなかなかやめられません。
Q.錬成してみたいものは?
A.快眠できる枕
ここ5年ぐらい枕探しの旅をして、毎年枕を新調しているのですが、いまだ納得できていません。お店でいいなと思っても実際寝ると微妙だったり、すぐへたってしまったりでなかなか理想の枕に出会えず、4つぐらい置いて日によって変えたりしています。自分の頭の形にピッタリ合う、理想の枕を作り出したいです。
Q.自分は何マスター?
A.「河童」です!!!
小学生のころから一番好きな生き物なのですが、未だ現実世界では出会えたことがないので、機会があれば必ずテイムしたいです。いるかなぁ???
Q.本作のキャッチフレーズ
A.仲間のために、強くなる!異世界ほのぼの冒険ストーリー
いろいろなものを錬金していく様も醍醐味のひとつだと思うのですが、根本にあるのはタクミと仲間たちの互いを思い合う気持ちや、絆なのかなと思います。アニメを見ながら、仲間の一員となって共に旅をしているような気持ちで楽しんでいただければうれしいです。
Profile
はし・あふみ/5月9日生まれ。東京都出身。81プロデュース所属。
主な出演作は『ウマ娘 プリティーダービー』メジロライアン役、『きかんしゃトーマス』カーリー役など。
作品Information
毎週水曜日夜10時よりTOKYO MXほかにて放送中
https://izuresaikyo-pr.com/
勇者召喚に巻き込まれ、異世界ミルドガルドで暮らすことになった元アラフォーサラリーマンのタクミ。空飛ぶ船すら作れるチートスキル「錬金術」を手に入れたタクミは、その能力を活かしながら、仲間たちと冒険の旅に出る。
(C)2025 小狐丸・アルファポリス/いずれ最強の錬金術師?製作委員会
●取材・文/野下奈生(アイプランニング)