福西勝也&加藤渉が語る「怪獣8号」の魅力― カフカから学んだ“経験は未来に活きる”ということ【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

福西勝也&加藤渉が語る「怪獣8号」の魅力― カフカから学んだ“経験は未来に活きる”ということ【インタビュー】

アニメ『怪獣8号』が2024年4月13日より放送スタート。今回、カフカ役の福西勝也、市川レノ役の加藤渉にインタビューを実施した。

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左から加藤渉、福西勝也
左から加藤渉、福西勝也 全 16 枚 拡大写真

2024年4月より放送開始となるアニメ『怪獣8号』。松本直也氏が2020年7月より「少年ジャンプ+」にて連載開始し、既刊11巻で国内累計発行部数1,200万部を超えるWEBコミックを原作としており、日常的に怪獣が人々をおびやかす世界が舞台。かつて怪獣を討伐する“日本防衛隊”への入隊を志していたが、現在は怪獣専門清掃業で働く主人公・日比野カフカが、謎の小型怪獣によって強大な力を持つ怪獣に変身してしまい、“怪獣8号”と名付けられ日本から追われながらも、防衛隊員への夢を諦めず怪獣災害に立ち向かう姿を描く。

このたび、カフカ役の福西勝也市川レノ役の加藤渉にインタビュー。もともと原作を愛読していたという2人に、本作の魅力を語ってもらった。

■思い入れがありすぎて…『怪獣8号』オーディション秘話

――お2人はアニメへの出演が決まる前から原作を愛読されていたそうですね。

福西:はい、2020年夏の連載当初から読んでいました。なかなかオーディションに受からず仕事に悩んでいるときに出会い、その自分とカフカの状況が一致して。それに加えてストーリーも面白く、ハマってしまいました。声優という職業、特に新人の私たちにとって、いずれアニメ化するであろう面白い原作に出会うことは、“高嶺の花への恋”に近いんです。
オーディションに落ちることは、いわゆる“失恋”なんですよね(笑)。そんな失恋を繰り返すうちにだんだんと「面白い原作に出会うのが怖い」となっていた時期だったのですが、それでも『怪獣8号』の魅力と引力には逆らえず、夢中になってしまいました。

福西勝也

加藤:友人から勧められて作品を知り、僕も連載が始まってすぐに読み始めました。当時、僕も福西さんと同じような状況で。コロナ禍で仕事の状況が見えなくなり、今後、自分は声優として活躍していけるのかどうか悩んでいて……。

その頃、よく友人と一緒に、まだメディアミックスされていない原作に声を付けて録音するという遊びをやっていたんです。そのときに『怪獣8号』の作品で、演じたのが市川レノでした。レノのオーディションのお話が来たときは、運命を感じましたね。
キャストが発表された際にその友人のひとりから連絡をいただいたのですが、「レノは加藤さんだと思っていた」と。本当に嬉しかったです。そんなこともあって、何かと思い入れのある作品になりました。

――自分と似た状況に置かれているカフカに共感したんですね。ほかはどんな部分に惹かれて原作を読み進めたのでしょうか?

福西:作品の展開としては、挫折から成功に向かって進んでいく、いわゆる王道ストーリーです。しかし、カフカの年齢や設定にトリッキーな変化球もあって。中でも私がいちばん魅力的だと思ったのは、登場人物一人ひとりが他者に対してリスペクトを持っているところ。個々を尊重しながら向かうべき道を進んでいく姿にとても惹かれて、今の時流にフィットした作品だなと思いました。

加藤:四ノ宮キコル役のファイルーズあいさんも言っていたのですが、「この作品はジェンダーギャップが少ない」というところ。才能のあるなし、性別に関係なく、スーツの能力をいかに引き出せるかが指標になっている。持って生まれた身体能力や立場は関係ない部分に“平等”を感じて、そこがとても良いなと思いました。また、怪獣と人間とのバトルもやはりワクワクしますよね。

加藤渉

――そんな思い入れのある作品に出演できるのだから、「受かった」と連絡があったときは相当嬉しかったでしょうね。

福西:オーディションを受けたときから、ずっと心のどこかに『怪獣8号』がいるような状態が続いていました。声優の先輩から「オーディションの合否に捕らわれ続けるのは心に不健康だから、やめたほうがいい」とアドバイスを受けたことがあって。でも、この作品だけはどうしても想い続けてしまう日々を過ごしていました。

ただ『怪獣8号』のオーディションは、人生で初めて緊張しなかったんです。原作を読んでいるときに、カフカのセリフを何度も口に出して読んでいたからでしょうね。きっとそのおかげで、カフカが自分に染みついていたんだと思います。そして「受かった」と聞いた日から今まで、ずっと「嬉しい」という気持ちが続いています。よく「プレッシャーは感じませんか?」と聞かれますが、嬉しさが大きすぎてプレッシャーを感じる暇がありません(笑)。

加藤:その頃、僕も何作もオーディションに落ちていて「受からないのが普通だよな」と骨身に染みついてしまっていました。なので、オーディションで自分が思うレノを演じたところ「それとは違うキャラクター像で演じてください」と言われて心配になって。しかし、蓋を開けてみたら「受かった」と……! 現実がフィクションを超えることってあるんだなと。夢みたいだと思いました。

■原作者・松本直也氏が現場にいる安心感

――カフカとレノの印象、魅力的に感じる部分も聞かせてほしいです。

『怪獣8号』場面写真

福西:カフカは、根が明るくて騒がしいけれど、周囲を見ることのできるバランス感覚もを持っているキャラクター。何度も挫折を経験しているのに折れなかった明るさと、明るさが折れなかったのがすごいですよね。逆に、それがあったからこそ養えた周りを見る目。それら全てがカフカの魅力だと思います。

加藤:カフカは公式から「おじさん主人公」と言われていますが、自分をおじさんだと認めていないようなところも良いですよね(笑)。だからこそ若々しくて、防衛隊で関わる若者たちとの年齢差も感じさせない。対等な人間関係を築けるところが魅力的だと僕は思います。

――レノに関してはいかがでしょうか?

加藤:レノは、視野が広そうで広くない(笑)。それが彼の若さを表している感じがして、もっと人生経験を重ねたら、また違ったキャラクター像が見えてくるんだろうなと。現時点のレノは、若さゆえのがむしゃらな危うさがありつつも、それを表面に出すことはない。クールぶっているけれど、内に熱い物を秘めているギャップが魅力だと思います。

――オーディションでは、そんなレノを意識して演じたのですか?

加藤:はい。でもディレクターさんから「そんなに熱さを出さず演じてみて」とディレクションをいただいて。自分の作り込んでいったキャラクター像と違うものを要求されたら、「落ちたな」と思うじゃないですか(笑)。今思えばいろいろなイメージを探っていただいていたんだと思います。

『怪獣8号』場面写真

――福西さんは、レノに対してどんな印象を持っていますか?

福西:ビジュアルだけ見ると、カフカとレノって凸凹コンビですよね。ですが、実は似た者同士の相棒なんじゃないかと思っていて。お互い、意見をまっすぐ正面から受け止めるんです。受け流したりせず、ちゃんと一度受け止めてから否定や肯定を返す。一般的にクールキャラとされている方って、熱血側の話を流しがちじゃないですか(笑)。レノはそういう点でクールではないし、カフカにとっての安心にも繋がっていると思います。今後、物語が進んでいったとしても、2人に大きな思いのすれ違いは発生しないんじゃないかな。


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《米田果織》

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