新進気鋭のアニメーション作家・安田現象スタジオがAFAに出展「ここで得た情報を世界進出の糧に」【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

新進気鋭のアニメーション作家・安田現象スタジオがAFAに出展「ここで得た情報を世界進出の糧に」【インタビュー】

SNSで総フォロワー400万人超のアニメ作家・安田現象によるプロダクション「安田現象スタジオ by Xenotoon」。プロデュースを担当する川瀬好一にインタビューを実施した。

インタビュー スタッフ
注目記事
安田現象スタジオ by Xenotoonのプロデューサー川瀬好一
安田現象スタジオ by Xenotoonのプロデューサー川瀬好一 全 5 枚 拡大写真

東南アジア最大級のポップカルチャーイベントで、シンガポールをはじめとする各国で開催されている「Anime Festival Asia」。人気のアニメ・ゲームに関するステージや展示、コスプレイヤーのパフォーマンス、グッズ販売、飲食ブースなど、ひとつの会場でさまざまなジャンルを楽しめる。

11月下旬、もっとも規模が大きい「Anime Festival Asia Singapore」がシンガポールにて開催された。今回お届けするインタビューは、ブース出展を行う安田現象スタジオ by Xenotoonのプロデューサー川瀬好一氏。

TikTokやYouTubeにて大きな支持を受け、2024年には劇場作品『メイク ア ガール』の日本公開も予定されている安田現象。果たしてシンガポールでの評判はいかなるものなのだったのだろうか? AFA出展で感じた手応えを、プロデュースを行う川瀬氏はどのように見たのか、現地にて直接話を訊いた。

[取材=江崎大 執筆=一野大悟]

■8名で長編アニメショーン制作に挑む、少数精鋭のスタジオ

――安田現象スタジオ by XenotoonのAFA出展の狙いについて伺いたいのですが、その前にまずは御社の紹介からお願いできればと思います。

弊社はAnimation for the Metaverseを掲げ、2019年に設立したアニメ企画・プロデュースのスタートアップで、従業員は現在14名です。安田現象スタジオ事業を中心に、VR/VTuberの企画制作や地上波テレビアニメの企画・プロデュースなども含め、複数の案件が走っています。

監督を含め、わずか8名の安田現象スタジオで制作中の作品『メイク ア ガールはフル3DCG長編アニメーション。通常のCGスタジオなら100名、200名以上の体制になるので、業界でも無謀なチャレンジとよく言われますが、安田現象監督がショートアニメ制作で得た知見やBlenderの制作ノウハウにより圧倒的な効率化を図り、それをスタジオメンバーが吸収していくことで、制約のある中でも高いクオリティの実現が可能になっています。また、本作は現時点では製作委員会ではなく、自社単独で制作しています。

――製作委員会制度をとらないアニメ制作、資金はどのように調達をしているのでしょうか?

アニメ以外でも、YouTube24時間ライブ配信システム、NFTなど複数の事業を展開しており、そこで得た資金をスタジオのアニメ制作に全振りしているんです。ライブ配信システムはジャニーズ出版様をはじめ、AFAに出展されているところだとブシロード様、KONAMI様など、様々な企業にご利用いただいています。

また、今年実施したクラウドファンディングでは、多くの皆さんから支援をいただき目標額の237%という数字を達成、人材採用によるスピードとクオリティアップを図っています。まだ完成までの制作費は全然足りてはいませんが、一方で協力を申し出てくれる会社も複数出てきており、なんとか劇場公開に漕ぎ着けられると思います。

――川瀬さんが考える製作委員会を取らないことの利点はどこなのでしょうか?

小さいアニメスタジオはどうしても受託中心になってしまいますが、自社でIPを持つことで、クリエイター・監督が自ら権利を保有し、かつクリエイティブも守っていける点が一番大きいです。商品化などの二次利用についても、監督の意向に沿って自社で行えます。あとは今回のようなイベント出展も、製作委員会内での無駄な調整や出資社の確認も必要なく、AFA運営のSOZO様とのお話の中で即断できました。

――なるほど。ではあらためまして、今回のAFA出展の狙いを教えてください。

アニメ作家・そして監督でもある安田現象作品のテストマーケティングです。安田現象のSNSフォロワー総数が現在400万人を超えているんですが、TikTokは260万人、実は日本人はその中の10%強、欧米や東南アジアの方からのフォローが圧倒的に多いんですよ。そこで、東南アジアにおける安田現象のファンがどういった人たちで、どういった商品を好むのかをリサーチしたいと思いました。ここで得た知見を世界進出に向けての判断材料にしたいと考えています。

――実際にリサーチの中で安田現象監督のファンの方と話すこともあるかと思います。手応えの印象はいかがですか?

今回は『メイク ア ガールのポストカードを配布して安田現象のSNS登録をお願いしていたのですが、クラファンに支援してくれた方、既にYouTubeのチャンネル登録や、TikTokのフォローをしてくれているショートアニメのファンも多く来てくれました。そこにはやはり手応えを感じる一方で、安田現象という監督が現在『メイク ア ガール』という作品を制作していることは初めて知ったと言う方も多く、そこに課題を感じています。

――そこは認知度を上げていきたいところですね。

そうなんです。AFA出展をしていること、グッズ販売していることはSNSを通じてPRを積極的に行っていて、その結果、ブースに友達を連れて来てくれたフォロワーの方も多く、それを足がかりに一緒に来た友達に知ってもらうという流れが作れたのはよかったと思っています。とりわけ日本の新しい潮流を探りにきた、という感度の高いシンガポールのアニメファンの反応が励みになりました。

――シンガポールのファンの方を、確実に獲得できていると。『メイク ア ガール』が完成した暁には、いかに海外の方に見てもらうかも大きなポイントになってきそうですね。

そうですね。日本では2024年の劇場上映を目指していますが、他の国にはどう届けていくのか。若い人に届けることを考えると上映にこだわらず、配信や番組販売もしっかりやっていかなければいけないなと考えています。

――全世界で『メイク ア ガール』という作品が見られる未来が訪れる、とても楽しみですね。最後に作品を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

安田現象スタジオ by Xenotoonでは、安田現象という強い個性と才能を併せ持つクリエイターの長編作品を完成させること、そして世界中の多くのみなさんに届けることを目標に一丸となって頑張っています。安田現象監督はショートアニメも作りながら、身を削って本作に全力で取り組んでいますので、ぜひご期待ください!

《一野大悟》

特集

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]