前半では模擬オーディション、後半では業界セミナーという濃密な内容で、約1時間半にわたって行われたイベント。会場の様子は事前に申し込みをした人にもYouTubeにて配信され、全国の声優志望者から注目を集めた。
新人声優に求められる能力や、オーディションでプロデューサーが注目している内容など、声優志望者が気になる点を中心にイベントの様子をお伝えする。
[取材・文・撮影=ハシビロコ]
■台本を読むのではなく「語りかける」

緊張感も漂う会場の様子
模擬オーディションには6名の声優志望者が参加。事前に配られたセリフ候補の中から好きなものをひとつ選び、審査員の前で披露する。約3行程度のセリフの中に、どれだけ役への解釈や感情を込められるのかが問われる。さらに30秒から1分程度の自己PRで、参加者自身の持ち味をアピールした。
緊張感で張り詰めた会場の空気を和ませるように、オーディション前には増田さんから「気負わずにがんばってください」と応援のメッセージが。田中さんも「本来の声を知りたいので、あまり作り込みすぎず自分の素材をそのまま出してほしい」とアドバイスした。

オーディションがスタート
練習の成果を発揮しようと、思い思いの表現で挑んだ参加者たち。中にはほかの参加者と同じセリフを選んだ人もいたが、アプローチはまったく別物。言葉の内容は同じでも、伝わる意味合いや感情は演者によって変わるのだと実感させた。
セリフや自己PRを披露したあとは、田中さんからひとりひとりに講評が送られる。各参加者に「どんな年齢の人を想定した?」、「このセリフを言っている場所はどこ?」など細かなシチュエーションを確認し、セリフへの解釈に合わせた表現のポイントを伝えていた。

増田里紅さん(左)と田中宏幸さん(右)
アプローチは多種多様だが、多くの参加者に共通していたアドバイスが「距離感を意識すること」。話しかけている相手は自分からどの程度離れた位置にいるのか、周囲は騒音なのか静かなのかなど、舞台設定によって適切な距離感があるという。
また、舞台での演技と異なる点として「声を常に遠くへ飛ばす必要はない」とコメント。伝わる声や通る声を意識することは大切だが、目の前にいる人に向かって大声で話しかける人は少ないだろう。声優はマイク前での演技が基本なので、状況に合わせて適切に声量をコントロールする力も求められると語っていた。アフレコ現場の様子を知っているプロデューサーならではの、実践的なアドバイスだ。
「台本は読むものではないので、たまに目線を外して前を見るのはいい傾向」だと、とある参加者を褒める場面も。セリフに出てくる難しい単語なども正確に読むことばかり意識していると、相手の心に届きにくくなってしまう。台本に書かれた内容を読み上げるのではなく、感情を意識して伝えるようにすると表現がレベルアップするそうだ。

その場でアドバイス指導も
田中さんからの講評を受け、再度セリフ披露に挑戦した参加者たち。1回目よりも演技にぐっと深みが増し、聞き手の耳や心に届きやすくなっていた。

増田さんもアフレコを披露
オーディションの最後には、現役声優である増田さんもセリフを披露。TVアニメ『プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~』などのアフレコ現場で培った経験を活かし、青春ものアニメの映像が思い浮かぶような演技を聞かせていた。
総評として田中さんは、「声さえ出すことができれば、ほかのテクニックは経験で身に付けられる」と参加者たちにエールを送る。セリフから思い浮かべたイメージを脳内で映像に落とし込むような読解力や、長所は残したままディレクションを反映させる再現力と対応力が大切だと伝えていた。
■自分だけの輝きを見せて

後半の業界セミナーへ
後半の業界セミナーでは、増田さんが会場を代表し「新人声優や声優志望者が気になっていること」を田中さんに質問。参加者たちは真剣にメモをとりながら、田中さんの回答に耳を傾けていた。ここでは代表的な質問への回答をいくつか紹介する。
まずは「プロデューサーは声優オーディションで参加者のどこを見ているのか」。声優は新人からベテランまで、オーディションで役をつかみとっていく仕事だ。審査される側としては、もっとも気になる内容だろう。田中さんは2種類のオーディションを想定し、細かくポイントを伝えていた。
事務所所属を目的としたオーディションでは、声量はもちろん社会人としての力やプラスアルファのスキルが重視されているそうだ。声優は年齢に関係なく、制作現場で働く社会人のひとり。一般常識のほか、円滑なコミュニケーション能力や、周囲への気遣いも重要だという。
また、演技以外にも楽器演奏や他分野の知識などがあれば、事務所が声優を売り込むときの助けになる。オーディションの自己PRを活用し、「ほかの人とは違う特徴など、セールストークのヒントをもらえるとありがたい」と営業を行うマネージャーの視点を伝えていた。

マネージャー視点からの貴重な意見に会場は興味津々
作品オーディションでは声質や演技力はもちろん、セリフや役への解釈の深さが問われるそうだ。アニメ制作の場合、オーディションを実施するまでに何年もの準備期間がかかる。日々作品に向き合ってきたスタッフの前では、付け焼き刃の解釈は通用しない。セリフにどのような背景があるのか、きちんと考えて臨むといいとアドバイスしていた。
そしてもうひとつ求められる能力が対応力。もし用意した解釈が違っていたとしても、ディレクションに即座に対応し、修正することができれば希望は残る。表現の引き出しを増やすためにも「日々反復練習して基礎を身につけ、なんでもフラットに吸収してほしい」と伝えていた。
続いて「オーディションの合格者と不合格者の違いは?」との質問には、「個性を出すことができているかどうか」だと回答。オーディションにはたくさんの参加者がいるため、いかに周囲と違うことをして目立つかが大切だそうだ。
また、個性もただ持っているだけではなく、さらに伸ばしていくことが必要。ときには声優の個性が作品の宣伝に貢献できる可能性もあると、『プラオレ!』での増田さんの事例を挙げながら語る場面もあった。作品のプロモーションの幅を広げられるようなスキルなど、作品制作をする人の立場になって想像すると、自己PRで見せるべき内容を考えやすくなるという。

増田さんからは、実際のアフレコ現場から見たポイント
「新人声優に大切な能力や、心得ておくべきことは?」との質問には増田さんも経験をもとに回答。「とにかくあいさつが大事!」と答え、田中さんも「あいさつと、人の話を素直に聞く姿勢が大切」だと同意していた。
アフレコ現場では、新人声優にいきなり高度なスキルを求めることは少ない。むしろ知ったかぶりをせず、わからないことはきちんと質問したほうがいいそうだ。

参加者からの質問に、じっくり答えていく2人
ひととおり質問に答えたあとは、会場の参加者や配信の視聴者に追加の質問を募った。
「失敗したときに引きずらずに切り替えるには?」と質問されたときには、増田さんも「私もたくさんへこみました」と共感。就寝前にアフレコ現場で言われた内容を思い出し、眠れなくなったこともあったという。それでも「たとえ怒られたとしても、それを学びに変えて成長することができた」と前向きにとらえていた。
田中さんも「言われたことをしっかり受け止めることが大切」と回答。ディレクションなどで演技の修正を求められることは声優にとって日常茶飯事のため、失敗を回避しようとせずきちんと向き合うことが必要だとアドバイスした。

田中さんの言葉に、増田さんや参加者が頷く場面も
ほかにも多くの質問が寄せられたが、田中さんの回答に一貫していた点がいくつかある。
ひとつは「声優はひとりよがりのアーティストではない」との考え方。作品を制作するチームの一員としての意識があれば、気遣いや事前の準備など、自然と現場で求められる行動につながるという。
さらに「自分だけの輝きを見せてほしい」と、個性を重視した回答も多かった。声を作ったり見栄を張ったりして自分を飾る必要はまったくないという。むしろ今持っているものを活かして、ほかの人にはない自分だけのアプローチを見せてほしいと語っていた。
イベントの最後には、田中さんと増田さんから参加者へのメッセージが。
田中さんは「声優は世界に通じる誇らしい仕事。広がりのある門の入り口に立っているのだと意識しながら、前向きに一歩ずつ進んでほしい。地道な努力と高い目標をイメージしてがんばってください」とエールを送った。
増田さんはヒューマンアカデミーの卒業生らしくコメント。「先生も親身で、とてもアットホームな学校。興味があれば、配信を見ている方もぜひ足を運んでほしい」と魅力をアピールした。
総合学園ヒューマンアカデミーでは今後も声優志望者に向けたイベントを開催予定。声優として作品づくりに携わりたいと思っている方は、続報をチェックしてみてはいかがだろうか。
★増田里紅さん 出演情報
動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv(オープンレック」内で
毎週水曜日19時から
「増田里紅のLet‘s STUDY!!!」配信中!
番組ページ
★総合学園ヒューマンアカデミー イベント情報
\\2週連続!声優登壇イベント開催//
・6月25日(土)卒業生声優ゲスト!『 大和田仁美のお悩み相談会』
https://ha.athuman.com/event/voiceactress_0625/post_2196.php
・7月2日(土)人気声優ゲスト!『森久保祥太郎の3つのTurningPoint』
https://ha.athuman.com/event/pafo_evevt0702/post_3005.php
\\全国人気アニメタイアップアフレコ体験開催中//
かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-アフレコ体験
https://ha.athuman.com/event/kaguyasama/
★総合学園ヒューマンアカデミーをもっと知りたい方へ
資料請求はこちら
学校見学はこちら
動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv(オープンレック」内で
毎週水曜日19時から
「増田里紅のLet‘s STUDY!!!」配信中!
番組ページ
★総合学園ヒューマンアカデミー イベント情報
\\2週連続!声優登壇イベント開催//
・6月25日(土)卒業生声優ゲスト!『 大和田仁美のお悩み相談会』
https://ha.athuman.com/event/voiceactress_0625/post_2196.php
・7月2日(土)人気声優ゲスト!『森久保祥太郎の3つのTurningPoint』
https://ha.athuman.com/event/pafo_evevt0702/post_3005.php
\\全国人気アニメタイアップアフレコ体験開催中//
かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-アフレコ体験
https://ha.athuman.com/event/kaguyasama/
★総合学園ヒューマンアカデミーをもっと知りたい方へ
資料請求はこちら
学校見学はこちら