日々アニメ情報を多数取り上げているアニメ!アニメ!編集部では、編集会議で毎回議題にあがる“問題”があった。
それは「アニメ!アニメ!のこれからの方向性について」。
続々と新しいジャンルが生まれ、流行り廃りも激しい現在のアニメ事情。しかし、そんなアニメの各ジャンルに精通したファンが所属するアニメ!アニメ!編集部は、日夜趣味の異なる部員と格闘をしながら記事制作に勤しんでいた。
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「1クールに放送されるアニメ数が多すぎる。すべての作品を取り上げるのは難しいから、今流行りの“専門媒体”にしたい」と言い出したのは、すえなが編集長。食パン専門店、卵かけご飯専門店など、顧客の利用目的に合わせ「専門性」を追求した飲食店も流行っていることから「時代は“Move Deeper”(それぞれの領域を深く追求する意)だ!」と豪語する。
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そこで、何のジャンルを専門に取り扱うかを話し合うことになった、すえなが編集長、編集部員の江崎さん、小野瀬さん、MINAMIさん、吉野さん。好きなアニメを語り合う穏やかな空間になるかと思いきや、あんな激しい争いに発展するとは、この時は知る由もなかった――。
◆激論、白熱……波乱を極める編集会議
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すえなが:とにかく「美少女」よ!僕は『けいおん!』など、かわいい女の子たちが仲良くわちゃわちゃ遊び、ダラダラと過ごす中で、ちょっとしたエッチな展開があるような日常系美少女アニメが大好き。かわいさと和やかさにニコニコして、少しの切なさに泣いてしまうこともあって……。もう無限に観てられる。やっぱかわいいは正義なんだよ。観ていて心が洗われますよね。それに、作品数も多い。毎クール必ずと言っていいほどあるから、ネタにも困らない。なので、「美少女アニメ専門媒体」でどうでしょう?
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江崎:熱弁してもらったところわるいですけど、弊社にはすでに「メガミマガジン」(※イードが発行している美少女キャラクター雑誌)があるじゃないですか。
小野瀬:同じ会社で美少女専門メディアが2つあってもしょうがないでしょう。もう少し深堀りする必要があると思いますよ。
すえなが:例えば?
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小野瀬:今、自分の中でアツいのは「TS(※トランスセクシャル…異性への性転換を扱うジャンル)」。私が女性を初めて意識したのは、『らんま1/2』の女乱馬がきっかけなんです。おそらく、それは僕だけじゃないはず。そんな少年たちが今大人になって、現在TS作品を世に送り出したり、楽しんだりして広がりを見せています。
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江崎:『To LOVEる -とらぶる-』の矢吹健太朗さんも、今ジャンプでTS作品を連載していますよね。
小野瀬:そうなんですよ! また、TS作品は声優ファンが喜ぶ要素もあって。
MINAMI:それは何?
小野瀬:女性声優さんの男性っぽい演技が聞けるじゃないですか。もちろん女性キャラクターの役を演じていても充分かわいい声を堪能できるのですが、その声優さんの違う演技・声色が見られるというのがTS作品の醍醐味だと思います。声優さんにとっても、役幅が増えるチャンスなのではないでしょうか。しかもTS作品は1キャラクターに転生前、転生後の担当声優がつくこともあります!男性声優、女性声優双方が1キャラクターを深堀してくれるんですよ。
江崎:なるほど。声優さんを2倍楽しめるということですね。アニメにおける声優業界の構造を大きく変えるシステムかもしれませんね。
MINAMI:最近では逆もよく見かけますよね。外見は女性的なのに、男性声優さんが演じているパターン。蒼井翔太さんが『プリンセスコネクト』で女王様を演じていて、まったく違和感がなくて驚きました。
江崎:あと、体は女、心は男だから生まれる背徳感もありますよね。女性の身体のまま男湯に入るわけにはいかないから、恥ずかしがりながら女湯に入ったり。男性と恋愛関係に発展していいのか悩んだり…。
小野瀬:その背徳感も作品の魅力の1つ! 美少女も合わせて取り上げられるんだから、TS専門にすべきだと思います。
???:いや、それはどうかな?
全員:そ、その声は…!?
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吉野:時代はやはり「異世界転生作品」でしょう。『賢者の孫』や『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』のように、現在のアニメは転生最強主人公が主流になっていると思います。
MINAMI:吉野さん、取材から帰って来たんですね。帰社早々に話の流れを汲んでいてすごい。
江崎:さすがだ。
吉野:僕のいないところで大変なことが起こっている気がして、取材先から瞬間移動しました。
小野瀬:すげー!能力者だ!そういえば異世界転生ものも、チート能力を与えられて「俺つえー!」って展開が多いですよね。
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吉野:そうですね。あとはだいたい前世の記憶を持っていたり、途中で思い出すパターンが多いです。
小野瀬:しかも、その前世の記憶が活躍するんですよね。『転生したらスライムだった件』だと前世でインフラ関係の仕事に就いていて、それを村・国作りに活かせたり。
江崎:主人公最強系が異世界転生もので多く見られていましたが、最近はただのんびり過ごすだけだったり、ジャンル内でもパターンが増えてきましたよね。
すえなが:スローライフは良い。せかせか働きたくない(笑)。
吉野:異世界転生作品は、そんな願望を叶えてくれるんです。きっとこれからも需要があるジャンルですし、これからも追っていかなければいけないのではないでしょうか。
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江崎:願望を叶えてくれると言いましたが、もし本当に自分が異世界に転生して、戦わなくなってしまったらどうします? 命の危機に晒されてしまうんですよ!? スローライフが良いという意見が出たように、結局は平穏が一番なんです。そして、そこには笑いがなくてはならない! 僕は「コメディ作品」を推します。
MINAMI:コメディは老若男女問わず人気ですからね…。
江崎:シリアスが好きと言うのはもちろんわかります。しかし、いろんな年齢層の読者がいるアニメ!アニメ!にとって、コメディを追求していくのは一番読者に刺さるのではないでしょうか。思い返すと、幼少期に初めて触れた作品ってコメディじゃないですか?
吉野:確かに。僕はコロコロコミック原作のアニメが大好きでした。流行った時代がありましたよね。
小野瀬:『ドラゴンボール』や『キン肉マン』はバトルものというイメージが強いですが、ギャグ要素がふんだんに盛り込まれていますよね。
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江崎:その通り! 最近ではアニメファン同士が解釈違いなどで争うことがあると聞きましたが、その点、コメディはみんなそんなこと気にしない。『ドラえもん』『サザエさん』『ちびまる子ちゃん』の解釈が違うという意見を見たことがありますか? もちろんディープな原作ファンは一定数存在しますが、家族みんなで平和に見られるコメディ作品は、やはり強いですよ。
すえなが:大人から子供まで楽しめるというのは、確かに必要なことですね。
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MINAMI:ギャグ作品の懐の広さはわかります。でも、争いがあって、それから徐々に和解していくという過程を面白いと思っている人もいますよね。その魅力が詰まっているのが、「バディ作品」です。
江崎:(荒ぶっているなぁ)『TIGER & BUNNY』みたいな?
MINAMI:例を挙げるとしたら、そうですね。最初は相いれない存在だったけど、それぞれに正義があるということが徐々にわかっていき、すれ違いながらも話し合い、拳を交える事で分かり合う。解釈が違うからと石を投げ合うのではなく、相手の言葉も聞いて、歩み寄らなければいけないということをアニメ!アニメ!を通して伝えていかなければいけないと思います。
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小野瀬:(荒ぶっているなぁ)プリキュアも最初はバディ作品でしたよね。だんだん増えていきましたが…。
MINAMI:まずはI&YOUで分かり合ってから、WEになるんですよよ。プリキュアも最初は2人だったからこそ、だんだんと輪を広げていけたんだと思います!
すえなが:(荒ぶっているなぁ)いろんな経験を通してお互いを認め合う関係性は良いですね。
MINAMI:アニメ!アニメ!も読者と“バディ関係”を結び、認め合い手を取り合って、大きなメディアに発展させていきましょう!
◆激論から乱闘へ…深まる溝
すえなが:みんな意見をありがとう。集約して、美少女アニメ専門媒体になるってことで良いよね?
小野瀬:なんでだよ!専門性を狭めてTSアニメ専門媒体にしようって言ったじゃないですか!いつまで美少女だけに興奮してるんですか!TSだったら背徳感まで味わえるんですよ?
吉野:いや、TSが覇権を取ることはないでしょう。すべてがTSものになったら、背徳感も何もないじゃないですか。その点、異世界転生作品ならバリエーションがあるので、すべてが異世界転生ものになったとしても、面白い作品が並ぶと思います。
江崎:「面白い」で言ったらコメディ作品で良いじゃないですか。老若男女問わず入りやすいという一番の利点があるんですよ?
MINAMI:コメディだと刺激が足りないんですよ。バディ作品だとカップリングも生まれるし、関係性にドキドキさせられますよ!
江崎:カップリングはどの組み合わせが好きかで争いを生むじゃないか!
吉野:争いがあっても良いじゃないですか。異世界転生作品の最強主人公だったら、その争いをバネにしてさらに成長していく過程が楽しめますよ!
すえなが:美少女がわちゃわちゃしてるなら異世界転生作品でも良いよ。
小野瀬:お前美少女だったらなんでもいいんだろ!
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わーわー!ぎゃーぎゃー!
MINAMI:編集長。これ、結論でないですよ…。
すえなが:わかった、わかった。一旦、みんなで今期のアニメでも観て落ち着こうじゃあないか。
小野瀬:そういえば、今期イチオシのTS作品があるんですよ。登場人物みんな美少女ですよ。
江崎:僕もオススメのコメディアニメがあります。そういえば異世界から転生してきた主人公だな…。
吉野:僕も異世界転生ものを見ていて、そういえばその作品に美少女TSキャラも出てくるし、バディを組むし、ギャグ要素も入っているな…。
すえなが:え? なんてアニメ?
全員:『異世界美少女受肉おじさんと』(通称:ファ美肉おじさん)です。
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すえなが:へー! 異世界に転移して美少女になった平凡なサラリーマン・橘日向(CV:M・A・O/伊東健人)と、その親友で幼なじみ・神宮寺司(CV:日野聡)による“絶対に惚れてはいけない異世界ラブコメディー”か。どれどれ…確かに、主人公がかわいい! TSも良いなぁ。
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小野瀬:親友をかっこいい・かわいいと思っても、元の関係性があるから悩むという背徳感が良いですよね。異世界という世界観も良い!
吉野:異世界という世界観はもちろん、ほぼコメディで構成されているストーリーも秀逸ですよね。
江崎:元親友同士で魔王を倒さなくてはならなくなったというバディ関係も、見ていてドキドキしますね。
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MINAMI:結局、面白いと思う要素は人それぞれなんですよね。アニメ!アニメ!も1つのジャンルにとらわれるのではなく、『ファ美肉おじさん』のようにたくさんのジャンルを扱い、多くの読者に見てもらえる媒体にしなきゃいけないんじゃないでしょうか。
すえなが:そうだな。部員それぞれが好きなジャンルをもっと極めていき、どんな性癖を持った人にも見てもらえる媒体を目指していこう!
全員:はい!
◆一つの争いを終わらせた『ファ美肉おじさん』の最終回が迫る!
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こうして、編集部員同士の醜い争いは『ファ美肉おじさん』のおかげで終幕を迎えた。
ありがとう、ファ美肉おじさん…。
そんな『ファ美肉おじさん』は、3月29日を持って最終回を迎える。
魔王を倒し、日向は元の男性の姿に戻れるのか?
そして、お互い好きになりかけている日向と司の関係性はどうなってしまうのか?
放送をお楽しみに!
2022年1月よりテレビ東京・BS テレ東にて放送開始
テレビ東京 1月11日より毎週火曜深夜 0時~
BS テレ東 1月14日より毎週金曜深夜 0時30分~
AT-X 1月12日より毎週水曜夜 21時30分~
※リピート放送 毎週金曜 9時30分~/毎週火曜 15時30分~
※放送情報は変更になる場合がございます。
■STAFF
原作:池澤真・津留崎優/Cygames
監督:山井紗也香
シリーズ構成:竹内利光
キャラクターデザイン:大和葵
音響監督:亀山俊樹
音楽:渡辺剛
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
アニメーション制作:OLM Team Yoshioka
製作:ファ美肉製作委員会
■CAST
・橘日向(女):M・A・O
・神宮寺司:日野聡
・橘日向(男):伊東健人
・愛と美の女神:釘宮理恵
・ティロリロ・リリリ・ルー:藤井ゆきよ
・サテイナ:遠野ひかる
・ウルティナ:進藤あまね
・シュバルツ:石川界人
・ルシウス:喜多村英梨
・シェン:諏訪部順一
・ムリア:芹澤優
・ユグレイン:牧野由依
・ナレーション:江原正士
and more
(C)池澤真・津留崎優・Cygames / ファ美肉製作委員会