この度、「ヒーリングっどプリキュア オフィシャルコンプリートブック」の電子版が、5月19日から各電子書籍販売サイトにて発売開始。それを記念して、今回はインタビュー記事の中から池田洋子シリーズディレクターとキャラクターデザインの山岡直子さんによる対談の読みどころを3回に渡り紹介します。第1回は『ヒーリングっどプリキュア』の作品テーマについて。
お医者さんをモチーフに生まれたテーマ
――コロナ禍での放送となりましたが全45話、最終話を迎えることができました。
池田 最後まで走り切れたというところでひと安心です。
山岡 まさかコロナ禍という事態になるとは思っていなかったので、ホッとしました。
――改めて企画の始まりからうかがいたいと思います。池田さんのところへシリーズディレクターのオファーが来たときには、テーマなどはどのくらい決まっていましたか?
池田 私のところに話が来た時点では、お医者さんがモチーフということは決まっていました。妖精とパートナーになって、二人でステッキを使って変身することが、その後の打ち合わせを経て、地球のお医者さんに発展していき、最終的には生きていくとはどういうことかがテーマになった感じでしたね。
――タイトルの『ヒーリングっどプリキュア』はどのように決まったのでしょうか?
池田 いろいろな商標登録の関係などもあって使えない単語を避けながら、シナリオの打ち合わせをするなかで決めていきました。いくつかの候補のなかには、『プリキュア○○ヒーリング』もあった気がします。ただ、それだと過去の作品と雰囲気が似るので、「ひーりんぐっど」が決まり、カタカナとひらがなのバランスをどうするかを考えた結果、『ヒーリングっどプリキュア』に決まりました。
――テーマや物語の方向性は、放送よりもだいぶ前に決まっていたと思います。2020年のコロナ禍というのも、当然想定はしていませんでしたよね?
池田 もちろんしていませんでした。制作しはじめたころは、新型コロナウイルスの話なんてありませんでしたから、テーマ的なものは本当に偶然決まったんですよ。制作休止期間も含めて、こんなにいろいろなことが起こるのは珍しいなぁと思ったくらいです。
――山岡さんはどうでしたか?
山岡 私がキャラクターデザインに決まってすぐの打ち合わせでも、「インフルエンザなどが大流行したら、大変そうですよね」と話題に出たこともありましたよね。想定外の出来事ばかりだったので、ただ驚くだけでした。
池田 しばらくの間、放送できない期間があったことにより、打ち切りにはならないまでも、放送できる話数は当初より減ってしまうことが確実になったんです。減ったぶんも踏まえて、いかに本来予定していた流れに近い形で終わらせるかということが、制作の最後のほうの命題になっていきました。
――例年であれば、1月いっぱいで放送は終了しますよね。
池田 そうなんですよ。ただ、1月で終わるとなると、ネオキングビョーゲンとの闘いに決着がつけられずに終わってしまう。だから、ネオキングビョーゲンとの闘いを最後まできちんと描くことを踏まえて、シリーズ構成の香村純子さんに随時構成を組み直してもらっていました。刻一刻と状況が変わるので、香村さんもひっきりなしに構成を調整されていました。
「ヒーリングっどプリキュア オフィシャルコンプリートブック」では、かわいさ満点で人気を博したヒーリングアニマルの誕生秘話や、話題を呼んだクライマックスにおけるキュアグレースとダルイゼンのやり取りについても語っています。
【作品概要】
ヒーリングっどプリキュア
STAFF…… シリーズディレクター:池田洋子 シリーズ構成:香村純子
キャラクターデザイン:山岡直子 美術デザイン:西田渚 音楽:寺田志保
色彩設計:坂入希代美 プロデューサー:佐藤有(ABCテレビ)、
安井一成(ABCアニメーション)、矢﨑史(ADKエモーションズ)、安見香
CAST……キュアグレース/花寺のどか:悠木碧
キュアフォンテーヌ/沢泉ちゆ:依田菜津 キュアスパークル/平光ひなた:河野ひより
キュアアース/風鈴アスミ:三森すずこ ラビリン:加隈亜衣 ペギタン:武田華
ニャトラン:金田アキ ラテ:白石晴香 ほか
(C)ABC-A・東映アニメーション