「D4DJ」プロジェクト誕生秘話、アニメの見どころまで…水島精二監督×中山雅弘P×西尾夕香【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

「D4DJ」プロジェクト誕生秘話、アニメの見どころまで…水島精二監督×中山雅弘P×西尾夕香【インタビュー】

2020年10月30日(金)に放送を迎えるTVアニメ『D4DJ First Mix』より、統括プロデューサーの中山雅弘さん、TVアニメの監督・Photon Maidenユニット音楽プロデューサーを務める水島精二さん、愛本りんくを演じる声優の西尾夕香さんにインタビュー。

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「D4DJ」プロジェクト誕生秘話、アニメの見どころまで…水島精二監督×中山雅弘P×西尾夕香【インタビュー】
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これまで『BanG Dream!』や『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』といった音楽メディアミックスプロジェクトを世に送り出し、アニメ・ゲーム・音楽といったシーンを横断しながら支持を集めてきたブシロードによる新たなプロジェクト『D4DJ』

DJを含むユニットによる音楽スタイルという新感覚のコンテンツはどのようにして生まれ、そしてどこへ向かうのか。

2020年10月30日(金)にTVアニメ『D4DJ First Mix』の放送を控えるなか、統括プロデューサーの中山雅弘さん、TVアニメの監督・Photon Maidenユニット音楽プロデューサーを務める水島精二さん、愛本りんくを演じる声優の西尾夕香さんとともに、いま一度『D4DJ』の魅力に迫る。
[取材・文=澄川龍一、撮影=Fujita Ayumi]


――TVアニメ『D4DJ First Mix』の放送が控えていますが、今回は改めてこのプロジェクトの立ち上がりから現在までをみなさんに語っていただきたいと思います。まずは『D4DJ』というプロジェクトが始まった経緯からお聞かせください。

中山:『D4DJ』は『BanG Dream!(バンドリ)』『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』に続いてブシロードが送る新しいプロジェクトであり、この3タイトルを合わせて「音楽メディアミックス三部作」という位置づけです。

ブシロードの歴史をさかのぼりますと、会長の木谷(高明)が立ち上げて以来、弊社はトレーディングカードゲーム事業を中心に展開してきましたが、声優というリアルな存在とキャラククターの相乗効果を活かしたメディアミックスプロジェクトとして『探偵オペラ ミルキィホームズ』がまずヒットしました。

「声優×キャラクター」「音楽」を基軸にしたメディアミックスのノウハウを、他社IPにも携わりつつ培っていき『BanG Dream!(バンドリ!)』が大きな成功を収めました。
さらに”舞台少女”という演劇をモチーフにした『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』が続きます。

その次に木谷会長は「DJこそ、今時代が求めているものだ」と感じて、『D4DJ』というタイトルを立ち上げました。

中山雅弘プロデューサー、水島監督

――聞くところによると、木谷会長がDJに注目したのは、人気DJデュオのザ・チェインスモーカーズのライブを海外で観たのがきっかけだそうですね。

中山:シンガポール赴任中にF1グランプリのフェスで観たそうです。それ以前に音楽とエンタメに対して会長的には思うところがあったようで、たとえばハロウィンの日に渋谷で人々がお祭り騒ぎから暴走して事件が多発してしまう…みたいな現象がありますよね。皆楽しもうという気持ちから憂さ晴らしのようになり人々がアンコントローラブルになってしまうのはなぜなんだろうと。

そんな思いのなかでシンガポールのフェスを観たときに、チェインスモーカーズがDJプレイで観客を盛り上げつつ会場全体をプラスの感情へとコントロールしている状況を見て、「これからはDJが来る」と確信したそうです。

水島:今の話、初耳(笑)。でもいろいろ合点がいきました。
木谷さんとしては、最終的には大きなフェスというものが見えているのかなと。

中山:今の日本でDJというとクラブのイメージが強いですが、まさに会長がヒントを得ているのはフェスなんです。

水島:『D4DJ』というコンテンツは、最初から「ゲーム」「アニメ」「ライブ」の三本柱でいくと決まっていましたが、とくにライブへの意気込みはすさまじかった。
1stライブもクラブの小さな箱ではなく、いきなり幕張メッセでしたからね。音楽的にもそういうところに集まる多くの人たちを魅了するようなプロフェッショナル然としなくてはいけない。

当然、アニメもそれぐらいのクオリティーやインパクトを求められるわけですから、監督として身が引き締まります。

■「最初は断るつもりだった」水島監督がオファーを引き受けた経緯


――西尾さんは普段DJもやられていますが、『D4DJ』への印象はいかがでしたか?

西尾:愛本りんく役をいただく前から『D4DJ』の存在は知っていて、「どうやらDJをテーマにしたコンテンツがあるらしい」と意識していましたし、私も当時からDJをしていたのでぜひ関わりたいと思っていました。
出られるだけでうれしいのに、まさかこんなにも重要な立ち位置で関わらせてもらえるとは……。喜びとプレッシャーが大きかったですね。

DJをやっていたことで、『D4DJ』がどういうプロジェクトになっていくのか、ほかの人たちよりは想像しやすかったと思います。

西尾夕香さん

中山:西尾さんに参加してもらったのは、単純に「DJをやっているから」ではなく、木谷としては役者の「腹の括り方」を重視していたんだと思います。

西尾さんがクラブでDJをしているところも観に行ったんですけど、すごくハートが強いなって思ったんですね。
プロジェクトが動き出してからもライブ中でそうですし、プレッシャーを感じることがないのかなって。

西尾:そんなことはないですよ! 適度に緊張はしています(笑)。

――水島さんは今回、アニメの監督と、劇中ユニットのPhoton Maidenの音楽プロデュースを担当しています。最初はどのようなオファーをもらったのですか?

水島:実は、最初は受けない前提でお話を聞いたんですよ。


中山:最初、アニメーション制作を担当するサンジゲン社長の松浦(裕暁)さんに、「この作品の監督は水島さん以外にない」とご推薦いただいたんです。

それで木谷もぜひ一度会ってみようとなったんですが……おっしゃったように、最初は断るつもりだったんですよね。

――それはなぜですか?

水島:過去のプロジェクトで声優が交代したのを見ていて、強い違和感を得ていたんです。普段、アニメ監督として役者と向き合っている身からすると、なぜそんなことが起こるのか、と。そこがすっきりしないと引き受けることは出来ない。とはいえ信頼関係のあるサンジゲンからのオファーだし、自分もやっているDJを題材とした作品ということでとても興味がありました。
それでとりあえず会ってみようってなったんです。ただし、会うなら自分の考えははっきり言いますよ、って。

――実際に会ってみていかがでしたか?

水島:自分のコンテンツに対する考えを話したら、木谷さんも「まったくその通りです」とおっしゃったんです。
そのことについてはすでに改善策を講じている事を説明していただいたんですが、それが納得のいく方策だったので、認識が変わりました。
その時点でキャスティングは進んでいたので、スケジュールを含めて役者のケアを万全に行いつつ、彼女たちを育てていける体制をしっかり作っていこうという話になったので、腑に落ちて、「それならやりましょう」と返事しました。

中山:あのときはいろんな話をしたんですが、監督を引き受けるという話には最後の最後までならなくてお開きになったんですよね。
ですが監督がタクシーに乗る直前にくるっと振り返って、「実は今日断るつもりで来たんですけど、やらせていただきます」と言ってくださったんです。

水島:それくらい重要な事だったんですよ、自分には(笑)。だけど、納得できたし、何よりこの企画にチャレンジするのは面白いなと木谷さんと話していて思ったんです。こんな大仕掛けなプロジェクトに関われることはそうないなと。
そこからは前向きにプロジェクトに関わらせてもらっていますし、意見も忌憚なく言い合える関係になっています。

Happy Around!「Happy Music♪」MV

――昨年4月に『D4DJ』のプロジェクト発表がなされましたが、その全貌が明らかになったのは7月に幕張メッセで開催された1st LIVEでした。

西尾:ライブの当日、その場でキャスト発表されるというのはあまり聞かないですよね。

――それもあって観客的にもほぼ予備知識がない状態でのライブでしたが、そうしたなかでステージに立った感想はいかがでしたか?

西尾:私のユニットのHappy Around!では、『バンドリ!』に出ている志崎(樺音)さんの知名度はあったんですが、他のメンバーはみんな新人だったのでどうなんだろうって出る前から不安はありました。が、いざライブをやるとお客さんがすごく盛り上がってくださってうれしかったです。
とはいえ、経験も浅く満足のいくパフォーマンスではなかったので、いつかリベンジしたいなってずっと思っていました。

Happy Around! ユニットビジュアル

――そこからステージ経験も重ねてきた現在はいかがですか?

Happy Around! ライブの模様

西尾:最近だと8月に行われた『バンドリ!』のライブのオープニングアクトですね。
私たちが出ることは事前に発表されていなかったので、Happy Around!を知らない多くの人たちの前でパフォーマンスすることに緊張していました。
でも、終わったあとのお客さんの感想を見てみるとびっくりするぐらい、ポジティブなコメントがたくさん書いてあったんです。

水島:評判良かったみたいだね。でもあの日行けなかったんだよなぁ。ずっとアニメのコンテ描いていた(苦笑)。

西尾:私としても、今まででいちばんよかったステージだと思います。夏に入る前からユニットごとに定期練習をしていたんですが、より完成度を高めていくために意見の出し合いも積極的に行われるようになりました。

それこそ去年の1st LIVEの段階では全員敬語で、グループLINEでも「お疲れさまです、これからもよろしくお願いいたします」みたいな感じだったのに(笑)。
ユニットとして良い方向に向かっているなって思いましたね。


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《澄川龍一》

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