本プロジェクトでは、キャラクターを演じる声優自身が実際にバンドを組み、ライブなどの活動を行っているのが特徴だ。現在、「Argonavis(アルゴナビス)」「GYROAXIA(ジャイロアクシア)」という2バンドがCD発売、ライブ出演など勢力的に活動している。
そしてこの4月から、その2バンドが活躍するTVアニメ『アルゴナビス from BanG Dream!』が、MBS・TBS系全国28局ネット“スーパーアニメイズム”枠にて放送中。
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アニメでは、「Argonavis」の結成から、これから目指すべきステージに向けてひたむきに努力する姿を描いている。
今回、「Argonavis」のベーシスト、的場航海(まとば わたる)役の前田誠二さん、「GYROAXIA」のギタリスト、里塚賢汰(さとづか けんた)役の橋本真一さんにインタビュー。
実は“兄弟”であるこの2キャラクターだが、苗字が違ったり、航海のプロフィールの「嫌いなもの」欄に“兄”と書いてあったり、なかなか複雑な関係性……。
5月1日(金)放送の第4話では、このふたりのやり取りや関係性が垣間見えるシーンも展開されるが、今回は物語が大きく動き出す5月8日(金)放送の第5話に向けて、第4話についての見どころを前田さんと橋本さんに伺ったほか、あらためてプロジェクトの魅力やご自身の思い出のバンドソングを振り返っていただいた。
[取材・文=米田香織、撮影=Fujita Ayumi]
※なお、本インタビューは新型コロナ感染拡大を受けて、対談自体はオンライン上で実施。また安全確保の観点から撮影はそれぞれ別日に行い、消毒や換気など安全性に十分配慮し行いました。
■アニメ化までの道のり、 “ナビ”に救われたリアルライブも振り返る
――ついにTVアニメが放送されましたが、記念すべき第1話はどのような気持ちで見られていましたか?
前田:アニメというより多くの人に知ってもらえる機会をもらえたことを感謝しながら、第1話を視聴していました。
アニメ化は、プロジェクトに関わってきた皆さんはもちろん、応援してくださっている“ナビ”(Argonavisファンの呼称)の皆さんのおかげです。
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橋本:僕が演じる賢汰は、第1話ではまだ登場しないのですが、それでもすごくドキドキしていました。
僕は、本作で声優業に初めて挑戦するので、アニメの世界で自分の声が流れるなんて想像もしていなかったので、なんだか不思議な感覚……それに加えて、怖さもありました。自分の声が一体どういう風に皆さんに聞こえているんだろうって。
でもそれが楽しみでもあって、今、感情が忙しいです(笑)。
――改めて、「アニメ化する」と聞いた時はどのようなお気持ちになりましたか?
橋本:「GYROAXIA」は2019年始動と、割と最近スタートしたばかりなので、最初からアニメも視野に入った状態でした。でも、聞かされた時は、実は全然実感がわいてなくて(笑)。
アフレコで見ている絵は、放送されるものとまったく違って、しかも完成したものを見れていなかったので。第1話の放送を見て、やっと現実味がわいてきました。
「ついに、本当に始まったんだ!」「本当だったんだ!」っていう(笑)。
前田:確かに! 「本当だったんだ!」と僕も思いました(笑) 。
『BanG Dream!』というメディアミックスプロジェクトは、リアルライブあり、ゲームあり、アニメ化も視野を入れてのプロジェクトでしたが、「こんなに早くアニメ化が実現するなんて!」っていう嬉しい気持ちもありつつ、「本当に?」っていう気持ちもあって……僕も感情が忙しいです(笑)。
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――前田さんは、プロジェクト初期からの参加。この2年を振り返ってみて、感慨深いものはありますか?
前田:そうですね。最初のライブ「0-1st LIVE -始動-」では、ギターのひゅーすけ(日向大輔)とキーボードの森嶋秀太さん、そして僕の3人だけの出演だったのですが、その時、実はまだキャラクターやシナリオも知らない状態だったんです。
橋本:へー!
前田:“前田誠二”としてライブに出演している状態だったので、そこからキャラクターが生まれて、メンバーも増えて、ナビと一緒にライブを作り上げてきたので、感慨もひとしおです。
プロジェクトと一緒に僕たちも成長してきたという気持ちがあります。
――リアルライブから生まれるコンテンツは、あまりないと思います。そもそも、このプロジェクトのことを最初に聞いた時は、どのようなお気持ちだったのでしょうか。
前田:リアルにライブをすることに、少し戸惑ったことを覚えています。僕と森嶋さんは楽器初心者なのですが、それなのに「数カ月後にライブやります」って言われて(笑)。
もともとガールズバンドの先輩たちが築き上げてきたコンテンツでもあるので、別作品ではありますが、「受け入れてもらえるのかな」という不安が大きかったですね。
でも、その「0-1st LIVE -始動-」で僕たちがステージに立った瞬間のナビの皆さんの第一声を聞いて、「練習を頑張って良かった」と思ったと同時に、これからずっと長い間続くコンテンツにしていかなきゃいけないと強く思いました。
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――このお話を聞いて、橋本さんもプロジェクトのお話を聞いた時は同じ感情だったのでは?
橋本:その通りです。前ちゃん(前田誠二)がガールズバンドの方々に思ったことは、「GYROAXIA」が「Argonavis」に対して思ったことそのまま。
僕たちがサプライズ登場した2nd LIVE「VOICE -星空の下の約束-」は、「GYROAXIA」じゃなくて「Argonavis」を見に来たお客さんばかりなので、ステージに立つことに少し恐怖を感じていました。
でも、すごく温かく迎え入れてもらえて、とても嬉しかったです。
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僕ら「GYROAXIA」はまだ何も成し遂げていなくて、「Argonavis」に何も返せていないんです。「Argonavis」が2年間かけてひとつひとつ積み上げてきた土台に乗っからせてもらった感覚。
なので、今後「GYROAXIA」がちゃんと自立して、「Argonavis」と対等な位置まで登れた時に、そこから本当の勝負が始まるのではないかと思っています。
――橋本さんは声優初挑戦という部分でも、プレッシャーがあったのではないでしょうか。
橋本:普段、舞台を中心に活動していますが、里塚賢汰役のオーディションを受けさせていただきました。
オーディション会場では、声優さん、あるいは楽器に特化したミュージシャンの方が多くいる中で、声優でもない、ミュージシャンでもない自分がここにいて大丈夫なのかという不安はありましたね。
また、先ほども言ったように2nd LIVE「VOICE -星空の下の約束-」の時は、やはり声優さんやアニメが好きなお客さんが多い中で、「舞台俳優の自分が受け入れてもらえるのだろうか」「違う声優さんが良かったと言われるんじゃないだろうか」という、もしかしたらそういったネガティブな意見があるんじゃないかと考えたりもしました。
なので、ナビの皆さんの温かい声援に、本当に救われましたね。
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