ベルくんとゴブスレさん、互いが背負う“ヒーロー像”の違いとは? 「ダンまち」大森藤ノ×「ゴブスレ」蝸牛くも【インタビュー】 3ページ目 | アニメ!アニメ!

ベルくんとゴブスレさん、互いが背負う“ヒーロー像”の違いとは? 「ダンまち」大森藤ノ×「ゴブスレ」蝸牛くも【インタビュー】

スマートフォン向けRPG『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~メモリア・フレーゼ~』と『ゴブリンスレイヤー』とのコラボイベントが1月31から2月27日にかけて開催。共同でシナリオ執筆を行った大森藤ノ先生と蝸牛くも先生とのインタビュー後編をお届け。

インタビュー スタッフ
(C)蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤーGC製作委員会 (C)大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち2製作委員会 (C) WFS
(C)蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤーGC製作委員会 (C)大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち2製作委員会 (C) WFS 全 11 枚 拡大写真

■主人公2人の英雄論の対比


――ベルとゴブリンスレイヤーがキャンプの火を囲んで英雄について会話するシーンはとても印象的です。

大森:『ゴブスレ』原作1巻で、ゴブスレさんが仲間とキャンプするシーンがあるんですが、そのシーンがとても印象的だったので、ああいうシーンをぜひやりたいと提案させてもらいました。

蝸牛:あれは『指輪物語』や『ホビット』のイメージですね。あと、コンピュータRPGなら疲れずに延々と歩いて次の街まで行けますが、TRPGでは途中で休憩しないといけませんから、ああいう場面は必ず書くようにしているんです。『ソーサリー』でも度々休憩が入りますしね。

――ゴブリンを冷静に次々と殺していくイメージから一転、ああいうシーンで別の一面を見せてくれるんですよね。

大森:天然でギャップを見せてくるゴブスレさんはズルいんです。ベルは結局ベタ惚れみたいな感じになっちゃいましたね(笑)。

蝸牛:ゴブスレさんは逆に、ベルくんのようになりたかったと思っているんです。ゴブスレさんはゲームでたとえたら、そこら辺にいるNPCの1人ぐらいの存在ですから、ベルくんのような主人公キャラを応援したくなるんです。

大森:お互いをリスペクトし合えるところに着地できましたね。
英雄に関しての見解の相違も上手く出ていますし、もっと膨らませたいと思って、くもさんもそれに応じてくれました。

その他、桜花がベテラン冒険者の剣の乙女に感心するシーンがあるんですけど、ここにも両者の違いが鮮明に出ていて、個人的にすごく好きなんです。

蝸牛:乙女さんは一度世界を救っていますからね(笑)。彼女が新人冒険者だった頃の話を『ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀』で書いていますので、ぜひ読んでほしいです。

『ダンまち』と『ゴブスレ』の世界観の大きな違いは2つあります。1つめは『ゴブスレ』は神様が上の方で見守っているけど『ダンまち』は神様たちが地上に一緒にいるということ。
あらゆる冒険者が神々から直接加護を受けなければ挑めない迷宮というのは『ゴブスレ』側から見れば凄まじい場所ですし、『ダンまち』側からすると神々の加護もなく本人の技量とサイコロだけで冒険に挑まねばならないのは信じられない環境でしょう。

そして、2つめは冒険者論の違いについてです。『ダンまち』では冒険者は挑戦するけど冒険はしないんですよね。エイナさんがベルくんに戒めていましたけれど。
一方、『ゴブスレ』では冒険者は冒険するもので、成功確率が1%でもあればサイコロの出目次第で勝てる以上、躊躇なく飛び込んでいくのが冒険者です。桜花さんと乙女さんのやり取りでは、その2つの違いが対比的に上手く描けたと思います。

■クライマックスの元ネタのTRPGとは


――物語のクライマックスは、「迷宮の主(ダンジョンマスター)であるドラゴンを、力を合わせて倒すという展開ですが、どう作っていったのですか。

蝸牛:ある有名なTRPGのシナリオがあるんですが、『鍔鳴の太刀』でもそれを元ネタにしたことがあるので、それを使ったらどうかと大森先生に提案しました。

大森:後半の展開はわかる人にはわかると思いますが、そのシナリオを基にした章タイトルがあるので、それを見てニヤッとしていただきたいです。
それと最後は、『アベンジャーズ』のように全員集結して戦わせたかったので、キャラクターが多くて書くのは大変でした。

蝸牛:その余波を受けて、ゴブリンスレイヤーのキルカウントがえらい数字になっています。TRPGでゴブリン100体が目の前にいると言われたら、ゲームマスターを「ちょっと?」と止めていい案件ですよ(笑)。

大森:いつも『ダンまち』では敵も味方も出し過ぎてしまうので、ちょっと抑えた方がいいかもしれませんね。小説外伝では最近、8万の敵を8人で殲滅するなんて頭の悪い話をしましたから(笑)。

――ゴブリンスレイヤーを英雄に見立てて、ベルが必殺技「アルゴノゥト」を発動する展開は最初から決めていたのですか。

大森:アルゴノゥトを決め技にした方が見栄えはいいかも、と最初の頃から既定路線でしたね。このスキルは英雄にまつわるものが発動のトリガーになるので、ゴブスレさんを英雄に見立てる展開にすることにしました。

――ベルとは異なる英雄のあり方を提示していたように思います。

大森:くもさんが『ゴブスレ』をどんな結末にするのかわかりませんが、彼が迎える未来の在り方の1つを提示できたような気もします。
勇者のように世界を救うことはできなくても、ある局地では英雄になれる。彼は決して自分のことを冒険者とも英雄とも言わないんですが。

蝸牛:『ゴブスレ』の世界では、勇者はスーパーマンで、ゴブスレさんはバットマンという認識で書いています。
『ダンまち』のベルがスーパーマンかどうかはわかりませんが、そういう才能を持った人ですから、方向性の違いは意識しました。

――ベルがゴブリンスレイヤーを英雄として見ていたことが描かれますけど、一方でゴブリンスレイヤーはベルをどう見ていたのでしょうか。

大森:ベルが最後にゴブスレさんに「英雄みたいでした」と言うんですが、それに対して「いや、俺は英雄じゃない。だがお前はドラゴンスレイヤーだ」と返していて、「くもさん、こう来るか…!」と思いましたね。

蝸牛:ゴブスレさんは自分が英雄になれないとわかっているので、スーパーマンみたいでしたと言われても、「いや、俺はバットマンだ」と思ってしまうんです。蝙蝠の格好してるだけ、持ってるパワーは「金持ち」(笑)。

――2人のルーツは同じだというお話もありましたが、2人のやり取りは、互いにとって「ありえたかもしれない別の姿」なのかもしれないと思いました。

大森:そうかもしれません。ベルがバットマンのような闇のヒーローの道に歩んだ姿はちょっと見てみたいですね。

蝸牛:それはきっと、ベルくんがヘスティア様に会わなかった世界線ですよ。どこのファミリアにも入れてもらえなくて、目が死んでる(笑)。

大森:それでソーマ・ファミリアに入団するとかですかね? リリルカと2人でやさぐれて、死んだ魚のような目で「こんだけの稼ぎか、しょーもな」とか言い合うみたいな(笑)。それ面白いですね、『ダンメモ』でやりますか(笑)。

蝸牛:やさぐれているけど、なけなしの義侠心は残っていて、ちょっと良いことするみたいな話がいいですね、やりましょうよ(笑)。

――最後に原作ファンに対して、今後の展開などについてメッセージをお願いします。

大森:本編の次巻は、1巻から登場しているシルのエピソードです。シルさんファンの皆さん、お待たせしました。
外伝『ソード・オラトリア』の方も12巻で大きな節目を迎えたので、レフィーヤがどう変わっていくのか見守って頂ければ。本編11巻後のベルのように、成長する彼女をお見せできたらと思っています。

蝸牛:『ゴブスレ』の次巻である12巻は、ゴブリンが出たのでゴブリンスレイヤーさんがゴブリン退治をするまでのお話になります。2月14日発売になりますので、劇場版ともども楽しんでいただけたらと思います。

それと外伝やコミカライズもありますし、スマホゲーム『ゴブリンスレイヤー THE ENDLESS REVENGE』とTRPGのルールブックも昨年発売しましたので、遊んでいただけると嬉しいです。
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《杉本穂高》

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