「イングレス」「あしせか」のクラフタースタジオ、最新IT技術で作るアニメの未来とは【インタビュー】 3ページ目 | アニメ!アニメ!

「イングレス」「あしせか」のクラフタースタジオ、最新IT技術で作るアニメの未来とは【インタビュー】

アニメサイト連合企画「世界が注目するアニメ制作スタジオが切り開く未来」の第15弾は、クラフタースタジオの常務取締役・川島英憲と監督・櫻木優平にインタビュー。アニメ制作の心得や海外との違い、目指すビジョンについてうかがった。

インタビュー スタッフ
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クラフタースタジオ 川島英憲 常務取締役と櫻木優平 監督 インタビュー
クラフタースタジオ 川島英憲 常務取締役と櫻木優平 監督 インタビュー 全 20 枚 拡大写真

クラフタースタジオ 川島英憲 常務取締役
――VRについてはいかがでしょうか?

川島VRはアニメを拡張していくツールとしても非常に強力です。アニメスタジオの中でも、クラフタースタジオが一番力を入れてると言っても差し支えないんじゃないかと思っています。
今、VRCC(※)の同時多人数視聴というVRサービスを展開していて、カドカワが作るネットの高校・N高等学校の入学式にも使われました。

VRCCの面白さは2つあって、まず1つは映画館ならではの立体音響で映像が体験できて、没入感がある。もう1つは、これまで同時体験が非常に弱いコンテンツだったVRが、バルト9では80人が同時にVRを体験できる。アニメーションをはじめ、さまざまなサービスで需要があるのではないかと進めています。

(※) VRCC…VAIO株式会社、東映株式会社、株式会社クラフターによる映画館でVR映画を鑑賞できる環境を提供する共同事業体「VR Cinema Consortium」の略。

――確かに。最近ではVRでキャラ生成して塾の授業を受けられるという話も耳にします。

川島:そうですね。そこに対しても日本がアニメで培ったノウハウをVRを通して表現することで、現状既にリードしてる部分もあると思うんです。

テクノロジーで言うと海外も頑張ってますけど、日本人は仮想現実を作るときのキャラクター生成能力が高い。コミケなどの二次創作系のイベントからも分かるように、日本人にはものを作る人間がたくさんいる。そういった国民性を含めて、VR、仮想現実を作っていくと大量のアセットが必要になってくるので、今後、より日本人のクリエイターが占めていくんじゃないかと思います。

実際、櫻木監督の『夏をやりなおす』という作品もありますし、ぜひとも、うちが作るVRにも注目してもらいたいなと。

クラフタースタジオ インタビュー
――今後、5Gでゲームは今までのラグがなくなるなどと言われていますが、アニメではその辺りの予測や方向性はありますか?

川島:映像メディア自体は、フィルムの頃からあの四角の中で勝負するというのは変わってないので、映像メディアとしては変わらないでしょうね。
5GやIoTの流れで考えると、2.5次元のようにアニメがより現実に拡張されていく流れは当然あると思います。

櫻木:作るものの本質は変わらないと思いますが、海外など距離の遠い方々との仕事がしやすくなりそうですね。あとは映画1本分のデータが一瞬で飛ばせるという点で、良いことと悪いことがあるだろうなと思っています。

作品を様々なメディアで広く展開していけるようになる反面、一つ一つのデータの価値が下がる可能性も感じています。これまでハードディスクじゃないと運べなかったような大容量データも5Gなら容易く拡散できる。自分たちが作っている映像作品はデータなので、データの扱いが変わることで作品自体の価値にも変化が起きそうな気がしています。

川島確かに。ブロックチェーンとかがどうアニメに入ってくるのかによって、もしかすると何か一定のお金を払わなければ視聴できない、作品主導のシステムが作れたりもすることがあるかもしれないですね。より多くの人が見るだろうと思った作品にはどんどんコインが集まって、それはそれで幸せな未来だと思います(笑)。

クラフタースタジオ 櫻木優平監督
――スタジオ・監督としての目標、こんな作品が作りたいというものはありますか?

櫻木:コンスタントに作品が出せるように整える。その中でクオリティーが上がっていく体制をつくるイメージですね。これまでのように人を増やすとか、予算を増やすとかではなく、システムでもっとうまく使い、これまで難しかった表現ができるようにしていきたいです。
30歳前後がメインの若いスタジオなので、全体の熟練度をもっと上げていきたいですね。

川島クラフタースタジオがクリエイターにとって目指す場所になるような、常に優秀な人が所属するというようなものを目指したいです。

AIに限ったことでなく、既存のアニメ業界の中で使ってこなかったディープラーニングのようなツールを積極的に採用していく。水面下で試しているテクノロジーはあります。ただし、どれだけ素晴らしい技術があってもクオリティーの敷居値を超えなければ使えないので、そちらが表層化してくるのは今後ですね。

――海外のファンのみなさんへ、メッセージをお願いします。

櫻木:クラフタースタジオは、海外の方とお仕事することも多いですし、世界に向けて発信することも多いスタジオだと思うので、作品をご鑑賞いただける機会があれば、ぜひ楽しんでいただければと思います。

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《高木真矢子》

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