「ペルソナ2 罪」20周年で魅力を振り返る！ “噂が現実になる”世界では、ラーメン屋が武器を密売!? 【特集】

シリーズ化を遂げているRPG作品は多数ありますが、現代を舞台としたものは意外と少なめ。『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』といったファンタジーをベースとした世界観が、RPGというジャンルには多い傾向にあります。

ですがその一方で、思春期の少年少女を主軸に置いたジュブナイルRPGとして確固たる人気と地位を築いてきた作品として、『ペルソナ』シリーズがあります。一作目の『女神異聞録ペルソナ』が登場したのは、1996年9月。『女神転生』シリーズから派生した『女神異聞録ペルソナ』は、魅力的な要素を引き継ぐ一方で、独自の路線も打ち出し、好評を博しました。

ちなみに『ペルソナ』シリーズは、近年だけでも、2016年にナンバリング最新作『ペルソナ5』をリリースしており、様々な新要素を加えた『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』が2019年10月31日に発売予定。さらに、シリーズ初のアクションRPG『ペルソナ5 スクランブルザ・ファントムストライカーズ』も鋭意制作中とのこと。

今も続く人気コンテンツに成長した『ペルソナ』ですが、『女神異聞録ペルソナ』を原点とするならば、続編となる『ペルソナ2 罪』の登場は、シリーズ化を決定づけた存在と言えるでしょう。この『ペルソナ2 罪』が発売されたのは、1999年6月24日。ちょうど20年前となります。

『ペルソナ』シリーズの黎明期を支えた重要な作品のひとつであり、シリーズ内でも見劣りしない魅力と個性を持ち合わせた『ペルソナ2 罪』。今回は、本作のアニバーサリーを記念し、その魅力やシリーズにおける役割などについて、振り返ってみたいと思います。

※本記事のゲーム画面は、『ペルソナ2 罪 INNOCENT SIN』のものです。

◆「噂」が世界に影響を及ぼし、人々が振り回され、ラーメン屋が武器を売る・・・！

『ペルソナ2 罪』の大きなのひとつ特徴といえば、「噂が現実になる」という設定。これは、物語面に深く根差す要素であると同時に、ゲームシステムとしても確立されています。

都市伝説めいた噂話が蔓延する珠閒瑠市（本作の舞台）では、噂から生まれた様々な事件や出来事に翻弄されると共に、その背後に見え隠れする怪人・ジョーカーと関わる形でストーリーが展開していきます。と同時に、この「噂」がゲーム性にも絡んでおり、例えばごく普通のラーメン屋なのに、「あの店では武器を密売している」といった噂が流れることで、実際にそのラーメン屋で武器が購入可能に。

「噂が現実になる」という設定が、物語だけでなくゲーム面においても影響を及ぼす点は、非常にユニークで、かつ想像力が刺激される要素です。噂が現実世界を歪めたのか、はたまた本当に武器を密売していたからそんな噂が流れたのか。噂と現実の境目が曖昧になっていく感覚は、これまでのRPGにはない新鮮さがありました。

ちなみに『女神異聞録ペルソナ』も、部屋の四隅に4人が立ち、別の角に立つ人物にタッチしていくことで「ペルソナ様」を呼び出すという、都市伝説らしさを感じる遊びで幕を明けます。得体が知れない、けれどどこか親しみやすさもある都市伝説や噂話といった要素は、『ペルソナ』シリーズとの相性が良いのでしょう。

また、個性的なのは物語やゲーム性だけに留まりません。『ペルソナ』シリーズは、ジュブナイル系RPGの印象が色濃いのですが、実はパーティに加わる面子は学生以外も少なからずおり、高校生オンリーは『女神異聞録ペルソナ』のみ。『ペルソナ3』では犬のコロマルや初等部の天田乾が加わりますし、月光館学園に編入されるもののアイギスはロボットという特殊な立ち位置の持ち主。また『ペルソナ4』と『ペルソナ5』では、それぞれクマとモルガナが、他の面々とはひと味違う立場として参戦しています。

そして『ペルソナ2 罪』では、高校生だけでなく、社会人などもパーティに参加。平均年齢の高さも、『ペルソナ2 罪』が持つ特徴的な要素です。これは、単に年齢の話だけでなく、社会人からの視点や価値観が混ざることで、シナリオに新たな深みを持たせたり、噂の不気味さがより浮き彫りになるといった効果もあります。

登場人物について更にユニークな点を挙げるならば、前作『女神異聞録ペルソナ』で活躍したキャラクターの登場も外せません。近年のシリーズ作では、他の作品の設定や関連などを匂わす場面はあるものの、直接的な接点はほとんどありません。しかし本作には、“あの時のみんな”が成長した姿で出てくる上に、シナリオにも深く関わります。

このように、本作ならではの魅力に溢れている『ペルソナ2 罪』ですが、その一方でシリーズ全体に影響を及ぼした面も多数あります。『女神異聞録ペルソナ』におけるダンジョンの表現は3D視点でしたが、本作は見下ろし型を採用。この形は、以降の『ペルソナ』シリーズに受け継がれています。また、月齢を廃止し、戦闘の難易度を下げるなど、『女神転生』シリーズとの差別化をより後押しする作品となりました。

揺るぎない個性とシリーズ展開の礎を両立した『ペルソナ2 罪』ですが、そんな本作を今遊ぶとすればどのような形があるのか。その点についても触れたいと思います。

◆『ペルソナ2 罪』を今遊ぶのは、ちょっと難しめ？『ペルソナ2 罰』も合わせてプレイして欲しい！

『ペルソナ2 罪』のファンならば、初代プレステやパッケージ版を既に所有済みかと思いますが、初めて遊ぶ新規ユーザーにとっては、当時の環境を改めて整えるのはなかなか大変でしょう。PS2やPS3でのプレイも可能ですが、その場合もパッケージ版の入手が必須。昨今ではネット販売などで入手できますが、一手間かかるのが現状です。

手軽さという意味では、PSP向けにリメイクされた『ペルソナ2 罪 INNOCENT SIN』もひとつの選択肢となるでしょう。リメイク版は、パッケージ以外にダウンロード版もあり、このダウンロード版ならばPSPだけでなくPS Vitaでもプレイ可能です。しかも、新要素やBGMのアレンジ版も収録。BGMはオリジナルとの切り替えができるため、自分好みの形で遊べます。

ただし、ダウンロード版『ペルソナ2 罪 INNOCENT SIN』の価格は5,122円（税込）。8年前のソフトにフルプライス相当の出費を割くのは、ちょっと勇気が必要かもしれません。所持しているハードと懐具合の双方と相談しつつ、負担の少ないプレイ環境をチョイスするのが賢明でしょう。