劇場版「タガタメ」ファンタジー世界で描くメカの魅力とは?「エスカフローネ」以来の挑戦となる河森正治に聞く【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

劇場版「タガタメ」ファンタジー世界で描くメカの魅力とは?「エスカフローネ」以来の挑戦となる河森正治に聞く【インタビュー】

6月14日公開のアニメーション映画『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』より、河森正治総監督と高橋正典監督にインタビュー。ゲーム原作のアフターストーリーを描くというある種大胆なアプローチで、『タガタメ』の魅力をいかに表現しているのか? その内幕を話していただいた。

インタビュー スタッフ
『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』河森正治×高橋正典 インタビュー
『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』河森正治×高橋正典 インタビュー 全 11 枚 拡大写真
6月14日、全世界で900万ダウンロード突破の本格タクティクスRPGを原作とするアニメーション映画『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』が劇場公開を迎える。

制作陣は、総監督に『マクロス』シリーズでおなじみの河森正治、監督に『異能バトルは日常系のなかで』で監督を務めた高橋正典、アニメーション制作はサテライトが担当。
現代社会を生きる女子高生・カスミが異世界のバベル大陸に召喚され、仲間とともに“闇の魔人”と対峙するオリジナルストーリーが展開される。

本記事では、河森総監督と高橋監督にインタビューを敢行。
ゲーム原作のアフターストーリーを描くというある種大胆なアプローチで、『タガタメ』の魅力をいかに表現しているのか? その内幕を話していただいた。
[取材・構成=山田幸彦]

■オリジナルではあるものの、決してゲームからは離れていない


『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』本ポスタービジュアル(C)2019 FgG・gumi / Shoji Kawamori, Satelight
――これまで河森総監督が監督を務めた作品は、そのほぼ全てがオリジナルでしたが、今回の『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』はスマートフォン向けゲームを原作としています。原作のどういった部分に魅力を感じましたか?

河森:これまでも原作付き作品のオファーを受けたことがあるのですが、毎回「(原作から)変わっちゃいますよ?」と伝えて、「どんなに変えてもいいからやってください!」というお返事をいただくものの、シナリオやコンテの段階でやり取りしているうちにご縁がなくなることばかりで。(笑)

今回の『タガタメ』に関しては、ゲーム開発初期の段階でOP映像の絵コンテや演出を担当し、コンテ用に考えたアイデアもゲームで反映していただいたという経緯がありました。
お引き受けしたのは、全くゼロからのスタートではないことが大きかったです。

今回の映画化にあたり、ゲームをつくられた今泉潤プロデューサーをはじめとするスタッフのみなさんに、こちらが提示したプランを検討してもらった結果、「これならば、『タガタメ』の世界を崩さずに、独立した映画が作れるのではないか」と承認していただきました。

『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』新場面写真(C)2019 FgG・gumi / Shoji Kawamori, Satelight
高橋:『タガタメ』の世界と河森さんの世界が上手く融合するようgumiさん側に意見を取り入れていただいたので、オリジナルストーリーではありますが、決してゲームとは離れ過ぎない作品になっているかと思います。
ふたつの世界観を調和させた結果、面白い形になっているはずです。

河森:もともとあった『タガタメ』の世界に対して、近くにはいるけどちょっと離れたポジションだった自分が入っていくという構造そのものが、我々と同じ現代社会からバベル大陸に召喚されたカスミのポジションと被るところがあって、上手くハマった部分だと思います。

高橋:確かに、アニメのスタッフまとめてカスミに自己投影することができましたよね。

――総監督、監督の役割分担は本作ではどのような形態なのでしょうか?

高橋:企画段階では河森さんが中心となって進められていて、僕はシナリオ会議の初期段階から参加しました。シナリオ会議と、コンテの一部を河森さんに監修してもらいつつ担当して、本格的に制作がスタートしてからは作画などの紙での実作業を僕がメインになって進めています。
3DCGに関しても、河森さんと一緒に演出をつけていますね。

河森:自分は主にストーリー構成と、絵コンテを担当しています。美術監督、撮影監督、作画監督と打ち合わせをして作品表現の大枠の部分を決めた後は、高橋監督にお任せして現場を仕切ってもらっています。

■オリジナル主人公・カスミの造形


『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』新場面写真(C)2019 FgG・gumi / Shoji Kawamori, Satelight
――オリジナルストーリーということで、さきほど名前が挙がったカスミをどういう主人公にするかが重要だったかと思います。キャラクター造形やストーリー構成をするにあたり、どのようなことを意識しましたか?

河森:実はカスミは、以前自分が考えていたファンタジー企画のヒロイン像がベースになっています。
自分たちの若い頃って、「やるな!」と止められてもやりたいことをやる人がとても多かったんですが、一時期から「こういうことをやったほうがいい」と言われたことをやる時代になり、さらに最近は、「やってもいいよ」とよほど言われないとやらない人が増えてきた印象があるんですよね。
もちろんそうじゃない人も中にはいるので、今の若い子たちと括ってしまい過ぎるのは危険なんですが。

そんな時代の中で、「自分自身を表現し切れていない子をどう描けるのだろうか」ということに関心があったんです。
根暗なわけではないし、すごくマイナーなものに閉じこもっているわけではない、現代によくいそうなキャラ造形を目指しました。

高橋:カスミは、ただ単に引っ込み思案というわけではなく、おとなしいけれど、興味があるものにはグイグイ突き進んでいく一面がありますよね。

現代でお母さんと会話するシーンでは、基本的には大人しめなのですが、そんな彼女がバベル大陸で変化していく姿を描いています。表情に関しても、おとなしいところはおとなしく、興味の出たところは表情豊かにするといった形でメリハリをつけています。


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《山田幸彦》

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