「転スラ」あえて時流の真逆いく、2クールかけてじっくり描く意義は?伏瀬先生&杉本Pに聞く【インタビュー】 3ページ目 | アニメ!アニメ!

「転スラ」あえて時流の真逆いく、2クールかけてじっくり描く意義は?伏瀬先生&杉本Pに聞く【インタビュー】

22019年1月より第2クール目に突入したTVアニメ『転生したらスライムだった件』より、原作者である伏瀬先生と、バンダイナムコアーツの杉本紳朗プロデューサーにインタビュー。1クール目を振り返りつつ、今後の展開の注目ポイントを聞いた。

インタビュー スタッフ
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(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会 全 10 枚 拡大写真

■今、2クールで『転スラ』を描く意義


――本作からちょっと話は離れますが、『転スラ』に代表されるようないわゆる「転生もの」は、なぜ今の時代にブームになっていると思われますか?

伏瀬
それは……現実がしんどいからじゃないですかね……(笑)。

杉本P
そうですね(笑)。「転生もの」って、観ている方からすると現実世界のしんどいことを忘れて楽しめる作品が多いですし、伏瀬先生が「小説家になろう」からデビューしているように、作る側も入りやすいんだろうなと。

伏瀬
現実の知識を持って異世界に行くという設定は、普通は説明がいる場面でも「現実の○○っぽいもの」と言えば済むから、書く側としてはそれだけでかなり制約が取っ払われることになるんです。
その手軽さは、練習がてら『転スラ』を書き初めた理由のひとつでもありましたね。

杉本P
観る人たちと主人公の間で共通言語があるから、簡単に楽しめるというのも流行の理由かもしれません。

伏瀬
これが異世界で生まれた主人公だったら、主人公が異世界の常識を知っているところからスタートしますよね。主人公の気持ちを読者がまず理解しないと感情移入しにくいという前提があるんです。

そういうときは主人公を三人称視点で書くほうが読者に伝わりやすくなるのですが、異世界転生は一人称で主人公=読者という切り口なので、それが読みやすさに繋がるのかなと。

杉本P
アニメを知っている人にアニメをおすすめするのと、アニメを知らない人にアニメをおすすめするのでは、どれだけハードルの高さが違うことか! みたいな(笑)。

伏瀬
そうですね(笑)。世界観を作ってガッチリした作品を練ると重くなるんですよね。そういった作品に対して、「そこまで小説を読むのに時間をとってられないよ!」と感じる人たちの需要に上手く噛み合ったのが、いわゆる「転生もの」「なろう系」と言われる作品なんだろうな、と。


――近年このジャンルのアニメ化が増えていることに関しては、1クール放送が主流になりつつある今「前置きを説明しなくて良い」という尺に対しての利点もあるのでしょうか?

杉本P
それはあると思いますね。

――先ほど構成に関するお話もありましたが、そんな中で2クールかけて丁寧に物語を描いていくところが、他作品とひと味違うところかなと。

伏瀬
8話までプロローグになっている構成は、正直なところ「ちょっと丁寧につくり過ぎなんじゃないかな……」って思っていました(笑)。でも、全部まとめて観るとこれは端折ることはできないな……となるし、今の構成が正解ですよね。

杉本P
結果として、丁寧に原作を追っていって、省略なくキャラや世界を描いていく作りが一番『転スラ』の魅力が出る形だったんですよね。ただ、会社に企画を通すとき、正直に「8話までプロローグです!」と言っていたら、「おいやめろ!」と言われていたでしょうし(笑)、なかなかチャレンジではありました。

――他のアニメだと、起承転結の「起」は3話あたりで終わらせてしまいますからね。

伏瀬
このご時世、こういう贅沢な尺の使い方はなかなかできないですよね。正直、原作でかなり盛り上がるところの手前で1クール目が終わっているのに関しても賭けだったんですよ。
でも、観た人は1話から面白いと言ってくれているようだし、現在もそういう方々が観続けてくれている。それは本当に幸せなことです。

――TV放送開始から、ファンの方々の反応はチェックされているんですか?

杉本P
僕は常に転スラのエゴサーチをしています(笑)。SNSなどでも読み切れないくらい感想が上がっていて、嬉しいですね。皆様の叱咤激励と思って、ありがたく頂戴しています。

伏瀬
基本的に周囲の方からファンの反響を耳にするだけなのですが、良い時代に放送されているなっていうのは観ていて感じましたね。
同時期に面白い作品がたくさん放送されているなかで、『転スラ』はブレがない安定したポジションにいるのがいいなと。

8話までをプロローグにしたことで、他の1クール作品が終わる頃に盛り上がって2クール目に突入するし、ここに来てシリーズ構成の強みも出ていると感じています。

――では最後に、第2クール目の今後の注目ポイントを教えてください。

伏瀬
まだまだ新キャラも登場しますし、お色気シーンなども追加されていくので、そっち方面もぜひご期待ください(笑)。

杉本P
私たち制作サイドも「あのキャラが動くところを観たい!」という、ファンのみなさんと同じ気持ちで作っています。今後も最後まで楽しんで観ていただけると嬉しいです。

『転生したらスライムだった件』Blu-ray特装限定版 第1巻

発売日:2019年1月29日
価格:18,000円(税別)
収録内容:本編6話
封入特典:伏瀬書き下ろし小説を収録した特製ブックレット(約50P)、アプリゲーム限定シリアルコード(【装備製造】希少素材セット×1、Blu-ray&DVD購入者限定スカウトチケット×2
※「転生したらスライムだった件~魔国連邦創世記(ロードオブテンペスト)~」で使用できる限定シリアルコード
映像特典:
・PV&CM集
・第1話・第2話 先行上映会舞台挨拶映像
 [内容] 2018年9月17日にバルト9で行われた第1話・第2話 先行上映会キャスト舞台挨拶をダイジェストで収録。
音声特典:
第6話オーディオコメンタリー
[出演] 岡咲美保(リムル役)、豊口めぐみ(大賢者役)、花守ゆみり(シズ役)、泊明日菜(ゴブタ役)
仕様:江畑諒真描き下ろし収納BOX、川上泰樹描き下ろしデジジャケット

(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
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《山田幸彦》

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