「転スラ」あえて時流の真逆いく、2クールかけてじっくり描く意義は?伏瀬先生&杉本Pに聞く【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「転スラ」あえて時流の真逆いく、2クールかけてじっくり描く意義は?伏瀬先生&杉本Pに聞く【インタビュー】

22019年1月より第2クール目に突入したTVアニメ『転生したらスライムだった件』より、原作者である伏瀬先生と、バンダイナムコアーツの杉本紳朗プロデューサーにインタビュー。1クール目を振り返りつつ、今後の展開の注目ポイントを聞いた。

インタビュー スタッフ
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(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会 全 10 枚 拡大写真

■『転スラ』をアニメ化することへのこだわり


――アニメを監修するにあたり、伏瀬さんはどういったポイントにこだわられていたのでしょうか?

伏瀬
キャラクターデザインなどイメージ的な部分ですね。画面上の動かし方は素人が口を出すことではないと思っていたし、みなさんにお任せするのが一番ですから。

杉本P
いろんなキャラクターデザインがどんどん上がってくるのですが、伏瀬さんのイメージに合わないときは、都度すり合わせをして理想的なものを作っていくという流れでしたね。
1稿で済むことが多かったですが、キャラクターによっては3稿、4稿と重ねていくこともありました。三上悟は結構時間かかりましたよね。

伏瀬
そうですね。三上は何度か直してもらった結果、大分かっこいい感じにしていただいたなと。


――杉本プロデューサーから「原作のココは大事にしてほしい」とスタッフの皆さんにお話されたことはありましたか?

杉本P
ほぼありませんでした。ビジネス的な視点を入れ込こむとアニメーションとしてつまらなくなる可能性もありますし、やっぱり伏瀬先生とコミカライズの川上(泰樹)先生の原作を上手く料理できるのは、同じクリエイターでもあるスタッフのみなさんだと思っているので。実際に上がった映像を見ても、その判断は正しかったなと思います。
唯一、コミックス第1巻にあたる部分は、プロローグとしてしっかり描いて欲しいということだけお伝えしました。

伏瀬
シリーズ構成は悩んだところでしたね。ダイジェストにして、テンポよく進めるという選択肢もあったかもしれませんが、小説やコミックス第1巻をみなさんが面白いと言ってくれているからこそ、今のアニメ『転スラ』があったりもするので。そこは大事にできてよかったなと。

――構成的なお話だと、1話の冒頭で燃える町の中で逃げ惑うシズの映像が入ることで、後の伏線になっていましたね。


伏瀬
あれはシリーズ構成の筆安(一幸)さんが絶対に入れたいとおっしゃっていたんです。あとになって伏線として効果が発揮されていて、いいオリジナル要素だなと思いました。

――1クール目の中でおふたりにとって印象的なエピソードはどれになりますか?

杉本P
僕は1話で三上がリムルに転生するまでのシーンですね。最後までどう表現するか悩んで、自分自身イメージしつつもこれだ! という発想がなかったんです。
それが菊地監督や中山(敦史)副監督、グラフィックデザイナーの生原(雄次)さんのご尽力で映像になった瞬間、イメージしていた以上の良いフィルムになったなと思えたので。


――確かに大賢者絡みのCG映像は、シュールギャグでもシリアスでも映える作りになっていましたね。

杉本P
コミックの流れがすごく良いのであれを踏襲しても良かったのですが、アニメならではの味も欲しかったので、ああいう形で違いを出すことにしたんです。

伏瀬
マンガのときは川上さんも大分練ってネームを上げてくれていましたし、それぞれの媒体の個性が出ていますよね。
僕が印象に残っているのは、8話のシズさんのところです。盛り上がりもそうですし、シズさんに関しては、マンガ、アニメで良い具合に広げていただけたなと。


――シズの話が出ましたが、12月29日発売のBlu-ray第1巻の特典として、シズが主人公の書き下ろし小説が付属します。こちらはどなたのご提案だったのでしょう?

杉本P
こちら側からだったと思いますね。

伏瀬
最初、「主人公のリムルが出てこなくていいんですか?」とお聞きしたんですよね。でも、今振り返るとリムルのことは本編で書いてしまっているから、外伝で書くとしたら難しかったかもしれないなって。

杉本P
リムルは本編でたくさん出ますし、周りを固めたかったんです。そういった部分を深掘りできるのは、それぞれのキャラクターが良い具合に立っている『転スラ』ならではだと思います。特にシズさんはアニメでは重要なキャラクターになっていますから。

伏瀬
シズさんのお話を書くと決まったとき、マイクロマガジンの編集さんが「リムルじゃなくていいんですか? 僕はシズさん大好きだからいいですけど」と言っていたのをよく覚えています(笑)。

――伏瀬先生としては、今回の書き下ろしでいかに本編との違いを出されていこうと思われましたか?

伏瀬
本編だとリムルがいれば大体のことは苦労しない! というノリですが、シズさんがメインになったことで、この世界の“ヤバさ”が際立つようにしたいなと思っていましたね。


――確かにリムルがいないだけで、ちょっとコミカルな面もある本編とは対照的に、ハードな雰囲気が出てきていましたね。

伏瀬
本編だとシズさんに勝てたのも、リムルの主人公パワーがあればこそであって、本来は厳しい戦いばかりの世界なんですよ。と言いつつ、僕が書くものだから、主人公は強めになってしまった気もしていますが(笑)。
ぜひ、特典小説で本編よりちょっぴり難易度高めの『転スラ』を楽しんでいただきたいですね。


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《山田幸彦》

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