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“爆発やミサイルはマクロスをイメージ”「ネクスト ロボ」日本人クリエイターが語る日本アニメの影響

中国とカナダの合作アニメーション映画『ネクスト ロボ』がNetflixにて9月7日より独占配信されている。孤独な少女とロボットの友情と成長を描いたこの作品は、家族で楽しめるハートフルなドラマでありながら、迫力あるアクションもふんだんに盛り込まれた作品だ。

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“爆発やミサイルはマクロスをイメージ”「ネクスト ロボ」日本人クリエイターが語る日本アニメの影響
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動きのメリハリ(中割り)で動きに命を持たせる


――爆発や煙のエフェクト以外でも日本のアニメを参照した点はありますか。

Ishigaki
たくさんあります。7723のビームやバックパックから噴出される青いスラスターも日本アニメっぽく描いています。
もちろん、ミサイルのトレイルもかなり意識しています。エフェクトのタイミングを日本のアニメっぽくという要望だったので、それをフォトリアルでやるというのが目標でした。

――あえて日本のリミテッドアニメーションのようなタメやツメを意識したということですね。

Ishigaki
そうですね。監督たちは動きに命を持たせたいとよく言っていました。それをシミュレーションでやるのは本当に難しかったです。シミュレーションだと結局1フレームごとに手で描けませんから。
動きにメリハリをつけるのが一番大事なポイントで、爆発に関してもただヌーっと広げるのではなく、最初は早くて後半は遅くなるというように動きのメリハリをつけて、爆発の最初にすごい力が働いているという表現ができるよう目指しました。

――手描きの作画でいう中割りみたいなことですね。

Ishigaki
はい。1から100みたいに連番のデータの間をわざと抜いたりしました。


――今回のように日本アニメを意識して作ると手間はどれくらい変わるものなのですか。

Ishigaki
1回手法を確立させてしまえばその後はそこまで苦労しないのですが、そこにたどり着くまでがすごく大変でした。仕様書なんてありませんから、全て手探りでやり方を見つけていかないといけないので。
最初の2ヶ月の基礎研究段階を過ぎて、それ以降も作りながら試行錯誤していきましたね。

本作はエフェクトの数がすごく多くて、全てを1からシミュレートすると間に合わないので、エフェクトをライブラリ化して、それを効果的に使っていくようにしました。爆発などのエフェクトをカタログ化するような感じですね。
強弱やタイミングの違うものなど種類をたくさん作っておいて、このシーンではこれを使おうと監督たちに選んでもらう形で進めていきました。

――日本的なエフェクトを作る上で、やはり日本人であるIshigakiさんの存在は大きかったのかなと思っているのですが、どうなのでしょうか。

Ishigaki
どうでしょう(笑)。でも監督の他にもアートディレクターのリチャード・チェンもすごく日本のアニメが好きで彼の影響も強いと思いますね。
上の方のディレクションレベルではなく、僕は現場で、どうすれば日本のアニメのテイストが出せるかを考えるのが仕事でした。


――世界的に主流のフォトリアルなフル3DCG作品でありながら、日本のセルアニメのセンスを取り入れて、不思議な感触の作品に仕上がりましたね。そこも本作の魅力のひとつだと思います。

Ishigaki
ありがとうございます。まさにそれが僕らの目指したものなので嬉しいですね。

――日本のアニメ業界は手描きとCGのハイブリッドの方向の模索が続いています。世界的にフル3DCGのアニメーションが主流になるなかで、この動きについてIshigakiさんはどう思われますか。

Ishigaki
僕は大正解だと思います。動かない背景とか、ロボットとかは一度モデリングしてしまえば何回でも使えるので、あとはセルシェーディングでセルっぽく合わせていけばいいので効率的ですよね。そこで効率化できればその分他にリソースが割けるので全体のクオリティも上がるでしょうから賢いやり方だと思います。


――Ishigakiさんは、手描きとCGのハイブリッドのお仕事の経験はあるのでしょうか。

Ishigaki
ないです。僕がカナダで仕事を始めた時にはもうフル3DCGが主流でしたから。カナダでそういう作品を作っているプロダクションはほとんどありませんけど、一度やってみたいですね。


――カナダにおける、日本のアニメの評価はどういうものなのでしょうか。

Ishigaki
やはり日本のアニメは傑作が多いですし、すごく高く評価されていますよ。こちらのカートゥーンとは明らかに違うよねという感じで。うちはアニメーションのスタジオですから、詳しい人は本当に多いですね。

見どころはハイウェイのチェイスとスタジアムのバトル



――本作で、特に難しかったシーンはどこですか。

Ishigaki
一番難しかったのは、冒頭の方のハイウェイでのチェイスシーンですね。初めて7723が武器を使って大がかりなアクションが起きるシーンですが、このシーンを一番始めに手がけたので試行錯誤したという意味でもすごく大変でしたね。エフェクトのイメージを監督と詰めるために何度もやり直ししました。

――最後に、これから作品をご覧になる方に向けて、映画のポイント、エフェクトで特にここは観てほしいというシーンがあればお願いします。

Ishigaki
スタジアムでのバトルですね。あそこはかなり力が入っています。あとメイの家で7723と大きなロボットが戦う大きなアクションシーンがあるんですが、そこも面白くできたと思います。
一般的な3Dアニメーションよりエフェクトの数がすごく多いので、アクションシーンはすごく興奮できるものになったと思いますので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。
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《杉本穂高》

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