アニメはすでにシーズン1の半ばまで突入。原作の先にあるオリジナル展開を迎えようとしている。ここから少しずつ壮大な幕引きに向かって舵を切り始めたところだ。
今回、鹿住朗生監督へのインタビューでは、ポリゴン・ピクチュアズにおける3DCGアニメーション制作の舞台裏を語っていただきつつ、今回のアニメで描かれるテーマに迫った。
[取材・構成=小松良介]
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TVアニメ『蒼天の拳 REGENESIS』
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4月9日よりTOKYO MX、サンテレビ、KBS京都、BSフジで放送中
http://www.souten-regenesis.com/
Amazonプライム・ビデオでは一週間前に先行配信中
■『蒼天の拳』は壮大なストーリーの奥に哲学がある
――前回のインタビューでも少しお聞きしましたが、まずは鹿住監督からあらためて『蒼天の拳 REGENESIS』アニメ化の経緯を教えてもらえますか?
鹿住朗生監督(以下、鹿住)
僕がオファーをいただいたのは、『山賊の娘ローニャ』がひと段落してTVシリーズ『亜人』の各話演出に参加したときだから、2015年2月中旬あたりです。
ポリゴン・ピクチュアズの齋藤秀行プロデューサーから「この先のスケジュール空いてる?」と聞かれまして。当時は『亜人』で頭がいっぱいだったから、「そう言われても……」と思いつつお話を聞いた覚えがあります(笑)。
――そこからプロットなどの制作をゼロから。
鹿住
ええ。原作者のひとりである堀江(信彦)さんにお会いして、大まかなプロットをいただいて。その時点ですでにオリジナル部分を含めた物語の流れがあったものの、全24話でまとめるにはどうしても厳しいと思い、僕のほうで一度整理をさせてもらいました。
それを堀江さんに何度かプレゼンをして、決まったものをシリーズ構成の尾崎悟史さんと一緒に各話に振り分けながら、シナリオを設計していきました。
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――『蒼天の拳』の原作を読まれたときの感想はいかがでしたか?
鹿住
第一に感じたのは壮大なストーリーです。そして、仏教にも似た哲学的な思想が物語の根っこに横たわっていて、すごく深い世界観だなと思いました。
「どうしたらアニメ化できるか」という視点で原作を拝読していたのですが、『蒼天の拳』は読めば読むほど違う視点が出てくる。読み返すたびに新しい発見が見つかるぐらい多様性が広がっているので、アニメ化するにあたってどこに焦点を絞るのか、すごく難しいなと感じました。
■CG業界でも独特なポリゴン・ピクチュアズの仕事術
――ちなみに鹿住監督から見たポリゴン・ピクチュアズってどんな会社ですか?
鹿住
私も実写やアニメの作品でよく色々なCG制作会社さんとお仕事をしますが、その中でも特に独自性が強いスタジオだと思います。
「誰もやっていないことを圧倒的なクオリティで世界に向けて発信していく」というポリシーを持っていて、制作現場でもストーリー、キャラクター、デザイン、ひとつひとつに対して検証を重ねるスタイルを取っている。
たとえば演出が「こうしたい」と言えば、大概がそのとおりで進められるのですが、ポリゴン・ピクチュアズは「本当に整合性は取れているのか」「パフォーマンス性はあるのか」といった精査を行ったうえで採用していて。
――ポリゴン・ピクチュアズ流の仕事術ですね。実際にスタジオでの制作の進め方はいかがでしたか?
鹿住
「こうしたい」と漠然と思っていたものをしっかりと吟味し、そのうえで絶対に欲しいものだったらちゃんとチームを説得する。価値観の違いを共有しながら、一緒にクオリティの高い作品を作ることができたのでよかったです。
――3DCGと原作との相性はいかがですか?
鹿住
原先生の描くキャラクターは、すごく細かな線で構成されているんですよ。だからCGになったときに、どのバランスで統一させるかは、すごく悩みました。
ただ、3DCGと言ってもセルルック(※)なので、どこを省略して残すのか。CGなので情報量をたくさん詰め込むことはできますが、リアリティを求めれば実写でいいじゃん、という話にもなってくる。その線引きはしっかりと吟味しました。
(注:セル画(2D)で制作されたアニメのような表現を実現する3DCGの手法)
――具体的には?
鹿住
たとえば「キャラクターにカメラがを寄ったら顔にタッチを入れるけど、引いたときは皺みたいで邪魔になるからやめよう」とか「でもフルCGにしかできないことはどんどんやるべきだから、服の刺繍の細かさやディテール感はしっかりと再現しよう」など。そういった部分はセルルックとはいえ、しっかり見せたいと思いってました。
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