――作中にゲームをプレイする描写が多く、そのシーン特有の音楽が使われていました。
菊谷
ゲーム時の音楽については、今回はテレビゲームではなくボードゲームですが、「テレビのクイズ番組で流れる曲」とオーダーがありました。ほかの楽曲と差別化ができたのではないかと思います。
あと、サスペンス調の楽曲を作ったのですが、その使われ方が印象的でした。第5話でカラオケ店に退避した伊月のもとへ担当編集の土岐健次郎が現れる場面や、温泉でおばあちゃんがたくさん出てくるところ、あとは締め切りに追われた伊月が「妹法学園」の世界に入り込んでしまうシーンなどで使われていました。曲自体はとりたてたものではないんですが、これでもか、これでもかと使ってもらううちに、曲も一緒に面白くなった感じを受けましたね。
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――ほかにも、ストーリーや演出の相乗効果で印象に残った楽曲はありますか?
菊谷
私が関わっているものでもなく、劇伴の話とは少しズレますが、エンディングテーマ「どんな星空よりも、どんな思い出よりも」を入れるポイントが絶妙で、毎回うまく考えられていると思いました。ちなみにエンディングテーマをアレンジされている渡部チェルさんは、大学時代の同じサークルの先輩でして。
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――それは良いめぐり合わせですね。
菊谷
業界的にも大先輩で、音楽的にも尊敬しているし、アレンジも素晴らしかったので、チェルさんの仕事だとすぐに気が付きました。
――この連載では皆さんにとっての「○○さえあればいい」を聞いています。菊谷さんはいかがですか?
菊谷
「釣り」です。小学生の頃から多摩川で鯉を釣ったりしていて、もう欠かすことはできませんね。
――続いてもうひとつ、理想の妹像を教えてください。
菊谷
ちゃんと叱ってくれる妹がいたら嬉しいかなと。自分自身は兄ひとりの男兄弟なのですが、叱ってくれるならやっぱり妹ですね。僕にはちょっと考え方が歪んでいるところがあるので、そういうところを真人間に戻してほしいというか。「それは違うよ」って言って欲しいですね。
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――では最後に、作品を見直す際に音楽面で注目して欲しいポイントはありますか?
菊谷
全体としては渋谷系をモチーフとしていますが、多彩な楽曲がそろっています。たとえば、劇中では少ししか出てこないのですが、キャラたちがTRPGをプレイしているときの音楽は、オーケストラっぽい音になっていたりと、細部でこだわっています。そういうところをマニアックに聴いてもらえると嬉しいです。
『妹さえいればいい。 』
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【「妹さえいればいい。」連載インタビュー記事まとめ】
第1回 原作・平坂読先生「伊月と春斗は両方とも自分」
第2回 キャラクター原案・カントク先生「平坂先生のフェチを理解して再現する」