――作中に登場するイラストレーター・刹那のように、ご自身のフェチズムがイラストに生かされているところはありますか?
カントク
僕も刹那みたいになりたかったんですよね。自分は作品にそんなにフェチを生かしていないので。もちろん、細かい部分では、各パーツに理想があるのでそれをイメージして描くんですけど、『妹さえいればいい。』においては、そもそも平坂先生と僕の性癖は違うので、むしろ先生が「これが良いでしょう!」と訴えるものを僕が必死に理解して再現する形です。
僕はまったく全裸派ではないんですけど、先生の書く全裸にはバリエーションがあって、そこに一番感心しているんです。「下着よりも生々しく、下着よりも直球を出せる」という全裸ならではの魅力はもちろんのこと、コミカルなシーンでも下着より記号的になれるといいますか。「全裸には色々な使い方がある」というところを学ばせてもらいました。
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――伊月の作品のコミカライズをめぐって、全裸か下着かを言い争った伊月と蚕の関係に近いものがありますね。
カントク
僕は蚕寄りで下着派だと思います。さすがに彼女みたいな下着愛はないんですが、全裸になるとその分情報が減ってしまうんです。情報の少なさが良いと取るのか、情報が少ないから絵としてアピールする部分が少なくなってしまうと取るのか。そのどちらもあるので、これは永遠のテーマだと思います。
――キャラクターを描く際に、とくに意識されることは何ですか?
カントク
女の子は女の子らしく、男の子は男らしくというところでしょうか。だけど千尋だけは千尋らしくなんです。最近ちょっと女の子らしく描くケースが増えていますが、あくまで“性別:千尋”なので、そこをギリギリ守っていこうと思っています。
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――タイトルにかけまして、カントク先生の「〇〇さえあればいい」というものを教えてください。
カントク
そうですね……最近だと「コタツさえあればいい」かなと。数年ぶりに出したらハマってしまって。最近ずっとコタツで仕事をしているせいで、もう仕事部屋がいらないんじゃと思っていたり(笑)。
――腰が痛くなったりしないんですか?
カントク
僕は元々座椅子で仕事していたんです。まともな椅子と机を持っていなくて、机も低いものしかないんです。なのでコタツになったところで布団が増えるだけなので、「背もたれさえあればいい」んです。机と椅子はいらないですね。
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