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アニソン専門の定額配信サービス「アニュータ」誕生 フライングドッグ代表・佐々木史朗が挑戦を語る

3月24日、サブスクリプション(定額配信)サービス「ANiUTa(アニュータ)」をフライングドッグやランティス、KADOKAWAが主導となりスタートさせた。本サービスについて、立案者の一人であるフライングドッグ代表取締役社長の佐々木史朗氏に話をうかがった。

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アニソン専門の定額配信サービス「アニュータ」誕生 フライングドッグ代表・佐々木史朗が挑戦を語る
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――参加メーカーはどのくらいの数になる予定でしょうか。

佐々木
立ち上げで参加するのは全10社。全てのメーカーがご自身で音源のリリースを行っているところです。みなさんCDを売っている立場ですので、正直サブスクリプションへの参加は怖い。CDの売り上げが落ちる可能性がありますから。ただ、全社が販売までしている立場であり、音源を広めたいという目的を同じくしている同志が参加しています。他にも交渉中のレーベルもあり、順次増えていく予定です。

――音源の曲数はどのくらいあるのでしょうか。

佐々木
サービスインの時点で5万曲です。他のプラットフォームでは3,000万曲~4,000万曲が提供されていて、曲数は圧倒的ですよね。ただその通常のサブスクリプションサービスでアニソンを提供するとしたらアニソンシェアは3000万分の5万で0,016%に対して、「アニュータ」は5万分の5万つまり100%ですし、アニソンを検索するにしても見つけられる精度がぜんぜん違います。そこは強みにしています。

――新譜の配信タイミングはどのようになるのでしょうか。

佐々木
各社さんにお任せしています。「アニュータ」に音源を提供いただくだけの会社も含めて30社くらいあるのですが、各社で事情が異なりますし、レーベルやアーティストによっても異なってくると思います。これはどのサービスも同じだと思いますが、基本的には音源を持っている会社の方針に合わせる、という考えです。

――月額600円($5.00)という値段設定にも驚きました。安い、という感想です。

佐々木
他のサブスクリプションサービスはだいたい1,000円($9.00)ぐらいですよね。だから参加するメーカーも最初に気にされるのはそこでした。こんなに安くていいのか、と。ただ、アニュータは<専門店>であるということ、それから世界に売っていきたいということもあり、その価格にしました。正直怖いですが(笑)。

――世界を見据えていると。

佐々木
サービスインの段階では日本だけですが、海外にも広めていく予定です。契約やシステムなどいろいろな障害を超えなくてはなりませんが、順次実現させていきたいと思っています。僕らのアーティストが海外のコンベンションに招かれる機会がここ10年くらいかなりあって、そのライブに同行すると、アメリカでもヨーロッパでもアジアでも南米でも、何千人という観客が日本語で何曲もまるごと合唱してくれたりするんです。作り手にとっては大変感動的な光景なんですよ。そういう経験もあって、海外へも正規の音源を届けたいと考えています。
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――今後「アニュータ」はどのように展開していくのでしょうか。

佐々木
僕たちはアニメや音楽を作っている他に、ライブも自分たちで行っています。そこも大きなアドバンテージだと思ってるんです。他の大きなサブスクリプションサービスとは違ったものを用意する。例えばオリジナルコンテンツを作っていきたいと思っていますし、場合によってはフィジカルに先行してリリースということも予定しています。

――オリジナルコンテンツというのはどういったものを想定されていますか。

佐々木
まだ可能性の話ですが、「アニュータ」でなければ聴けないもの。例えばフライングドッグや他の出資各社がそれぞれ単独で「アニュータ」でしかないものを作ったり、複数社のアーティストが一緒になって「アニュータ」でしか聴けないものを作るかもしれない。ライブもやっていきたいと思っていますし、その音源も流せればおもしろいですよね。クリアしないといけない権利の問題もたくさんあるのですが、独自コンテンツを作っていくというのは生き残っていくための道だろうと思っています。

あとは声優やアーティスト、クリエイターのプレイリストを用意する予定です。将来的にはそのプレイリストの再生時に曲に関するコメントが入ったり、ということもやりたいと考えています。

また、ボイスドラマやオリジナルトークを作って届けることもできる。アニメを作っている会社だからこそ出てくるアイデアでもありますし、それが<専門店>の強みだと思いますね。

――ますます期待が募ります。しかし600円という値段は破格では、とあらためて思いました。

佐々木
ファン層をもっと広げたいと思っているからです。先ほども話しましたが、Blu-rayは買わないけどスマホで見る、というライトなオタク層の増加もありますし、アニメは限られた人たちのものという偏見は若い人たちを中心になくなりつつある。ライトな人たちにもっと楽しんでもらえたらなと思っているんですね。僕たちにとって1番怖いのはアニメ・アニソン好きが減ること、アニメ人口が減ることですから。専門店で「それが好きならこういう曲もあるよ」という会話が出るようにアニュータの中で知らない曲・古い曲をどんどん掘っていってもらって、アニメやアニソンをより好きになってもらえたら。それが世界的に広がればいいなと思っています。

■アニメ作品検索ができる/歌詞も提供

アニュータのアプリとしての機能的な魅力を、KADOKAWAの柳瀬一樹プロデューサーに訊いた。

「最も特徴的なのは<作品検索>です。他音楽配信サービスではアーティスト・曲名・アルバム名での検索が多いですが、アニソンの場合「アニメ作品名で検索したい」というニーズが最も高いですから、作品名で検索できるよう人力で紐づけ作業を行っています。カラオケの「アニメ・特撮カタログ」をイメージしてもらえたら早いかも知れませんね。歌詞表示にも対応していますのでアニソンカラオケ好きには特におすすめです。
あとは、声優、アーティストなど著名な方のプレイリストもどんどん公開していきます。ご自分が携わった作品の紹介をする方もいれば、コアなキャラソンばかりおすすめする方まで人それぞれなので、ご覧いただければどなたにとっても新しいアニソンとの出会いがきっとあるはずです。」(柳瀬)
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《細川洋平》

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