【あにつく2016】「甲鉄城のカバネリ」「進撃の巨人」のWIT STUDIOがヒット作の秘訣を探る
9月25日、アニメ制作技術の総合イベント「あにつく2016」が東京・秋葉原のUDX GALLERYにて開催された。セミナー「アニメにおける面白さの決定力とは!?」ではWIT STUDIOの中武哲也プロデューサーとチップチューンの根本繁樹プロデューサーが登壇。
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まず2016年の新作テレビアニメ『甲鉄城のカバネリ』について、中武は「2000年からアニメ業界に携わってきたが、監督のメモが一番多い作品だった」と荒木哲郎監督の仕事ぶりを振り返る。「カバネと呼ばれるゾンビに咬まれると何分後にゾンビ化するのか」など具体的な設定は数百点以上に及び、企画の初期段階から綿密な世界観を構築した。こうしたメモは各話担当者が演出プランを膨らませるために欠かせないものだ。
根本は「荒木監督はアイデアや世界観をすごく持っている方なので、一緒に仕事をするのが楽しいんですよ。他人の意見を取り入れる柔軟性を持ちながら、こだわる部分は譲らない一面もある」とコメント。そんなイマジネーションに引き寄せられて、『カバネリ』には様々なスタッフが集まっていった。
中武はヒット作を手がけるクリエイターの共通項として「自分の作品に自信を持っていること」を挙げた。それは資金調達に携わるプロデューサーも同じだという。プロデューサーは企画の立ち上げ時には誰もが大きなウソをつくものの、その説得力でスポンサーを得て、最終的にはウソを現実に変えてしまう。多くのスタッフが携わるアニメ制作には、人々を巻き込む自信が何よりも重要だと語る。
そして会場のアニメ業界志望者に向けて「企画はロケットなんですよ。すべての工程が上手く点火すれば、宇宙へ飛び出すことができる。誰もが良い作品を見たいと思っているので、自信満々に関わってほしい」とエールを送った。
質疑応答のコーナーではWIT STUDIOの今後についての質問が飛んだ。中武は展覧会「進撃の巨人展」のために制作されたVR作品「360°体感シアター “哮”」を見てショックを受けたと明かす。映像のクオリティはもちろん、VRを体験した来場者がみんな笑顔を浮かべていたのが印象的で、「2Dアニメーションに固執するのではなく、多様性を持った仕事に取り組みたい」という思いを強くしたそうだ。
WIT STUDIOはユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクション「進撃の巨人ザ・リアル 2」でCGに携わるなど、多彩な作品を送り出している。同社の今後にも期待が膨らむセミナーとなった。
[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.bizより転載記事]
《高橋克則》
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