【TAAF2016】「Best of GOBELINS ―輝く動き―」フランス名門校の短編アニメ20作品を一挙上映
東京アニメアワードフェスティバル2016は世界のアニメーション紹介する場の役割も果たしている。3月20日には「Best of GOBELINS ―輝く動き―」と題し、フランス・パリの名門アニメーション学校・ゴブランの短編作品が上映された。
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トークセッションには同校の卒業生であるアントワーヌ・アンタンとエディ・メホングが登壇。同時期にゴブランで学び、日本でも活躍している二人が、学校の教育や作品の魅力について語った。
「Best of GOBELINS ―輝く動き―」では1997年から2015年までに作られた短編作品の中から20本が上映された。表現手法は2Dアニメーションだけでなく、3DCGやストップモーションアニメなど様々。
武士の衆道や海女など日本をモチーフにした作品もあり、その多様性を感じられるプログラムとなった。客席には海外からの来場者も多く、日本語や英語で質問が飛び交った。
モデレーターを務めたフェスティバル・ディレクターの竹内孝次は、まず作品の動きに着目し「常に動いているだけでなく、緩急の付いたリズムも備わっている。これはゴブランで学んだことなのでしょうか?」と問いかけた。実際にゴブランで教鞭を執るアンタンは「学生がどのように動かすのかについては、学校はあまり介入しない」としつつも、学生の意図に沿って様々なアドバイスを送っていると答えた。メホングはゴブランでの授業について「動きの中でどのように感情を表現していくのか」や「タイミングの緩急の付け方」などのレクチャーに重きが置かれていると話す。
アンタンは「2000年以前の学生たちは、アメリカの大手スタジオにスカウトされることが最大の目標だった」と語る。それゆえに「短い映像の中で自分の全てを見せたい」という気持ちが強く、自分のセンスを押し出した作品が多く生み出されていった。
近年の短編作品に日本を題材にした作品があったのは、教員側の変化も大きいようだ。「昔は保守的な傾向も強かったが、今のゴブランでは他国の影響を取り入れることを許している。それが学校の豊かさにも繋がっている」と伝えた。
TAAFの長編コンペ部門ノミネート作品である『ADAMA』と『TOUT EN HAUT DU MONDE』は、フランス制作でありながら手法もデザインもまったく異なっている。これについてメホングは、フランスには大手スタジオが存在しておらず、自分に合ったスタイルを見つけなければならないことが多様性に繋がっていると述べた。
アンタンはそれに同意しつつ、フランスの映像制作では政府が予算の大部分を担っていることを付け加える。作家は自分だけの手法を追及する一方で、そのユニークさは政府の眼鏡に適うものでなければならない。そうでない作品は資金を得られず、制作されないという状況を危惧した。
フランスは商業アニメ全体の総制作費がアメリカ、日本に次いで三番目に多いアニメーション大国である。今回の上映では、その一端を垣間見ることができた。今後どのような作品が生まれるのか注視していきたい。
[高橋克則]
東京アニメアワードフェスティバル2016
会期: 2016年3月18日(金)~21日(月・祝)
会場: TOHOシネマズ 日本橋
《高橋克則》
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