永井豪×水島精二
“超人像”は時代によって変わる
2015年10月よりテレビアニメ『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』が放送中だ。舞台は高度経済成長によって発展する戦後20余年の「もうひとつの日本」。そこでは、超能力者、サイボーグ、魔法少女まであらゆる超人が存在している。超人の発見・管理を目的とした組織「超人課」に所属する人吉爾朗を主人公に、超人たちが巻き起こす様々な事件が描かれる。
本作では日本のアニメ、特撮、マンガなどで描かれてきた様々な超人たちへのオマージュが満載である。そこでアニメ!アニメ!では、『コンレボ』制作陣と、日本が誇る超人を生み出してきたプロダクションとの連続インタビューを企画した。
今回の第3弾では、本作の監督を務める水島精二氏と、『デビルマン』『マジンガーZ』など日本のマンガ・アニメ史に輝く普及のヒーローを生み出してきた永井豪氏による対談を届ける。永井氏は長年作品を通じてアニメとも関わりが深く。10月17日には、『サイボーグ009VSデビルマン』が劇場上映をスタートした。永井豪がヒーローを通じて描いてきたのは何だったのか?ヒーローの条件とは何か?話を聞いた。
[聞き手=数土直志 取材・構成=沖本茂義]
『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』
2015年10月よりTVアニメ放送中
新作アニメーション『サイボーグ009VSデビルマン』全3話
2015年10月17日(土)より、 新宿バルト9ほか2週間限定イベント上映
■ “ヒーローは時代によってつくられる”
――まずは、あらためて水島監督から『コンクリート・レボルティオ』のコンセプトを教えていただけますか。
水島精二監督(以下、水島)
僕は昭和41年生まれなんですけど、僕らが子どもの頃、テレビ番組やマンガ作品で活躍していたヒーローは実に多彩でした。脚本の會川(昇)さんと「あの時代には何であんなに沢山のヒーローがいたのだろう?」と話していたんですが、そういった着想でスタートした企画です。
僕は永井先生がマンガやアニメで描かれたヒーローからかなりのインスパイアを受けていて、『コンレボ』では様々なヒーローたちがクロスオーバーして存在するような作品をつくろうと。ヒーローが多数存在する世界のなかでは、どういう秩序が生まれるのか。正義とはどうあるべきか。そうしたシミュレーションを行いつつ、物語をつくっているところです。
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左)水島精二監督、右)永井豪氏
――数々のヒーローを生み出してきた永井さんですが、ヒーローや超人をどう捉えていますか?
永井
超人やヒーローというのは、いつの世でも男の子にとっても憧れの対象です。やっぱり根本となるのは、「憧れ」でしょう。自分が出来ないことをやってもらいたい……そんな願望でいろんな超人が生み出されていくんだと思います。
水島
僕もそうだと思います。ヒーローは自分にはない力を持っていて、世界を変える存在でもある。自分にできないことを彼に託すという、まさに「憧れ」というのが大きいと思います。
――永井さんが生み出してきたヒーローのなかで、水島監督が子ども時代に憧れたのは?
水島
世代的に『マジンガーZ』(72)直撃でしたので、兜甲児に憧れましたね。続く『グレートマジンガー』(74)や『(UFOロボ)グレンダイザー』(75)もワクワクしながら観ていました。あとになって僕も巨大ロボット作品を監督するわけですが、かなり大きな影響を受けています。だから、今日はお会いできてすごく嬉しいです(笑)。
永井
いえいえ、こちらこそ(笑)。
水島
あと、子どものころ衝撃を受けたヒーローは『デビルマン』(72)ですね。もともとアニメ版を楽しく観ていたんですが、兄が買ってきた原作マンガを読んでみたらこれが衝撃的で。当時は恐くて最後まで読めなかったんですが、大人になってから読み返してみたらとても深い物語で感動しました。それと何かに取り憑かれながら描かれているような、永井先生のパワーにも圧倒されましたね。
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