コンテンツとプラットフォームの融合がもたらすもの KADOKAWAとドワンゴの経営統合
2014年10月にKADOKAWAとドワンゴの経営統合が実施され、株式会社KADOKAWA・DWANGOが誕生した。老舗企業と新興企業の統合、決断の早さが世を驚かせた。
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
驚きの理由はそれだけでない。出版、映像、アニメーション、マンガ、ゲームの各事業を統合するKADOKAWAと、インターネット上でコンテンツ配信プラットフォーム「ニコニコ動画」を運営するドワンゴの融合が、新しいビジネスモデルを感じさせたからだ。
両社が目指すのは「コンテンツとプラットフォームの融合」だ。コンテンツビジネスの川上から川下までとの説明は、効率化、シナジー効果の発揮など分かりやすい。
しかし従来の考えでは、コンテンツ企業とプラットフォーム企業は相容れない。コンテンツ保有者にすれば、コンテンツを流通させるウインドウはより多いほうが望ましいし、複数企業によるコンテンツ獲得競争はコンテンツの価値を高める。ひとつのプラットフォームに寄り添うのは得策ではない。プラットフォーム側からみても、競争力の源になる幅広いラインナップの確保には、多くのコンテンツ企業と等距離を保つのが現実的だ。
ではなぜ「コンテンツを作りだすプラットフォーム」なのだろうか。ドワンゴは実際には2006年のプラットフォーム事業をスタート時からコンテンツの作り手であった。ニコニコ動画のユーザー投稿、それに対するコメント機能、ユーザー間のコミュニケーションは、それ自体がオリジナルなコンテンツである。これが事業の成長に大きな役割を果たした。プラットフォーム機能だけでは、他社サービスと差別化出来ない。成長の鍵が独自のコンテンツにあると知るドワンゴには、多様でリッチなコンテンツを持つKADOKAWAは理想のパートナーであった。
一方、KADOKAWAはコンテンツ流通におけるデジタルの役割が増す中で、より能動的に新しい仕組みに関われる。プラットフォームと垂直統合はクリエイティブ面でも独自性を与えるだろう。そして実はKADOKAWA、ドワンゴとも業界トップという事業は多くない。経営統合は、一番でも二番でもない「コンテンツとプラットフォームの双方を提供する唯一の企業」を実現したことに大きな意味がありそうだ。
[数土直志]
[/アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載記事]
《アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.biz》
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