押井守監督のお話を中心に、インタビュー後編では本作の主役・後藤田継次役の筧 利夫さんに、撮影時のエピソードなどを伺った。
[取材・構成:桑島龍一]
映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』
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http://patlabor-nextgeneration.com/movie/
■ 押井守×筧 利夫でつくりあげた後藤田という男
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筧 利夫(以下、筧)
役づくりというよりは、「後藤田」でありながら「後藤(喜一)」をやらなければならないわけで、その持っていきかたが苦労しましたね。声優さん(=大林隆介氏)の声のリズムを真似てみたりとか、最初はいろいろ考えました、本当に。後藤という男の成り立ちを考えて、出戻りの妹がいるだろうとか。
一同
(笑)。
筧
いろいろやりましたけど、最終的には、俺の演技に慣れてもらうしかないな、というところにたどり着きまして、はい。とにかく、いろいろやっていこうと。
――後藤にせよ後藤田にせよ、昼行灯で切れ者というのは、リアルで演じるには人物的につかみにくいキャラクターではありませんでしたか。
筧
実は僕ね、知り合いでひとり、後藤さんみたいな人がいて。
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えー(笑)。
筧
劇団☆新感線の社長(=細川展裕氏/現・会長)なんですけど(笑)。昔、第三舞台の社長で、そのあと新感線の社長になってね。これが髪型も含めて、のほほんとしてる感じがね、後藤さんみたいなんですよ。本当のことは言わないし。のらりくらりと。
――身近にヒントがあったんですね。
筧
ありましたね、多少は。ああ、ああいう人なのかと。
押井守監督(以下、押井)
後藤田さんって普段二課棟にいないとき何やってるんだろうって、そういう部分があるから、ちょっと他のキャラクターとは一線を画してる。わかんない部分がいっぱいあるんだよ。後藤との関係とか(南雲)しのぶとの関係も含めて。だから今回、後藤田という新しい隊長をイメージするのが一番大変だった。特に後藤に関わりすぎたからね、自分自身が。
――後藤田像に苦労したとは意外でした。
押井
わかりやすく言えば、「監督」なんだけどさ。いまの隊長も映画監督も一緒だもの。というふうに理解するしかないんだよね。
ただ、筧さんという実物がいるからさ(笑)、だから記号で済ますわけにはいかないんだよ。実はこの「隊長をつくる」という作業が、お互いに手探りで難しかった。
筧
押井さん(の演出)は特有なものがあって、1カットに収めるっていうのが非常に多いんですよ、本当に。
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(C)2015 HEADGEAR/「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」製作委員会
――長回しですよね。
筧
とにかく1カットに収めて、だいたいここまでで演技は終わりだろうというところでも、まだカットをかけないんですよ(笑)。なんとかカットかけるまで頑張り続けるというカタルシスがありましたね、毎回各シーンで。
――筧さんご自身は舞台出身の役者さんだから、長い芝居は普通にやるわけですよね。
筧
そうなんですが、やっぱり(演劇と映画は)またちょっと違うんですよ。結構なんでもない動きをやってるんだけど、それを1カットの画角に収めて、なおかつそれを観ているほうには飽きないようにしなきゃいけないというこの責任感が……(笑)。そういうところが来るたびに、撮影のセッティングの合間で、リズムを自分で計って、いろいろ準備するのがね、非常に楽しかったです。