それから四半世紀を経た2013年、新たに実写版プロジェクトとして『THE NEXT GENERATION パトレイバー』が発表され、昨年から全7章にわたる中編シリーズを続々リリース。特車二課の伝統を受け継ぐ、似て非なる三代目の隊員たちの物語というヒネリを加えることで、アニメやマンガの実写化の壁を飛び越える快作が誕生した。
その完結編となる劇場版が5月1日より全国公開中の『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』だ。押井守監督のお話を中心に、前編では本作のヒロイン・泉野明役の真野恵里菜さん、後編では本作の主役・後藤田継次役の筧 利夫さんに、劇場版へ至る経緯や想いなどを伺った。
[取材・構成:桑島龍一]
映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』
全国公開中
http://patlabor-nextgeneration.com/movie/
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(C)2015 HEADGEAR/「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」製作委員会
■ 真野恵里菜、初のガンアクションに挑む
――今回の『首都決戦』では、真野さんも銃撃戦やアクションシーンで大変だったと思います。
押井守監督(以下、押井)
真野ちゃんは運動神経、実はすごくいいから。
真野恵里菜(以下、真野)
あははは。
押井
ホントはね、カーシャ(太田莉菜)よりいいんだよ(笑)。
真野
カーシャはアクション稽古、でんぐり返ししかやってないって(笑)。
――そうは見えませんね。
押井
運動神経ゼロだよ。それはもう訓練あるのみ。
筧 利夫(以下、筧)
相当な手練れに見えますよね。
――コンビニ回(EP.4「野良犬たちの午後」)とか、見直したくなります(笑)。
押井
真野ちゃんはね、何をやらせても手堅い。
真野
いえ(笑)。
押井
バスケットボールもそうだけど、(明は)絶えず動いてるキャラクターだから。アクションと普段の動作は、どこか地続きじゃなきゃいけない。カーシャの場合、普段はひっくり返ってタバコ吸ってりゃいいんだけど、動き出したら止まらないという。そういう意味ではタイプが違うのね、同じアクションでも。ふたりを同じにはできないから、そこは計算通りだった。
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――実際のガンアクションは体験されていかがでしたか?
真野
ずっと憧れていたので、楽しかったです。兄がいる影響なのか、わりと男の子が見るようなアニメやマンガの世界にずっと触れてはいたんですよ。
でも、シリーズでは(銃を)撃たなかったんです。「クロコダイル・ダンジョン」(EP.9)でみんながあんなに撃ってる中、明だけは撃たないというのを貫いて。やっと、劇場版で相手の陣地に乗り込むときに撃つことができました(笑)。
――劇場版で満を持して、なんですね。
真野
ただ、初めて構えたときは震えました。この人差し指で引き金を引いたら、撃っちゃうんだと。実際、芝居とはわかっていても銃口がこっちに向くと足がすくむんですよ。撮影時間もナイトシフトで夜中だったので、そういう緊張感もある中でやってました。
押井
欲を言えばね、射撃訓練したかったんだけど。
真野
やりたかったですね~。
押井
そういうプランもあったの。グアム行くか、という。
真野
実弾射撃(笑)。押井さんはよく行かれるみたいですね。
押井
カーシャには本物のAK(AK-47)を撃たせておきたかったし、隊員たちにはショットガンを体験させたかった。今回、アクション稽古は撮影前からずいぶんやってもらってたんだけど、実射経験を積めなかったのがちょっと心残りだった。
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