2026年1月22日からNetflixで独占配信が始まる山下清悟監督による初の長編アニメーション作品『超かぐや姫!』は、2000年代カルチャーに親しんだ人には懐かしい要素が満載だ。

学業とバイトの両立で多忙な日々をおくる女子高生・酒寄彩葉は、ある日、電柱から生まれた赤ん坊を拾う。かぐやと名付けられたその子はまたたく間に成長していき、彩葉は振り回されながらも彼女と一緒に仮想空間「ツクヨミ」でトップ配信者を目指して活動することになる。
多数のボーカロイドPを音楽に起用し、仮想空間でのステージパフォーマンスと派手なアクションシーンを配置した山下監督の持ち味が存分に発揮された1作となっている。
『呪術廻戦 第1期』『チェンソーマン』『うる星やつら』など、多くのテレビアニメのオープニング映像の演出を手掛けてた山下監督は長尺の映画にどう挑んだのか、話を聞いた。

[取材・文=杉本穂高]
◆デジタル×「竹取物語」のミックス! 新発想の原点
――まずはじめに、本作の企画はどこから始まったのですか?
僕が監督した『ポケットモンスターソード・シールド「薄明の翼」』が好評だったので、ツインエンジンの山本幸治社長からオリジナルをやってみないかと持ち掛けられたことです。僕はずっと短尺の作品を作ってきましたが、キャラもの、ストーリーものを作りたいとずっと言ってきたので、お話をもらったときは本当にうれしかったです。
それで、企画をいろいろと出していたんですけど、なかなか通らず1年が過ぎた頃、弊社のフジヤマルリという社員が出したプロットが面白くて、それが通ったんです。フジヤマとは好みも近くて、自分がやりたいことを常に汲み取って考えてくれて、かつ売りやすいパッケージになっている企画だったので、これで行こうと思いました。
――本作は、デジタル仮想空間と竹取物語をミックスしているところに特徴がありますが、この発想はどこから出てきたのでしょうか。
これもフジヤマの発案ですが、自分としてもストーリーの構造が複雑なものよりもキャラクターの感情や関係性をメインに据えた作品がよかったんです。それと得意なアクションを合わせるとなると、少年マンガ的な展開を要するものを1本の映画でやるのは難しい。そこからゲームを舞台にしたらいいんじゃないかと。
例えば『サマーウォーズ』が公開された当時は、仮想空間のゲームの説明が必要だったでしょうが、今ならそこを詳しく説明しなくても世の中に浸透しているし、すごい動きをするアクションも作れるわけです。
さらに、『竹取物語』という古典も説明せずとも日本人なら皆知っていますから、その分説明に尺を割く必要がない。そういうバランスを考え抜いて作った企画です。
――ゲームもそうですが、ボーカロイドPの楽曲が多数起用されているなど、2000年代に青春をおくった人には懐かしい要素が満載ですね。
最初からボーカロイドPの楽曲をたくさん使おうという発想ではありませんでした。あくまでメタバースとアイドル、配信者などを組み合わせるので、当然歌の要素は必要だと考えたとき、ヤチヨとかぐやという存在は初音ミクを連想させたんです。それと自分自身にとって、90年代後半から2000年代の文化が青春だったので、その時代の要素はどうしても出ちゃったという感じですね。
――BUMP OF CHICKENの楽曲をエンディングに起用しているのはどうしてですか?
自分は昔からBUMPの大ファンでしたが、だからこそ自分の作品に起用しようという風に思ったことはありませんでした。ですが、プロデュースサイドからrayという曲がこの作品に合うのではとご提案いただきました。そうか、ボカロで、BUMPでと考えるとこの作品にとって納得感もあって。
あらためて聞いてみると、作品にすごく合っているなと思いました。内包されているメッセージが同じだなって。そのことに自分でも驚いています。

