最後はやはり映画の見どころだ。監督からは様々な見どころが返ってきた。見どころ満載の映画と言っていいだろう。そして最後には「自信あります」との力強い言葉も、劇場での作品がますます楽しみになりそうだ。
――原監督は子どもに人気の『クレヨンしんちゃん』に長く携わってきました。『カラフル』や『河童のクゥと夏休み』、今回の『百日紅』も大人の方が観て「よい映画だった」と楽しめるはずです。そこにはつくるときに違いはあるんですか?
原
今回は僕にしては珍しいんですけど、女性に観てもらいたいと思っています。
――それは当初から?
原
ええ。やはりお栄という江戸時代で23歳で独身で浮世絵師という職業を持った女性が、日々仕事の悩みや恋や家族関係というものを現代の働く女性たちにも共感してもらえるといいなと思っています。
――時代ものではあるけど、現代にも相通じると。
原
そうですね。
――作品の見せ場、いろいろあると思いますけど、作画的にここは良かったところはありますか。
原
お栄とお猶が船に乗って、そこに北斎の浮世絵のような波が押し寄せるところは、ダイナミックなシーンです。アニメだからできたと思います。
あとは最後のほうでお栄がお猶を心配して走っていくところ。あそこは背景動画という手法なんです。今はああいったカットをつくろうとしたら3Dでカメラワークをつくって、それに手描きの作画をマッチさせるのが当たり前です。けれど今回は作画であえて背景動画です。40秒近く、1カットで見せるということをやりました。
――作品からのメッセージはありますか?
原
メッセージありきの映画を作ろうと思ったことはありません。とにかく今回は、僕なりのエンターテイメントを目指しました。
『クレヨンしんちゃん』で長く、子どもを楽しませることをやってきた自分の経験を最大限に活かしてつくろうと思っていました。そうした作品にちゃんと仕上がったなと思っています。
――壮大なエンターテイメントとして楽しんでくださいと言っても大丈夫ですか?
原
大丈夫です。自信あります(笑)。
――ありがとうございました。
『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』
5月9日(土)TOHOシネマズ日本橋、テアトル新宿ほか全国ロードショー
http://sarusuberi-movie.com/
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