原恵一監督は、近年、海外で評価を高めている。そして今回の「江戸」「浮世絵」は、海外のファンに大きなアピールが期待できそうだ。原監督は海外のファンをどう捉えているのだろうか。何か違った意識はあるのかを聞いてみた。そこからは意外な答えが返ってきた。
――先ほど『カラフル』のあと少し焦ったとありますが、5年ぶりのアニメ映画というのは、満を持してという感じでしょうか?
原
いや、それはないですね。その気負いはとくになかったと思います。あったとすれば、自分が好きで好きで好き過ぎるぐらいな作家の代表作の『百日紅』を自分が監督する、このプレッシャーはすごくありました。
――『カラフル』ではアヌシー国際アニメーション映画祭でふたつの大きな賞を取られ、高い評価を得られました。今回はテーマが浮世絵、そして江戸、海外の人は当然関心持つだろうと思います。海外のファンに何かを伝えるという思いはありますか。
原
それありきでつくったわけじゃないんですよね。むしろこの素晴らしい原作を今の人たちに観てもらいたい。こういう原作からこういう映画が生まれたんだ、というのを観てもらいたい、それが一番大きいかな。
――普通に作っているなかで海外にも受ける普遍性はあると?
原
それは実際に今まで何度か実際に体験していることです。『河童のクゥと夏休み』や『カラフル』がフランスでも公開して、その時に向こうのお客さんとQ&Aをしましたが日本のお客さんと全然違うと思えない。みんな同じ、どこの国のお客さんも同じところで喜んだり感動したりしてくれる。
それを体験しているので、いつもどおりに作ればきっと今回も海外の人に伝わるんじゃないかと思っています。
