「円環のパンデミカ」 東映アニメがゲームに乗り出した理由を訊く | アニメ!アニメ!

「円環のパンデミカ」 東映アニメがゲームに乗り出した理由を訊く

『円環のパンデミカ』は、東映アニメーションが手がけるオリジナルのスマートフォンゲーム。なぜゲームに挑戦するのか?同社の松浦寿志氏、それに開発プロデューサーの黒川文雄氏にお話を伺った。

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[ユーザーとのインタラクションを求めて
―東映アニメーションがゲームに乗り出した理由]


東映アニメーションといえば、老舗のアニメ制作会社として、プリキュアやワンピースといった国民的なアニメを数多く手がけています。TVアニメや劇場アニメの他には、実写映画作品なども手がけてきた同社。ファミコン時代には、いくつかのゲームもリリースしていますが、それ以降はそれほど目立った展開を行ってきませんでした。
『円環のパンデミカ』は、そんな東映アニメーションが手がけるオリジナルのスマートフォンゲームです。なぜここに来て東映アニメーションがゲームに挑戦するのか?アニメとゲームにおけるメディアミックスの違いとは?東映アニメーションの松浦寿志氏と開発プロデューサーの黒川文雄氏にお話をうかがいました。

■これまでにないやり方で新規IPを作る

―まず今回の企画が始まった経緯から聞かせてもらえますか?

松浦寿志氏(以下松浦)
このプロジェクト自体は3年ほど前から始まったものです。最初はゲームを作るというわけではなく、アニメ以外のコンテンツを展開しようというプロジェクトでした。ゲームで行こうと決めたのは、私が企画したものが採用されたからです。同じような流れで出来たのが、『ロボットガールズZ』や『スタプラ!』といった作品です。
最初はスマートフォンに限らず、ブラウザゲームも選択肢に入れていました。ただ開始から時間が数年経過したのでスマートフォンに絞ることになりました。構想を含めると本当に時間のかかったプロジェクトになりました(笑)。

―そのような中でどうして黒川さんがプロデューサーを務めることになったのですか?

黒川文雄氏(以下黒川)
僕はこれまで『LINE EASY DIVER』やPCとスマートフォンのクロスプラットフォームの『戦場のヴァルキュリアDUEL』といったスマートフォンのゲームのプロジェクト組成とプロデュースをいくつか手がけていました。そのような中、偶然にも東映アニメーションの松浦さんたちが『戦場のヴァルキュリアDUEL』を高く評価してくれたことがそもそものきっかけです。松浦さんに「こういうゲームを作ってみたい」と言われたのです。

松浦
もちろん、黒川さんのことはいろんなメディアを通して以前から知っていました。ただ黒川さんがNHNに在籍していたり、『戦場のヴァルキュリアDUEL』に関わったりしたことは、全く知りませんでした。

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「黒川塾」でもお馴染みの黒川文雄氏

―では、黒川さんのスマートフォンゲームのプロデュース能力が純粋に買われたということですね(笑)。

黒川
うーん、どうなんでしょうか(笑)。僕は特別に良い結果を出しているとは思っていません。ただ座組を作って、水がもれないように開発を管理して、運用して行くのは得意だと思っています。

松浦
我々としても、そもそもゲームの開発者を探していたわけではありません。これまでにもゲーム開発会社とは様々な形でやりとりさせていただいてきました。ただゲームの体裁をまとめあげる能力は、必ずしもゲーム開発会社にあるわけではないのかなと感じていて、プロデューサーが必要だと思っていました。そこで早い段階で黒川さんをご紹介いただきました。

―スマートフォン市場は移り変わりが速いと思いますが、そこには不安はなかったですか?

松浦
基本的には時代に左右されない、流行にとらわれない内容を選んだつもりです。東映アニメーションとしても比較的、王道の作品を作る傾向が強いので、そこは大丈夫だと思っています。
まずはゲームとして面白いものを作りたい。そういう気持ちが強かったのです。もしかしたら当時のソーシャルゲームへの抵抗感みたいな部分もあったかもしれません。

黒川
僕は正直に言うと、プロジェクト自体はややキツいなって思っていました(笑)。というのは、当時はGREEやMobageという大手のポータルのゲームが席巻していてで、それもボタンを押すだけ、アイテム得るためにガチャを回すだけというものが本当に多かったのです。2012年の5月にコンプリートガチャが問題視されましたが、まだまだソーシャルゲームの売上は衰えることはありませんでした。そして、多くの会社もそこを狙って同じようなゲームを作っていました。
その中でこういうプロジェクトを立ち上げるというのは、コンシューマゲームの開発を立ち上げるという感覚に近かったですね。リリースする頃には、トレンドが変わっていることを祈るという感じです(笑)。

[/INSIDE より転載記事]
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《Article written by 今井晋@INSIDE》

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