「紙兎ロペ」メイキングセミナー 青池良輔監督が福岡で「秘策」を語る
5月24日、デジタルハリウッド福岡校にて「福岡で作られたってマジっすか!?『映画・紙兎ロペ つか、夏休みラスイチってマジっすか!?』公開記念 監督・青池良輔氏よるマジハンパねーメイキングセミナー!」が開催された。
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青池監督は大学卒業後、カナダで映画制作会社を経てフリーで活動していた。その間に制作した短編アニメーション『CATMAN』シリーズなどで知られる。デジハリ福岡校でも、これまで一時帰国の際に『CATMAN』や自書に関するセミナーも開催したことがある。
現在、福岡を拠点に活動している。この『紙兎ロペ』も、短編から福岡で制作されてきた作品だ。もともと『紙兎ロペ』は、内山勇士監督が大学在学中に自主制作したものを、ロボットのプロデューサーが発掘したところから今に至る。
『ALWAYS 三丁目の夕日』などの制作で知られる映像制作会社ロボットは、アカデミー賞で短編アニメーション賞の『つみきのいえ』など、短編の制作にも力を入れている。
『紙兎ロペ』は、TOHOシネマズとの共同プロジェクト「Gift Movie」の第1弾だ。「Gift Movie」では、本編開始前の幕間で短編を上映している。
セミナーは内山監督と青池監督とのダブル監督になった経緯から始まった。打ち合わせで内山監督の新しいパソコンでファイルが開かないと困っていた際に、近くで打ち合わせをしていた青池監督が呼ばれたという。青池監督のパソコンで確認出来たところから監督もやる話にまで転がっていったそうだ。
短編の制作に取りかかってからは、内山監督が声を録音したものに勝手にアニメつけて送り返すのを繰り返していた。青池監督はその間、内山監督とは「1年半口聞いてない」、長編の制作でも「福岡に来たの2回」と笑いを誘った。
そのような感じで2分の短編を30本作った辺りで長編制作の話が持ち上がった。「『遂に映画のスクリーンってどうですか?』って聞かれても、もともとスクリーンだし」とインタビューのこぼれ話も披露した。
「短編のスタッフは背景描く人以外は僕1人」だったところから、長編化の「秘策」が練られた。脚本に関して「長編にすると面白くなくなる可能性が高い」ため、「この空気を壊さないために2分を40本並べたらどうだろう?」と制作に入るギリギリまで悩んでいた。
ところが直前になって「大筋のなかに小ネタという基本に戻ろう」と決意する。決意はしたものの、作風を壊すわけにはいかないという葛藤は続く。最終的に「まったりしたあらすじ」と「だべりネタ」という本筋、そしてハリウッド脚本術をそのままやるという結論に達した。「これ(ハリウッド脚本術)をピッタリやれば映画評論家に怒られない筈」との発言に会場は沸いた。
制作に関しては、作画はPhotoShopとIllustratorとFlash、コンポジットはAfter Effects、3DCGはMayaと3ds Maxを使用した。こちらの「秘策」には、キャラクターアニメーションの制作はFlashからの変更を行ったという点がある。
キャラクターアニメーションの制作に使用したのはAnimeCreator(Animestudio)というソフトである。これはFlashのボーン(IK)機能に特化させたアニメを作るソフトだが、さらに音声をはめたら自動的に同期する口パク機能もある。アニメーション制作のスタッフは、このソフトを覚えなければならなかった。「失敗しても(1本)8000円だし(笑)」。
この後の進行は、実際に制作に参加したスタッフを交えたトークや青池監督のクリエイター論などになった。制作スタッフはデジハリ福岡校の在卒生も少なからずいる。「ほぼ福岡で100人集まったのが嬉しい」と青池監督は嬉しそうだった。
[真狩祐志]
『紙兎ロペ』
http://kamiusagi.jp/
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