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本イベントは開催発表当初より異例尽くしであった。有料の新宿バルト9生ライブイベント、札幌、名古屋、梅田、博多のライブ中継は、開催決定の時点で作品情報が全く公開されていない。上映企画として『攻殻機動隊 S.A.C. SSS 3D』はあるものの、神山監督のファンであれば既に観たことある人が多いだろう。
つまり、イベントは内容が分からないものにお金を払ってくださいというものだ。ここで集客を期待されたのは、「神山健治の新作」という神山監督自身のブランドである。これは作品の宣伝の大きなファクターが、神山健治監督にあることを意味している。
結果、新宿バルト9のチケットは、約5分で完売したという。製作側の思惑は見事にあたった。約1年後となる映画公開までのプロモーションを考えるうえでも興味深い事実だ。
もうひとつの異例の試みは、劇場発表、その劇場ライブ中継に加えて、YouTube、Ustream、ニコニコ動画と主要動画配信サイト3つを利用した無料ライブ配信である。作品やクエイターの人気が可視化しやすい動画配信だけに、大作映画のスタートでは勇気のいる方法である。
しかし、こちらも狙いどおりに、3つの配信サイトで約20万の同時アクセスがあり、アニメの製作発表会としては空前の規模になった。過去数年、神山作品の宣伝は、ネット媒体を積極的に活用してきたが、これまでのノウハウが成功を生み出した。
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作品の内容については、舞台は201…年とほぼ現代となると話す。石ノ森章太郎さんの原作を現代にアレンジ、現在の政治や9.11以降の世界情勢も反映するという。神山監督らしい重厚な物語展開が期待出来る。
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発表イベントでは、およそ4分半のPVが披露されたが、それにはセルアニメ(2Dアニメ)タッチのキャラクターが登場するが全てフルCGで制作されている。日本のセルタッチのアニメ表現をそのままフルCGに置き換える。
また、本作は3D立体視映画ともなる。これまでの日本の3Dアニメは、2D作られたものをあとからの処理で3Dに置き換えたものが多かった。しかし、ここでは企画段階から3Dを前提に制作を進める。
登壇したサンジゲンの代表取締役であり、本作の制作プロデユーサーでもある松浦裕暁さんは、「セルっぽい、日本のアニメにしか見えないCGこそが世界で勝負できるスタイル。これこそ僕たちがやらなければいけない表現」と熱く語った。
初の完全オリジナル『東のエデン』以来、神山健治監督の作品は、その内容、制作の取り組みかた、作品をファンにつなぐ方法、あらゆるところで大きく変化している。物語、映像、それを制作する体制、作品を届ける仕組み、公開まであと1年、まだまだこれまでになかったものが登場しそうだ。
それはファン、アニメ・映画関係者といった人々の注目を浴び続けるに違いない。『009 RE:CYBORG』は、今後も多くの期待を背負うことになりそうだ。
『009 RE:CYBORG』
西暦2012年 秋 全国公開予定
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[スタッフ]
原作: 石ノ森章太郎
脚本・監督: 神山健治
音楽: 川井憲次
キャラクターデザイナー: 麻生我等
アニメーションディレクター: 鈴木大介
美術監督: 竹田悠介
制作プロデューサー: 松浦裕暁
プロデューサー: 石井朋彦
共同制作: Production I.G / サンジゲン
配給: Production I.G / ティ・ジョイ
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