
期間中に特に大きな活躍をした人物を対象にした個人賞は『つみきのいえ』を監督した加藤久仁生さんが選ばれた。また、テレビアニメ『サザエさん』のシナリオ2000本以上などを書いたベテラン脚本家の雪室俊一さんを特別賞とした。
7部門のうち唯一、審査にファンからの投票を盛り込んだ主題歌賞(ラジオ関西賞)は、この春から大きな話題を呼んでいる『けいおん!』の主題歌「Don’t say “lazy”」となった。
今回のアニメーション神戸賞は、これまで以上にアニメーションの範囲を広く取り、極めて多彩な受賞作品、受賞者となっている。それを代表するのが、作品賞・劇場部門の『ウォーリー』だろう。ディズニー/ピクサー製作のフルCGアニメーション、ロボットの恋を取上げた異色のSF作品だ。受賞理由では、「映画の楽しさがすべて詰まった作品」として、日本発のアニメでないのが残念と述べている。
このほか加藤久仁生さんの『つみきのいえ』の短編アニメーション、『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱&にょろーん☆ちゅるやさん』はネット発の作品、雪室俊一さんの代表作『サザエさん』は長年人気を集める国民的アニメである。ジャンルや国境を大きくと飛び越えたかたちだ。
一般的にイメージするアニメらしい作品は、テレビ部門の『東のエデン』に違いない。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』や『精霊の守り人』で高い評価を受けてきた神山健治監督が、原作・脚本・監督を手掛ける意欲作だ。
テレビアニメで完全オリジナルという話題性はあるが、番組放映中の評価の高さを考えれば順当な受賞と言っていいだろう。それでも作品はテレビアニメから劇場2部作へとつながる試みが盛り込まれ、ジャンルの越境という今年のアニメーション神戸賞の特長を浮き上がらせる。
「Don’t say “lazy”」の主題歌賞に異論を唱えられる人はいないだろう。作品の人気もさることながら、高校の軽音部、そして音楽が主題となったこの作品こそ主題歌賞に相応しい。
その楽曲群はCD発売されると次々にヒットチャートにランキングされる大きなムーブメントを巻き起こしている。話題性も十分の2009年を代表する作品である。
今回の受賞者、受賞作品の表彰は、受賞関係者によるトークショーと共に10月18日神戸国際会議場 メインホールで行われる。当日は、公募によるアニメーション賞デジタル・クリエイターズ・アワードの発表と表彰も予定する。
*画像は『東のエデン』 (c)東のエデン製作委員会 イラスト:羽海野チカ
アニメーション神戸 /http://anime-kobe.jp/
第14回アニメーション神戸賞」受賞者・受賞作
個人賞: 加藤 久仁生(監督)
特別賞: 雪室 俊一(脚本家)
作品賞・劇場部門: ウォーリー
作品賞・テレビ部門: 東のエデン
作品賞・ネットワーク部門: 涼宮ハルヒちゃんの憂鬱&にょろーん☆ちゅるやさん
主題歌賞: Don’t say “lazy”(歌:桜高軽音部)