しかし、ヴェネチアで賞を獲得するのは、一般に思われている以上に大変なことである。本年のコンペティション部門には、全部で21作品が公式出品されている。一方、ヴェネチアの主要な賞は、作品賞にあたる金獅子賞、監督賞にあたる銀獅子賞、さらに審査員特別賞、男優賞、女優賞、マストロヤンニ賞(新人賞)、技術貢献賞と脚本賞からなるオゼッラ賞と、上映作品数に対して必ずしも多くない。
こうした厳しいコンペティションのなか8月28日に上映された北野武監督の『アキレスと亀』、それに宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』の注目が高い。
映画祭を報じる世界各国のメディアから好評を博している。映画祭の前半が終了した段階で、確実に賞レースに勝ち残っているようだ。

特に8月31日に宮崎駿監督も登場した『崖の上のポニョ』は、各国のメディアで高く評価する記事が相次いだ。映画業界紙のバラエティでは、評論家陣による星取り表で現在トップに立っている。もうひとつの業界紙ハリウッド・レポーターでも、映画祭前半は全般に低調、例外は『崖の上のポニョ』のみで、映画祭前半の勝者は『ポニョ』であると報じている。
このほか英国タイムズ、BBC、フランスAFPと言った大手メディアも好意的なレビューを寄せており、賞獲得への期待が高まる。シリアスなテーマの作品が多くなりがちな映画祭のなかで、『ポニョ』の持つアニメーションとしての楽しさが高く評価されたと言えそうだ。
第65回ヴェネチア国際映画祭映画祭 /http://www.labiennale.org/en/cinema/
『崖の上のポニョ』 /http://www.ghibli.jp/ponyo/
『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』 /http://sky.crawlers.jp/
『アキレスと亀』 /http://www.office-kitano.co.jp/akiresu/