“原作ベース”と話題の『攻殻機動隊』新アニメ…「なぜ全10話?」「声優陣の反応は?」気になる質問をモコちゃん監督に聞いてみた!【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

“原作ベース”と話題の『攻殻機動隊』新アニメ…「なぜ全10話?」「声優陣の反応は?」気になる質問をモコちゃん監督に聞いてみた!【インタビュー】

全10話の放送を終え、Blu-ray BOXのリリースを待つのみとなった『攻殻』新アニメ。その制作の裏側を監督「モコちゃん」に尋ねました。

インタビュー スタッフ
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夏アニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』第02話「SUPER SPARTAN ii + JUNK JUNGLE i」場面カット
夏アニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』第02話「SUPER SPARTAN ii + JUNK JUNGLE i」場面カット 全 9 枚 拡大写真

◆サイエンス SARUの哲学も混じった“手書き作画”

夏アニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』第02話「SUPER SPARTAN ii + JUNK JUNGLE i」場面カット

――本作を鑑賞したことで、あらためて原作マンガはこれまでの『攻殻』の映像化作品とは雰囲気がまったく異なると感じました。受け手の反応で不安なことはありませんでしたか?

それはありました。長年培われてきたファンダムがありますし、ファンの方の中にも「原作は読んだことがなくてアニメだけが好きな人」など、いろいろな方がいらっしゃいます。ただ、最新作として作るからには、分け隔てなくどのようなファンの方でも楽しんでいただける物を作りたかったですし、まずはオープニングの映像設計などで「今回の攻殻はこうです」と飲み込んでもらいやすい導入を目指したり、極力親切に作ろうという気持ちでした。あとは何より面白いアニメを作れるかどうかで、これに関してはスタッフ一同とにかく頑張りきった実感があります。

――原作マンガがお好きということで、作業をしていて興奮したとか、うれしかったことはありましたか?

本当にいろいろなことがあったので、一つに絞るのは難しいんです。アニメーターとしては、上がりとしていただいたカットの芝居が、ストーリーや世界観に「ハマった」というときに、興奮を覚えます。それは『攻殻』に限ったことではありませんが、世界があって、筋書きがあって、そこに芝居がカチリと噛み合ったときに、キャラクターが「生きている」という感覚が芽生え、いつも新鮮な驚きを覚えます。

例えば体重移動の仕方や振り向き方とか、そういった些細な部分から、それは発生します。振り向きひとつでも、目線を残したまま振り向くのか、目線が先にいってから振り向くのかとか、そういった細かいところで芝居は変わります。それがちゃんと物語の流れに沿って「このシーンの振り向きはやっぱりこうなんだ」と説得力のある原画をいただけたりすると「嗚呼ッ!」と思います。

――作画が手描きっぽい印象を受けたのですが、今回、キャラクターの作画は基本的に手描きだったのですか?

キャラクターに関しては、CGは使っていません。オブジェクトやメカは、部分的に使っています。フチコマは一部が手描きです。基本的には、「キャラクター=人格」として存在する物は、すべて手で描くことを選びました。これは、今回のアプローチにおいて、大きなこだわりでした。人間とは何かということがテーマとなる作品なので、それに合った手段で描きたいと思いました。

――結構、崩し顔とか多いですよね。

そうなんです。マンガ絵のいいところは、デッサンをしっかり描く方法もありますが、やはり雰囲気や印象を伝えられることだと個人的には感じます。キャラクターを芝居させるときは、造形のみならず、内面を表現したいと考えます。常に同じ造形を保つことよりも、「この瞬間のこの人はこう見える」ということを描きたいと考えています。

とくにサイエンス SARUは表現主義の作画が“らしさ”です。デッサンよりも、そのときの状況を印象で表現するということをやってきているので、その作画の哲学みたいなところがもっとも表れている部分ではないでしょうか。硬くならず、伸び伸びとした絵を描くよう心掛けて作画しました。

夏アニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』第02話「SUPER SPARTAN ii + JUNK JUNGLE i」場面カット

――ちなみに作画スタッフは、原作ベースということについてどのような反応でしたか?

原作ベースを待っていたアニメーターの方は、思いの外いらっしゃったみたいで、「原作をベースとするならぜひやりたいです」とおっしゃってくださる方がたくさんいて、チームに恵まれました。とてもありがたいことですね。

◆キャスティングは“大塚明夫さんからのご縁”

――監督を務めたことで、あらためて「『攻殻』って面白いな」と思ったポイントを教えてください。

最終回のラストシーンへと至る流れを何度も読み返し、1本のドラマとして、物語構造のような物が自分なりに見えてきたときに、取り組む前とは原作の読み方が変わった気がします。これはあくまで私の解釈ですが、豊かな枝葉の下に隠された原作マンガの骨格は、思いの外王道の英雄譚の形を取った、人間らしい物語になっていると思います。主人公の草薙は、「自分は世界について判断ができる」と考える人間として登場しますが、物語の旅を辿る中で、世界についていかに少ししか知らないかを知っていきます。そうして、最初の思い込みが敗れたあとに、世界のわからなさに対して敬虔になることで、これまでに無い自由を手にする。それが最後の融合の時の心の軽さなのだ、という風に読んでいます。そう思うと、とても今日的な物語で、今の時代だからこそ、自分の胸には深く刺さりました。

――今回は全10話という変則的な編成でしたが、その部分について偉い人から「13話じゃなきゃ困る」みたいなことはなかったのですか?

当初は全12話で企画が動いていました。ただ脚本を作る中で、どうも原作の内容だけでは足りない、という流れになり、オリジナルを入れるのか、このまま全10話で終わるかを話し合いました。やはり今回は原作ベースがコンセプトですから、タイトに原作ベースとしてのまとまりを出すことを自分としては大切にしたく思い、内容に合わせて話数を削りましょうと。そこは偉い人を含め、制作陣皆で相談して決めました。

『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』OP映像カット

――今回、キャスティングが一新されることになりましたが、それはどういった理由だったのですか?

最初は続投というお話もありました。ただ草薙素子役の田中敦子さんのことがありましたから、話し合いを重ね、多くの方のご縁によって、次第に現在の布陣に固まっていきました。

『攻殻』シリーズが作ってきた縁のような物は、キャスティングにおいても大切に考えた点でした。素子役を引き受けてくださった坂本真綾さんにも、ずっと田中さんと先輩後輩の関係でやられていて、シリーズに対して並々ならぬ思いを抱いていらっしゃいます。また、バトー役の安元洋貴さんとトグサ役の中村悠一さんは、大塚明夫さんからご紹介いただいてお声を聞き、オファーしました。そういった以前からの『攻殻』のご縁が、今回の9課の声に繋がっていきました。

――そういえば田中さんを最初に推薦したのも大塚さんだったとか……。結構、これまでのシリーズを通して大塚明夫さんがキャスティング権を握っていた(笑)。

暗躍されていますね。

――大塚さんも今回はゲストキャラで登場されていましたが、実際のところ収録現場ではどのようなご様子でしたか? もっとも大塚さんなら、めっちゃ楽しんでそうですけど。

楽しんでいらっしゃった気がします。実は最初、バトー役は大塚さんにオファーをしました。ただ「田中さんの居ないバトーを演じる」ということで、思うところがいろいろおありだったようで、たくさんお話を聞かせてくださいました。その中で、安元さんと中村さんを勧めてくださり、こういった形に繋がったんです。

――そういえば、キャストの皆さんは今回の「原作ベース」についてどのようなリアクションでしたか?

やはり私を含め、皆さんも最初は少し戸惑いはあったように感じます。皆さん原作を読んでそれぞれに役作りをして来てくださいましたが、それをどのくらいの塩梅で、どのくらい出していいのか、というのは、現場に入ってからみんなで話し合いをしながら作り上げて行きました。とくに読解に幅がある原作マンガですので、キャストさんとアフレコブースで解釈について話し合ったり、とても活発で、楽しい現場でした。

夏アニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』第08話「INTERMISSION + BRAIN DRAIN i」場面カット

――最近はAIが暴走するようなケースが出てきて、すごく『攻殻』っぽい現実になっています。感触として、あの世界に近づいているような感覚ってありますか?

近づいていると思います。ただ、そもそも原作1巻の物語は、先ほどもお話したように、SFを抜きにしてもすごく普遍的な、人間についての物語だと思います。なので、現実との近さで言うと、世の中がどうなっても人間が生きている限りは、人間にとって常に私事な物語だと思います。もしかしたら読み手がAIだとしても、それに「ゴースト」と呼べるような物があれば、意義のある物語だと感じてくれるかもしれませんね。

――例えば30年後にリメイクされても通じる作品。

古代でも通じると思います。普遍的な作品ですよ。でも……このアニメは100年見られたいという意気込みで作っていましたので、30年後にリメイクはちょっと悲しいですね。

――ここまでいろいろと伺ってきましたが、最後に、初監督をやり遂げて、何かご自身の中で変わったとか、視野が広がったとか、そういった部分の変化を教えてください。

たくさんありました。最近はいろいろなことが総体の中の関係と捉えられますし、生起しているということだとか、固定された実体のない生成として物事を捉えることだとか、そういうことを考えています。前よりも恐れることとかが減りましたし、初期仏教的な意味で無我に近づいた気がします。

――原作ベースというとオリジナルは難しそうですが、仮に続編が作れるとしたらどうされますか?

まだまだこの『攻殻機動隊』というタイトルで挑戦したいことがたくさん残っています。今回このような、原作者となるべく精神的に近づくことを目指す、というアプローチでアニメシリーズを制作したことで、発見や学びがたくさんありました。また、そうしたことでかえって見えてきた相違点や、アニメ制作者としての自分の特性への発見もありました。そうしたことなので、今はなんとなく、ぼんやりとした未来への広がりを感じています。

夏アニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』第10話「BRAIN DRAIN ⅲ + GHOST COAST + EPILOGUE」場面カット
攻殻機動隊(1) (ヤングマガジンコミックス)
¥1,650
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)


【Blu-ray BOX商品情報】
商品名   : 攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL Blu-ray BOX(特装限定版)
発売日   : 2026年12月23日(水)
予約締切日 : 2026年11月16日(月)
価格    : 38,500円(税込)
発売・販売元: バンダイナムコフィルムワークス
収録内容  : 全10話
スペック  : 本編DISC約240分+特典DISC約43分
  本編DISC:LINEAR PCM(STEREO)|AVC|BD50G×2枚|16:9[1080p High Definition]|日本語字幕付(ON・OFF可能)
  特典DISC:LINEAR PCM(STEREO)|AVC|BD25G|16:9[1080p High Definition]・一部16:9[1080i High Definition]
特典 : 特製ブックレット
絵コンテブック
[オープニング|第01話 PROLOGUE + SUPER SPARTAN i]
特典ディスク
[ノンクレジットオープニング映像|ノンクレジットエンディング映像|特報第2弾|
特報第2弾 ver.Hajime Sorayama|プロモーションビデオ第1弾|プロモーションビデオ第2弾|
プロモーションビデオ第3弾|プロモーションビデオ第4弾|プロモーションビデオ第5弾|
プロモーションビデオ第6弾|スペシャルプロモーションビデオ directed by MOKOCHAN|予告編|
海外上映用メイキング映像『Making of the New “GHOST”』]

仕様    : 半田修平(キャラクターデザイン・総作画監督)描き下ろしジャケット

(C)2026 Shirow Masamune/KODANSHA/THE GHOST IN THE SHELL COMMITTEE

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《気賀沢 昌志》

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